『THE IDOLM@STER SideM 4th STAGE ~TRE@SURE GATE~』5月12日「DAY2:[DREAM PASSPORT]」@さいたまスーパーアリーナ(アリーナモード)​

アイドルマスター』シリーズは2005年にアーケードから生まれたアイドルプロデュースゲームで、ゲーム、アニメ、ライブ、音楽、コミックなど様々にクロスメディア展開を行っているコンテンツである。そんなシリーズの中で男性アイドルのみが登場する『アイドルマスター SideM』は2018年7月に4周年を迎えた。

今回はそんな『アイドルマスター SideM』の4回目となるライブがさいたまスーパーアリーナで2019年5月11日(土)、12日(日)の2日間に渡って行われた。5周年のアニバーサリーイヤーを前に、新情報も盛りだくさんで熱気あふれるDAY2の様子をレポート!

315プロダクションのアイドル、総勢32名のキャストで送るDAY2!

まずは『アイドルマスター』シリーズ恒例の協賛企業名読み上げコール。他の作品ではなかなか見ない光景だが、これらの協賛企業が『SideM』を一緒に盛り上げているんだなと知ると同時に、『アイドルマスター』シリーズが長く愛されているがゆえの伝統でもある。

TRE@SURE GATE」と題された今回のライブは、世界を巡る船と新しい世界を開く扉のモチーフだ。ステージ上部左右には帆が2反張ってあり、わずかに揺れて海風を連想させられる。プロデューサーが所属する315プロダクションの事務員・山村賢のライブにおける注意事項の読み上げの後、スクリーンにはキラキラとたくさんの星が映し出され、やがて船や宇宙、各国の街を巡ってひとつの場所に集約した。それら星々が向かった先にいたのは、総勢32名のキャストたち。

全員で歌う「MEET THE WORLD!」では、ひとりひとりキャストがスクリーンに大きく映し出され、そのたびにプロデューサーから大きな歓声があがっていた。今回のライブの衣装は、赤、青、緑、紫のチェック柄ジャケットに、ユニットごとのカラースカーフを腰に付けているというもの。そんな新衣装をまとった描き下ろしイラストも披露され、こちらは後日グッズにもなるとのこと!

始めの挨拶は、それぞれのキャストがこのライブにかける熱量や意気込みを聞けるひととき。ライブビューイングを意識して「ニーハオ」、「アンニョンハセヨ」とカメラに向かって挨拶した"High×Joker" 永塚拓馬冬美旬役)、恒例のコール&レスポンスをする渡辺紘榊夏来役)、メンバーが揃ったことを喜ぶ"Beit"堀江瞬ピエール役)、「相棒の分まで頑張るから見てて」と"Altessimo"土岐隼一都築圭役)・"W"山谷祥生蒼井享介役)、会場を春名の好物のドーナツを揚げる油に例えた"High×Joker"白井悠介若里春名役)とその油をバーニングさせた"神速一魂"益山武明紅井朱雀役)とその会場を豪華に飾り付けする提案をした"Café Parade"児玉卓也卯月巻緒役)など、個性豊かに会場のプロデューサーをもてなしていた。

トップバッターはF-LAGS ユニットごとのカラーが光る

"Jupiter"寺島拓篤天ヶ瀬冬馬役)の「俺たちと一緒に、夢の旅に出発しようぜ!」、から全員で「プロデューサー!」と声を揃えたところでステージを照らしていた照明が消え、最初の曲のイントロが流れる。まずスタートを切るのは"F-LAGS"の「夢色VOYAGER」。トリコロールの旗を手に海を航海していき、途中には「全員で歌って!」と促される場面も。これは「不在だった秋月涼(三瓶由布子)のパートを会場のみんなに担当してもらった」ということが後のMCで明らかになる。

5人そろっての出演だった"Higt×Joker"はステージ両脇からトロッコに乗って登場。通路との距離がとても近く、座席が後ろだったプロデューサーも近くに来てくれると大喜び! バックサイドに設けられたステージで肩を組み合ったり、軽音部らしくエアーで楽器を演奏しているように踊ったりと盛り上げていた。

元子役ユニットである"もふもふえん"は海の仲間たちのバルーンがたくさん出てきたステージで、まるでプロデューサーと一緒に遊んでいるよう。浮き輪バルーンから「せーの」で顔を出したパフォーマンスは3人、特に古畑恵介橘志狼役)提案のパフォーマンスとのこと。ちなみに衣装の背面、おしり付近にはそれぞれのアイドルイメージである小さな尻尾がちょこんとついていた。細部まで可愛さにこだわっている。

"Café Parade"は「Reversed Masquerade」というアップテンポで禍々しくも楽しいパレードの世界を表現。赤紫のペンライトが左右に揺れて、キャストと会場がダンスパーティを楽しんだ。

"Jupiter"は鋭い緑のレーザーの光の中から登場。マイクスタンドで熱く攻めきった。サイリウムのウルトラオレンジが炎の演出と呼応しているかのようで、会場のテンションも一気にボリュームアップ! 曲が終わっても、ざわざわの声がしばらく収まらなかったくらい会場は興奮に包まれていた。

水色のコンサートライトで応援を背負い、しっとりとカメラに向かって手を差し伸べたり投げキッスをしてくれたりとファンサービスが多めだった"Beit"。最後に片手に持った箱のふたをぱかっと開けるジェスチャーでこちらを驚かせる。スクリーンにはその箱からそれぞれの色の光が輝き、まるで指輪を差し出してくれるような演出で、ひときわ大きな歓声があがった。

SideM』でセンター的なポジションにいることの多い"DRAMATIC STARS"は3人で目を合わせながら歌唱や振りのタイミングを計ったりする場面が多く、楽しいという感情をプロデューサーに思いっきりぶつけてきていた様子が印象的。

心を奪われた「冬の日のエトランゼ」

ゲームアプリの期間限定イベントの世界各国でライブを行うという「WORLD TRE@SURE」シリーズからの楽曲も披露された。チャイナ風の衣装に身を包み、拳法のような振り付けも多かった中国、レイや花を首にかけてトロピカルな雰囲気を味わわせたハワイ、聖歌隊のようなふわっとした雪の装飾がついた衣装で登場したフィンランド、光と音に溢れた街並みと黒いハットが印象的だったドイツ、赤と青の旗のもとに剣をあわせて忠誠を誓った四銃士・フランス

フィジカル、メンタル、インテリというゲーム内の属性別に分けられたユニットや、ユニットの枠を超えたコラボ楽曲も披露された。

特に大きな声が上がったのは"DRAMATIC STARS"と"Beit"の「冬の日のエトランゼ」。"Beit"梅原裕一郎鷹城恭二役)が「レコーディングの時から好きだった」とMCで明かした曲だ。少し切ない歌詞を魂込めて歌うキャストにもぐっとくるものがあるが、MCで「イケメン回転寿司」と呼ばれることになった秀逸なカメラワークは全プロデューサーの心を鷲掴みにしたことだろう。センターステージで輪になったキャストを、1台のメインカメラがひとりひとりの顔がアップになるようにぐるりとゆっくり周回する。カメラに目線を向けて手を伸ばしたり、切なげな表情を向けたり……まるで自分と目が合っているかのように感じられもする特別な1曲で、悲鳴にも似た黄色い声があがった。

「プロデューサー、これからもアイマスですよ!」

最後の曲は5月10日に発売されたばかりの『THE IDOLM@STER SideM 4th ANNIVERSARY DISC』より「DREAM JORNEY」で、もちろんライブ初披露だ。「未来」、「旅」、「望む場所」などこれからの希望を指し示す曲を、カラフルに光る会場のコンサートライトの中でしっとりと噛みしめながら歌う32名のアイドルたち。全員で肩を組みながら左足を大きく踏み出して、ライブという旅路を終えた。「夢の旅路はこれからも続いていく」と締めた寺島に、プロデューサーたちからは「ありがとう~!」という感謝の声と暖かな拍手に包まれていた。

アンコール」の声の波、そしてBGMに乗せて自然と歌う人が増えていつの間にか大合唱へ。『SideM』というコンテンツ、そして315プロダクションが好きという気持ちが溢れ出し、会場のプロデューサーたちはそんな幸せを噛みしめているようにも思える。

315プロダクション代表取締役社長の齋藤孝司が、プロデューサーたちに「新たな業務」という名の新情報を伝えた。それらはどれも5周年、そしてその先の未来に向けて更なる躍進と展開を期待させるものだった。

その後、それぞれのユニットカラーのTシャツに着替えアンコールに応えたキャストたちは『SideM』に登場するアイドル全員で歌う「Beyond The Dream」、そして「始まりの曲」である「DRIVE A LIVE」を歌唱。トロッコに乗ってアリーナを一周したり、ステージの端から端までをユニットごとに手を振りながら歩いたり、カメラに向かって数人で仲良く手を振ってくれたり……出演者全員総勢32名がわちゃわちゃとプロデューサーたちとの交流を楽しんでいる姿は、「目が足りない」と例えるのにふさわしい状態で、どこを観たらいいのか悩まされる。

さいたまスーパーアリーナに集まった1万6千人の会場、全国そして海外(香港・台湾・韓国)でのライブビューイングで参加しているプロデューサーたちとアイドルたちが一体となってキラキラの笑顔を送り合うこのひとときは、歌詞にある通り、まさに「We are 315(サイコー)!」である。

仲村「プロデューサー、これからもアイマスですよ!」
会場「アイマス~~~~~~~~!!!」

というコール&レスポンスは『アイドルマスター』シリーズでは恒例のもの。男性をプロデュースするという『SideM』は一般的に女性向けとカテゴライズされることもあるが、会場には男性プロデューサーの姿も多く見られた。『SideM』を愛する心というものは女性だけにとどまらず、男女ともに愛されるシリーズなのだ。

最後のあいさつで寺島が「アリーナってすごく特別な場所。ずっと信じて応援してくれたから、その道がこうして繋がった」と表現したライブは大成功で幕を閉じた。しかしこれからも続いていく「アイドルマスター SideM」は間近に控える5周年、そしてその先へとアイドルたちとプロデューサーが共に手を取りあい、笑顔で輝きながらこの世界を駆け巡っていく。


取材・文:松本裕美