★CR7加入のユーベが独走で8連覇達成
FWクリスティアーノ・ロナウドを迎えた王者ユベントスが5試合を残して難なく8連覇を達成した。新天地でモチベーション高く、エゴを押し殺したC・ロナウドがすんなりとチームにフィットしたチームは、そのC・ロナウドに牽引される形で1度も首位の座を明け渡すことなくシーズンを駆け抜けた。しかし、チャンピオンズリーグ(CL)ではアトレティコ・マドリー相手に奇跡の大逆転劇を見せたものの、アヤックスの前に準々決勝で痛恨の敗退に終わり、個人セリエA5連覇を果たしたアッレグリ監督の退任が決まった。競争力に欠けるセリエAでいかに欧州の頂に挑戦するチーム力を鍛え上げていくか、考えさせられるシーズンとなった。

そのユベントスに続いたのがナポリ。昨季までサッリ監督が築き上げたポゼッション型のチームに名将アンチェロッティ監督がマイナーチェンジを加え、攻守に安定感が増した。また、的確なターンオーバーを施し、シーズンを通してチーム状態が悪化することが少なかった。ユベントスの連覇を阻む脅威にはなれなかったが、2位の座をキープし続け、低調だったミラノ勢との違いを見せ付けた。

そして3位フィニッシュを果たしたのが、予想外の大躍進を見せたアタランタ。知将ガスペリーニ監督の下、マンツーマンの激しい守備と、ショートカウンターから鋭くゴールに向かう手数をかけない攻撃でユベントスを上回るリーグ最多の77ゴールを挙げた。キャプテンのMFアレハンドロゴメスが攻撃を牽引し、覚醒したFWドゥヴァン・サパタがリーグ2位の23ゴールを挙げ、クラブ史上初のCL出場を果たした。

そして、CL出場圏内ぎりぎりの4位に滑り込んだのがインテルとなった。MFナインゴランやDFアサモア、DFデ・フライといった好選手を迎え、ユベントスのライバルになることが予想されたが、ナインゴランがなかなかチームにフィットしなかったことや、イカルディのキャプテン剥奪問題などゴタゴタがあり、波に乗り切れなかった。それでも、守護神ハンダノビッチや守備の要シュクリニアルはさすがの存在感を示し、最終節までもつれ込んだ熾烈なCL出場権争いを辛くも制した。

一方でアタランタインテルに1ポイント及ばずCL圏外の5位に終わったのがミランとなった。レジェンドマルディーニ氏の入閣などフロントを刷新した中、FWイグアインを迎えたミランだったが、そのイグアインが全く機能せず冬の移籍市場で放出することに。代わってジェノアから新星ピョンテクを獲得し、そのピョンテクが期待に応える得点力を発揮したが、アタランタの怒涛の追い上げを振り切れず、第33節までキープしていた4位の座を守りきることができなかった。

そして、ミランと共にヨーロッパリーグ(EL)に回ることになったのがローマ。GKアリソンナインゴランら主力を放出したローマは、新戦力のGKオルセンやMFエンゾンジ、MFクリスタンテらが機能せずチーム力が大きく低下。成績不振により3月にディ・フランチェスコ監督が解任となり、モンチSD(スポーツ・ディレクター)も責任を取って退団となった。結局、ラニエリ監督を迎えたローマだったが、CL出場には届かず6位に終わり、レジェンドのMFデ・ロッシ退団に花を添えることはできなかった。

8位に終わったラツィオは昨季ブレイクしたMFミリンコビッチ=サビッチが低調だったものの、シモーネ・インザーギ監督が堅実な手腕を発揮し、終盤までCL出場権争いに絡んだ上、6年ぶりのコッパ・イタリア優勝を果たし、まずまずのシーズンを過ごした。

最後にフィオレンティーナジェノアウディネーゼといった名門クラブが最終節まで降格の危機があった残留争いではフロジノーネとエンポリが1年でセリBに降格。一方でセリエAに定着していたキエーボが12シーズンぶりにセリエB降格となった。

最優秀選手&監督】
最優秀選手
◆ファビオ・クアリアレッラ(サンプドリア)

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C・ロナウドと迷ったが、36歳にして初の得点王に輝いたクアリアレッラを選出。PKでのゴールが9つあったものの、年齢による衰えを感じさせず、尚且つ中堅クラブのサンプドリアで抜群の決定力を見せ付けたことは称賛に価する。昨季のキャリアハイとなった19ゴールを超える26ゴールを挙げ、C・ロナウドが参戦してきた今季の得点王争いを制した価値は計り知れない。

★最優秀監督
ジャンピエロ・ガスペリーニ(アタランタ)
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戦力的に乏しいながら2シーズン前のクラブ最高位となる4位を上回る3位で、クラブ史上初のCL出場権獲得に導いた。イタリアでは珍しいマンツーマンディフェンスとハイプレスを駆使した積極的な守備からショートカウンターに持ち込み、ビッグクラブを大いに苦しめる存在となった。

【期待以上】
★チーム
アタランタ
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シーズン前のヨーロッパリーグ予選に敗れて本戦出場を逃す厳しい船出となったものの、知将ガスペリーニ監督の下、最高のシーズンを送ることとなった。結果的にリーグ戦に集中できる環境となったチームは、シーズン序盤こそEL敗退のショックを感じさせる躓きを見せたが、年明け以降に怒涛の追い上げを見せた。2月23日のトリノ戦を最後に無敗を維持し、後半戦は12勝5分け2敗と圧巻の成績をマーク。見事な3位フィニッシュを果たした。

★選手
◆FWクシシュトフ・ピョンテク(ジェノア)
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ポーランドの無名クラブから今季ジェノアに加入した23歳の新星がブレイクした。同胞のレヴァンドフスキに匹敵する決定力を持つピョンテクは、開幕後7
戦連続ゴールを決め、一躍時の人となった。そして、ミランにヘッドハントされた中、そのミランでも期待に応え、9ゴールを記録。得点ランク3位の22ゴールを挙げ、ワールドクラスストライカーに仲間入りした。

【期待外れ】
★チーム
ローマ
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大型補強を敢行しながらCL出場権を手にできなかったミランも期待に応えられなかったが、それ以上に監督の交代やSDの退任などゴタゴタのあったローマを選出。GKオルセンやMFエンゾンジを筆頭にモンチ氏が獲得してきた選手がことごとくハマらずチーム力が低下してしまった。唯一、新星MFザニオーロの活躍が光明となったが、6シーズンぶりにトップ4陥落となった。

★選手
◆FWマウロ・イカルディ(インテル)
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イグアインナインゴラン、ディバラらも大きく期待を裏切ったシーズンとなったが、彼ら以上にインテルのエースとして不甲斐ないシーズンを過ごしたイカルディを選出。契約延長問題により2月にキャプテンを剥奪されたイカルディは、ヒザの負傷を理由に戦線を離脱。後半戦はわずか2ゴールに終わり、ゴール特化型のストライカーとしては物足りない11ゴールでシーズンを終えた。
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