連続テレビ小説「なつぞら」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第10週「なつよ、絵に命を与えよ」56話(6月4日・火 放送 演出・渡辺哲也)視聴記録

「会社の男はみんな自分のものみたいな顔しちゃって」
なつ(広瀬すず)、かわい過ぎ。いや、派手過ぎ。亜矢美(山口智子)としては「なにごともね、最初が肝心」「この人洒落てんな」と思わせるという目的なわけだが、ショービジネスの世界ならともかく、彩色という服が汚れそうな作業をしている職場へ、日曜日にデートに行くみたいな格好はいかがなものか。
作画課に見学に行くときも、バッグ(これもまたカラフルでかわいい)までちょこんと両手で前に持って(帰りがけに立ち寄っているからバッグ持っていても仕方ないとはいえ)、「パンダがかわいい」と覗き込んでいる仕草がもう、かわい過ぎて、かわい過ぎて。初日よりも2日目のほうが派手になり大きな花柄ワンピースと来た。しかも長いネックレスもしている。そのとき視聴者の何%かが感じたことを、原画スタッフの麻子(貫地谷しほり)がみごとに代弁してくれた。
「なにしに来てるの?」「結婚相手でも探しに来てるの?」「そんなおしゃればっかり気をつかって」「会社の男はみんな自分のものみたいな顔しちゃって」「将来の旦那に会いたいって気持ちがにじみ出てるのよ、その顔から」
とりわけ「会社の男はみんな自分のものみたいな顔しちゃって」が最高である。「会社」を「十勝」に置き換えてもいいだろう。
麻子がなぜこんなにも決めつけているのか、といえば、その前にももっち(伊原六花)が仕上げ課の女性は「いい花嫁になりそうな人を選んで集めている」と言い、それは給金が安いことの代償でもあり、遊びに来てる人も多いとまで説明していることで納得できる。そんな人ばかりを麻子は目の当たりにしてきたから、なつの装いが明らかに男探しに見えてしまっていらっとするというわけだ。
麻子は、髪ボッサボサ、服にも構わず、仕事一筋のイメージ。朝ドラ先輩・貫地谷しほり(ちりとてちん)がキツイ先輩をキツすぎていやな気分にならないいい塩梅で演じている。「あさイチ」ではこういう出会い方をしたふたりはゆくゆく親友になる、と予言していたが、さて……。

おしゃれ問題でいえば、男性陣の場合、下山(川島明)、陽平(犬飼貴丈)、井戸原(小手伸也)と東洋動画には帽子率が高く、美意識を帽子で表しているということなんだろうか。

落語とアニメと
出社初日、なつが風車に帰って来ると、お客さんがふたり(柳家喬太郎、吉橋航也)いて、この客を演じている人物がネットで話題に。「咲ちゃん知ってるよ、落語なんかやらないかなと思っているんだよ」という客を演じている柳家喬太郎は、咲ちゃん役の岡田将生が主演したドラマ「昭和元禄落語心中」の落語監修及び、岡田が演じた八雲に影響を与える落語家・木村屋彦兵衛役を演じていた。朝ドラには「半分、青い。」で落語の声の出演をしていて、今回、朝ドラ、初顔出し。
そんな柳家喬太郎がもうひとりの客と話していたのは、落語の「抜け雀」の話。京都・知恩院の襖絵に描かれた雀があまりのできの良さに生きて飛び出してしまったという伝説を元にした落語で、「一流の芸術というものはね、魂がこもって描いた絵が動き出すんですよ」と話す。「なつぞら」のオープニングアニメも、絵からキャラクターが飛び出してくるので、そういう感じと思うとわかりやすいだろう。それは、今週のサブタイトル「なつよ、絵に命を与えよ」とつながっている。ニクイね。しかもこの落語、「いだてん」に出ている志ん生が得意としていたもの。ちなみに「まんぷく」でも志ん生の落語「粗忽長屋」(56年録音素材)が使用されたことがあった。
もうひとりの客を演じる吉橋航也は東大法学部から東京乾電池に入団。落語もやっていて、2012年 高座名「東乾家吉喬」を柄本明より命名されているそうである(所属事務所のホームページより)。
ちなみに、麻子に文句を言われている動画マン・堀内を演じているのは田村健太郎。先日、「クラッシャー女中」という舞台に出て、パンフレットで主演の中村倫也にいじられていた俳優である。いささかいらっとする個性があり(でも憎めない)、彼が演じるのであれば堀内にも注目したい。

そして、命を与えられたかのように動くアニメーションに関して、「白蛇姫」の物語(クレジットで東映の「白蛇伝」が原作となっていた)の説明は、紙に絵を描いていく流れを撮影したものだった。これがなかなか良い。だんだんできていくところを、描いている人間の手まで写すことで、物語の紹介だけでなく、こうやって絵ができていくのだということがわかる。アニメはその前に紹介された原画と動画の組み合わせではあるが、色が塗られて絵が立ち上がっていく臨場感はわくわくした。
「なつぞら」ではすでに何度かアニメシーンが出てきているから、今回の手法は新鮮で良かった。東映の古典的名作をまんま使うのではなく原作にして、でもキャラとかかなりそっくりなものをわざわざ描いて劇中に出すとはなんとも実験的なことをしているなと思うが、なつが先輩の絵をせっせと真似て学ぶことと志的には同じなのかもしれない。


第10週 「なつよ、絵に命を与えよ」(6月3日・月〜 演出: )あらすじ
なつ(広瀬すず)はついに東洋動画に入社。仕上課でセル画に色を塗る仕事を与えられる。先輩の桃代(伊原六花)から手ほどきを受け作業を覚えていくが、緊張のあまりに手が震えてしまう。そんなある日、なつは仲(井浦新)から誘われ、憧れの作画課の部屋を訪れる。下山(川島明)たちとの再会を喜ぶ中、後輩を厳しく指導する女性アニメーターの麻子(貫地谷しほり)を目にし、なつは衝撃を受ける。数日後、なつのもとを背景担当の陽平(犬飼貴丈)が訪ねてきて、十勝にいる弟・天陽(吉沢亮)の近況について語り始めた。



第58回(6月6日・木 放送)あらすじ
なつ(広瀬すず)が自席に戻ってくると、机に置いていた動画用紙がなくなっていた。麻子(貫地谷しほり)が作画課に持っていってしまったという。桃代(伊原六花)から、その動画用紙が大切なものだったことを聞かされたなつは、慌てて作画課に向かう。作画課では、仲(井浦新)や井戸原(小手伸也)たちが動画用紙を取り囲んでいた。そして、麻子(貫地谷しほり)が興奮気味に堀内(田村健太郎)に何かを訴えており…。


(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。 

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ

脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武