連続テレビ小説なつぞら」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第9週「なつよ、夢をあきらめるな」51話(5月29日・水 放送 演出・田中正)視聴記録
仲さん、水に落ちる
朝ドラヒロインあるあるのひとつに“ヒロインが水に落ちる”がある。この3月、「チコちゃんに叱られる!」でやっていた100作記念特番でも紹介されていたが、「てっぱん」、「あまちゃん」は海に落ち、「ごちそうさん」は川に、「花子とアン」(子役が)は池に落ちる。51回ではなつではなく、仲さん(井浦新)が東洋動画の中庭の池に落ちた。落ちたというか、咲太郎(岡田将生)に落とされた。
井浦新、主役じゃなくても体を張ってほんとうにご立派。制作統括・磯智明プロデューサーが同じく制作統括していた大河ドラマ平清盛」で怨霊と化す崇徳院を全力で演じただけはある。必然とあればやる、という意識高い俳優なのだろう。
主役じゃないとはいえ、落ちちゃった顔、喫茶リボンタオルにくるまれている顔がもはやヒロインだった。
くるまれた姿勢で咲太郎に責められて、ガバっとタオルを開いて立ち上がるとTシャツ(肌着)着ているとか、期待させて落す感じもすばらしい。開いた胸元もどこか色っぽく、井浦新のおかげで活気ある朝だった。

兄が疫病神
自分で突き落としておいて「誰かタオルもってこいよ」とえらそうにわめく咲太郎。「びっちょびちょじゃないか」という言い方もよかった。
喫茶リボンで仲から事情を訊いて、なつが落ちた理由はどうやら自分のせいではないかとわかり、落ち込む。
「なつをその気にさせといて今度は水をぶっかけんのかよ」というセリフが、仲が水に落ちたところと呼応しているわけか…とそのさりげなさに感心。そしてなつは、亜矢美(山口智子)から酒を勧められる。未成年なのに。「はじめはね飲むっていうより飲まれてねえ」云々と酒を人生にたとえて奥深いことを言う亜矢美。水に落ちる、酒に飲まれる、どれも世界を突き抜けていく象徴なのだろう。でもさすがに未成年のなつが酒を飲んで溺れる描写は書かれない。朝ドラだもの。

その後、仲が陽平(犬飼貴丈)を連れてなつに謝りに来る。実際、社長(角野卓造)が、咲太郎がプロレタリア演劇(労働者のための演劇)の流れをくむ劇団・赤い星座所属であることからなつの入社に難色を示したことがわかった。会社のトップにとっては、雇用者と労働者の関係性を詳らかにしたうえで労働者の権利を訴えるようなことを行っている者たちとの関係は絶ちたいものである。
しかも社長は「愚連隊だか太陽族だか」わからない風貌の咲太郎に悪印象をもっていた。岡田将生が、ワープステーション江戸の近現代エリアのロケでガラの悪い兄ちゃん感をふんだんに出していたところもすばらしい。

「あいつがそんな深いことを考えて新劇をやってると思えません」
「ばかだな咲太郎は」と咲太郎を端的に表現する信哉(工藤阿須加)。
難しいことは考えてない単純なだけなのにそれが裏目裏目に出ていて残念な人物を岡田将生が好演している。
昭和元禄落語心中」などの渋い役もいいが、「銀魂」のようなユーモラスな役もハマる岡田。今回は後者の、
若さゆえの無軌道さが愛らしい。

なつの素敵なナイトたち
リボンで出会った信哉と陽平が、
「東京の幼馴染です」
「ぼく、東京の幼馴染です」と言って笑い合うところにほのぼの。犬飼貴丈はちょっとした表情が巧い。
東京でも、仲や陽平、信哉となつを守ってくれる素敵なナイトばかりと思って見ていて思い出したのが「美人はいかが?」という70年代の漫画原作のドラマだった。4人のかっこいいお兄さんに囲まれた紅一点・妹が主人公なのだが、彼女だけこの一家の本当の子どもじゃなかったという設定で、兄たちの彼女への思いが複雑化していく話(でもコメディ)。
ヒットした「花より男子」もその系譜にあって、貧乏なヒロインがお金持ちのイケメン4人に守られる話。
普遍的名作「キャンディ・キャンディ」も然り。複数のナイトたちの存在という少女漫画の構造はデフォルトながら、朝ドラになるとなぜか主人公が恵まれ過ぎじゃないかという意見も出てくるところが面白い。
(木俣 冬)

第9週 「なつよ、夢をあきらめるな」(5月27日・月〜 演出: )あらすじ
アニメーターを目指して東京にやってきたなつ(広瀬すず)。憧れの東洋動画の入社試験を受けるものの不合格となり、自らの行く先を見失ってしまう。雪次郎(山田裕貴)から、なつの様子を知らされた兄・咲太郎(岡田将生)は役者仲間のツテを頼り、東洋動画のアニメーター・仲(井浦新)に直接、不合格の理由を聞きに行く。すると仲は、試験に落ちたのは咲太郎のせいだと語るのだった。数日がたち、なつが亜矢美(山口智子)の店・風車にいると、咲太郎が警察に捕まったと信哉(工藤亜須加)が知らせにやって来る。

第53回(5月31日・金 放送)あらすじ
咲太郎(岡田将生)がどんな思いを持っていまの生活を選んだのか、亜矢美(山口智子)から知らされたなつ(広瀬すず)。兄の本心を知ったなつは、風車の2階に住む咲太郎を訪ねる。すると咲太郎は、自分が余計なことをしたせいで、なつが東洋動画の試験に落ちたのだと打ち明ける。落ち込む咲太郎に対し、なつは、再び東洋動画の試験を受けること、そしていつか漫画映画を作ると宣言する…。


登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーランルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校校長先生
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。 

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーランルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベスマリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュ踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター


脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武