大阪・堺市にとって、世界遺産登録は長年の悲願だったはず。祝賀ムード一色かと思いきや、地元はいたって冷静だ。仁徳天皇陵とされる前方後円墳を含む「百舌鳥・古市古墳群」がユネスコ世界遺産登録される見通しだというのにいったいこの静けさはどうだ。

 「一部のキャバクラが“世界遺産で大サービス”と騒いでいるぐらいで、後は静かなもん。登録申請が決まった時のほうが雰囲気よかったんと違うか?」(地元飲食店の店主)

 それというのも、堺市にとっては世界遺産登録以上の関心事が、これから始まる市長選挙だというのだ。

 前市長の竹山修身氏が政治資金の問題で辞任に追い込まれたのは、平成最後の日(4月30日)だった。

 「大阪府庁出身の竹山氏は、橋下徹知事の時代に側近を務め、'09年に橋下知事の後押しで堺市長に初当選。ところが、大阪都構想を巡って対立し、府政を真っ向から批判する反維新の急先鋒となったのです」(地元記者)

 そんな竹山氏が失脚した後を受けての今回の市長選は、統一地方選の勢いも駆って、維新の楽勝ムードだった。

 「維新の候補の永藤(英機)さんは、前回の選挙で大敗した人物です。今回の選挙は『維新なら誰が出ても勝てるだろう』ということで最終的に彼に決まったんですが、候補者選定の段階で、他の候補者のレベルがあまりに低く、正直、永藤さんしかいなかったんです」(維新関係者)

 維新の政治家レベルの低さは「戦争発言」の丸山穂高衆院議員で立証済み。対して、自民党大阪府連の渡嘉敷奈緒美会長は「物理的、時間的に私の考えに賛同する候補者で戦うのは難しい」と述べ、擁立断念を表明した。自民を離党して出馬する野村友昭市議(45)への推薦や支援も否定したが、個人としての応援は容認するという。野村氏は無所属での出馬だが、反大阪都構想で戦う腹積もりだ。

 「維新の支持者の中にも『大阪都構想には反対』というのが、かなりいる。勢いは維新にあるが、そこを狙えば勝ち目はある」(自民党大阪府連関係者)

 世界遺産に恥じないような市長選になることを祈る。