宝塚歌劇雪組公演のかんぽ生命 ドリームシアター 幕末ロマン『壬生義士伝』、かんぽ生命 ドリームシアター ダイナミック・ショー『Music Revolution!』が5月31日(金)、兵庫県宝塚大劇場で開幕した。

■かんぽ生命 ドリームシアター 幕末ロマン『壬生義士伝』〜原作 浅田次郎「壬生義士伝」(文春文庫刊)〜<脚本・演出/石田昌也>

沖田総司新撰組の名だたる剣豪が一目を置いた男

『壬生義士伝』の原作は、作家・浅田次郎のベストセラー。2002年にドラマ化、翌年には映画化された人気歴史小説だ。

時代は幕末。家族を貧困から救うため、妻を残して脱藩し、新撰組隊士となった吉村貫一郎。朴訥な人柄でありながら、剣に関しては北辰一刀流免許皆伝を持つ凄腕。近藤勇土方歳三斎藤一沖田総司ら名だたる隊士もその存在に一目を置く。自ら「守銭奴」と言うほど金にこだわり、家族のためなら危険な任務も厭わず、人を斬る。しかし、新しい時代の足音が聞こえ始め、新撰組も鳥羽伏見の戦いでの敗戦をきっかけに解体状態に。貫一郎も大きな傷を負ったため、妻子が暮らす故郷への帰藩を請うが……。

●雪組トップスター・望海風斗が見事な方言の芝居をみせる

かんぽ生命 ドリームシアター 幕末ロマン『壬生義士伝』より 撮影=森好弘

かんぽ生命 ドリームシアター 幕末ロマン『壬生義士伝』より 撮影=森好弘

吉村貫一郎役には、雪組トップスターの望海風斗。今回は、岩手・盛岡出身の貫一郎特有の訛りを、まったく違和感なく演じきっている。家族への仕送りのため、何をするにも金に結びつけていく貫一郎の徹底した姿勢もキャラクターの面白みを深めている。その妻・しづ役には、トップ娘役の真彩希帆。貧困や周囲との関係性に苦悩しながら、それでも懸命に子育てをして夫の帰りを待つ彼女の姿が胸を打つ。

かんぽ生命 ドリームシアター 幕末ロマン『壬生義士伝』より 撮影=森好弘

かんぽ生命 ドリームシアター 幕末ロマン『壬生義士伝』より 撮影=森好弘

物語構成は、幕末だけではなく、西洋文化を取り入れはじめた社会背景もまじえて描く。近代化が進む日本も照らし合わせ、時代の流れの中で見落とされてしまった「武士としての義」について改めて問い、さらに家族への愛情、友との友情など普遍的なメッセージも訴えかける。一方で、人との絆はふとして抱く疑念や不信感によってほどけてしまい、それによって個人間や組織のバランスも大きく崩れてしまう様を、新撰組を通して描いている。

かんぽ生命 ドリームシアター 幕末ロマン『壬生義士伝』より 撮影=森好弘

かんぽ生命 ドリームシアター 幕末ロマン『壬生義士伝』より 撮影=森好弘

■かんぽ生命 ドリームシアター ダイナミック・ショー『Music Revolution!』<作・演出/中村一徳

●世界の音楽の起源をたどり、その素晴らしさを伝える

『Music Revolution!』は、世界各地の人々の生活の中で生み出され、育まれてきた「音楽」を題材としたショー。ハードなロックサウンドで幕をあけ、シティポップ調のおしゃれなサウンド、フラメンゴの情熱的なリズム、ブロードウェイをイメージさせるビッグバンドジャズなど、様々な楽曲が楽しめる音楽紀行だ。

ダイナミック・ショー『Music Revolution!』より 撮影=森好弘

ダイナミック・ショー『Music Revolution!』より 撮影=森好弘

多くの人々に希望、ときめき、生きる活力を与えてきた音楽のパワーを「革命」と表現。音楽の起源をたどりながら、観る者にその美しさや素晴らしさを再認識させてくれる。望海風斗、真彩希帆ら雪組生たちが一丸となって奏でる、パワフルで繊細なハーモニーに心躍る。

ダイナミック・ショー『Music Revolution!』より 撮影=森好弘

ダイナミック・ショー『Music Revolution!』より 撮影=森好弘

かんぽ生命 ドリームシアター 幕末ロマン『壬生義士伝』、ダイナミック・ショー『Music Revolution!』は7月8日まで宝塚大劇場にて、東京宝塚劇場では7月26日から9月1日まで開催される。

取材・文=田辺ユウキ 撮影=森好弘

かんぽ生命 ドリームシアター 幕末ロマン『壬生義士伝』より 撮影=森好弘