著名人から一般人によるものまで、毎日のように起きているインターネット上の“炎上”。そんななか、幻冬舎の代表取締役社長・見城徹氏が自身のTwitterで投稿した内容が話題になりました。

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『たった一人の熱狂』 (幻冬舎文庫)

見城徹氏、“Twitter大炎上”の経緯

 事の発端は、幻冬舎から発売されている作家・百田尚樹氏の書籍『日本国紀』について、小説家の津原康水氏が「ウィキペディアなどからのコピペではないか」との批判を展開したことでした。そんななか、幻冬舎から発売される予定だった津原氏の著書の文庫版が突如、発売停止に。ただし、毎日新聞の取材に、幻冬舎側は「文庫化を一方的に中止した事実はない」と否定。

 こうしたやり取りを受けて、見城氏は5月16日Twitter上で津原氏の単行本の実売部数を「初版5000部、実売1000部も行きませんでした」と公開(現在は削除)。この津原氏を陥れるかのような振る舞いに対し、芥川賞作家の平野啓一郎氏や思想家の内田樹氏などが「出版社の代表としてあるまじき行為」と厳しい批判を寄せました。

 現在、見城氏のツイート5月20日の「僕のツイートはこれにて終了します」との投稿を最後に更新がされていません。また、幻冬舎ホームページに23日、「社内で留めておくべき内部情報を見城が独断で公にしてしまったことに対して弁解の余地はありません」との文章を掲載し、謝罪。

 この事例に限らず、企業の経営者のネット上での発言が炎上につながることは今や珍しいことではありません。今回は5人の経営者のネット炎上事例を通して、彼らがなぜ炎上し、そして炎上に対してどう対応したのかをご紹介していきます。 

1)テスラCEO・イーロン・マスク

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(C) Jörg Hüttenhölscher
 そのツイート頻度に“Twitter狂”と言われたのが、米テスラ社のCEOイーロンマスク氏。一代でテスラ社を世界に名だたる企業にした彼ですが、炎上も世界レベルでした。

 マスク氏は2018年4月2日(現地時間4月1日)、エイプリルフールのネタとして「資金調達のため懸命に努力し、イースターエッグの大量販売もしたが、残念ながらテスラが完全に経営破綻したことを発表する」と自社の破産を宣言。単なるジョークだったのですが、影響は計り知れず、2日にはこのツイートの影響から自社株の価格が下落する事態に。

 これ以外にも同年8月には豪雨の影響で洞窟から出られなくなったタイの少年たちの救出に向かった、ダイバーのバーノン・アンズワース氏をTwitter上で小児性愛者呼ばわり。大炎上を起こしました。その後も2018年8月8日にはTwitter上でテスラ社株の非公開化を検討していると発言。後日、発言を撤回していますが、該当ツイートの直後には株価が急騰するなど市場が混乱しました。

 Twitterをやめざるえなくなりそうほどの奔放なふるまいを続けてきたマスク氏ですが、そこは時代をかける世界レベルの実業家。奔放さこそ多少落ち着いたようですが、現在も精力的にTwitterを更新しています。

2)ZOZO社長・前澤友作



 Twitterがたびたび話題になる経営者といえば、「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOの前澤友作代表取締役社長を思い浮かべる人も少なくないでしょう。2019年初頭の「1億円お年玉キャンペーン」でリツイート数の世界記録を樹立するなど話題に事欠かない前澤氏ですが、数多くの炎上を経験しています。

 その1つが、2012年、ZOZOユーザーが何気なくつぶやいたと思われる「1050円なくせに送料手数料入れたら1750円とかまじ詐欺やろ~ ゾゾタウン」というツイートに端を発するもの。このツイートに対し、前澤氏は「おまえみたいなやつは二度と使うんじゃねぇ」と反論。自社サービスユーザーに対する激しい物言いに多数の非難の声が寄せられました。

 その後前澤社長は「おはようございます。私の未熟さにより多くの方に不快な思いをさせてしまいました。反省しています。申し訳ございません」と謝罪する旨のツイートをすることに。

 これ以後もたびたび物議をかもすツイートをしていた前澤氏ですが、2019年2月7日に「本業に集中します」とツイートし、投稿を休止することを発表したものの、発表から約2か月半後の4月25日、「本日よりツイッター再開します」と更新を再開。

 最近では、5月23日Twitterを更新。「文句ばかり言って、何もしない人は、この先どうしたらいいかが分からないだけだと思う。(中略)僕でよければ、そんな人が少しでも希望を持てるツイートをできればしたい。これも綺麗事?(笑)」と、これからのTwitter活動にも意欲を見せています。

3)ワタミ元会長・渡邉美樹

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『きみはなぜ働くか。』(日本経済新聞出版社)
 自由民主党所属の参議院議員で、外食チェーン大手の株式会社ワタミの創業者である渡邉美樹氏もSNSでの発言によって炎上を経験した一人。事の発端は2012年2月14日、同社の元女性社員(当時26歳)が自死し、原因が「月に140時間以上に及んだ残業による過労だった」として、神奈川労災補償保険審査官が労災認定したことでした。

 事態は同年2月21日に報道され世間が知るところに。渡辺氏はそれを受けたものと思われるコメントTwitterに投稿しました。女性社員の死は悼んだものの、「労務管理ができていなかった、という認識はありません」と責任を認めない旨の発言をしたところ、厳しい批判にさらされたのです。

 その後2013年12月9日、遺族はワタミを提訴。2015年12月、遺族に1億3000万円の損害賠償支払いと、再発防止策を約束することで、和解が成立しました。

 渡邉氏は、2019年2月13日に次期参院選の不出馬を表明。政界引退後の去就には関心が寄せられていましたが、6月24日に行われるワタミの株主総会にて、取締役候補として6年ぶりに返り咲く見通しであることを発表。渡邉氏がどのような形で経営に参画していくのか、また2017年9月27日以来更新が停止しているTwitterがどうなるのか、今後の動向に注目です。

4)エイベックス会長・松浦勝人

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 2018年所属アーティストに関するツイートをしたところ炎上してしまったのが、芸能事務所エイベックスマネジメントを要する芸能大手のエイベックス・松浦勝人会長。

 騒動のきっかけは2018年5月10日、人事異動により松浦氏が同社の代表取締役会長に就任したことでした。

 就任発表後、松浦氏のTwitterにはさまざまな要望が寄せられました。近年、浜崎あゆみ氏のコンサートに対し、「露出が多い」などの不満を上げていたファンの一部からは、松浦氏に向けて「浜崎あゆみをどうにかしてください」というツイートが。これに対して松浦氏は「本人とちゃんと話します」と答え、事態は急展開を見せます。

 該当ツイートにはファンから浜崎あゆみ氏に対する批判や応援の声、松浦氏やエイベックスに対する賛否がさらに多数寄せられ、炎上のような事態に。その後は松浦氏が一連のツイートに対して「みんないろいろ言うわりにはあんまり何もわかってないな。俺たちはそんな単純な関係ではない」とコメントするなど自身の思いを吐露。

 ファンの思いに対して率直に応えたことが、ここまでの事態に発展してしまったのです。

5)サイバーエージェント社長・藤田晋

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※藤田晋氏オフィシャルブログより
 炎上のリスクがある一方、無名でもネット上で圧倒的な影響力を持つ個人がいる現代。経営者として影響力を保つためには、リスクを取ってでも情報発信を続けなければいけないのかもしれません。サイバーエージェントの藤田晋代表取締役社長も、リスクをとって発言を続ける経営者の一人でしょう。

 藤田氏の発言が大きな炎上を引き起こしたのが2014年。きっかけは日本経済新聞電子版で連載中だった自身のコラムに、サイバーエージェント社を退職した元社員について「私が退職希望者に『激怒』した理由」と題した論考を掲載したことでした。

 藤田氏が語った「責任あるポジションを任せていたのに、アルバイトをやめるかのように放り出された」、さらにその人物の転職理由が「競合他社からの引き抜きだった」といった怒りの背景には一部支持の声が挙がった一方、経営者がいち社員を批判することには多くの批判の声が寄せられました。

 今回紹介した経営者たちの立ち振る舞いは、なかなか一般人には真似できないものでしょう。リスクを恐れない胆力があるからこそ、彼らは経営者として多くの結果を残すことができているのかもしれませんが、そこで働く社員や取引先、株主からしたらもう少し落ち着いてほしいのが本音でしょう。

TEXT/bizSPA!取材班>

【bizSPA!取材班】

「bizSPA!フレッシュ」編集部の若手記者が、20代ビジネスマン向けに、“身の丈世代”が気になる世の中のホンネを徹底した現場主義で伝えます。

『たった一人の熱狂』 (幻冬舎文庫)