通常は限られた日の深夜でないと見られない鉄道車両の「陸送」。これを日曜の日中に行って見学できるようにするイベントが、車両製造工場のある山口県の下松市で再び行われます。

沿道に観覧エリアを設置

日立製作所鉄道車両製造工場(笠戸事業所)がある山口県下松市で2019年7月14日(日)、鉄道車両トレーラーに載せて運ぶ「陸送」の見学イベントが開催されます。2017年に続く2回目の開催。主催者はイベント開催費の一部をクラウドファンディングで調達することを目指します。

下松商工会議所によると、陸送される車両はイギリス高速鉄道計画(IEP)向けの高速車両「クラス800シリーズ」です。当日は完成した車体を載せたトレーラーが、午前10時に笠戸事業所を出発。山口県道366号をゆっくり走り、午前11時には約2km先にある下松港の第2ふ頭に到着する予定です。これに伴い、午前10時から12時まで交通規制を実施。陸送ルートの途中には、観覧エリア(市民運動場周辺)やイベントエリア(くだまつスポーツセンター)を設けます。

また、下松市や下松商工会議所などで構成される「道路を走る高速鉄道車両見学プロジェクト実行委員会」は、イベント開催費の一部を調達することを目指したクラウドファンディングを開始。目標金額は500万円で、金額プラン5000円から100万円まで全11コースになります。

調達した資金は、見学イベントの安全対策費や、日立製作所笠戸事業所のある下松市を「鉄道産業のまち」として全国にPRする情報発信費に使うといいます。クラウドファンディングの実施期間は7月1日(月)23時までです。

通常は深夜だがイベントでは日中に走行

下松市は、瀬戸内海に面した山口県の南東部にある市。山陽本線下松駅から南南東へ約1.7kmの場所には、鉄道車両を製造している日立製作所の工場(笠戸事業所)があります。JRや私鉄などの車両を生産しているほか、国外の車両も製造。近年ではクラス800シリーズを製造しています。

工場で製造された鉄道車両を納入先の鉄道路線まで運ぶ場合、機関車がけん引する在来線貨物列車として運ぶ方式(甲種輸送)や、車体をトレーラートラックの荷台に載せて運ぶ方式(陸送)などがあります。クラス800シリーズは国外向けのため、工場から港まで陸送して船に載せ替えます。

陸送では大きな車体の鉄道車両が道路を走るという珍しい光景が見られますが、通常は交通量の少ない深夜に行われ、陸送のルートスケジュールが公表されることもないため、簡単には見ることができません。

そこで下松市などは、下松が鉄道車両の製造で栄えてきたことをアピールするため、2017年3月に「クラス800シリーズ」を日中に陸送して見学するイベントを開催。下松市民や全国の鉄道ファンら約3万人が陸送の様子を見守ったといいます。

クラス800シリーズ日立製作所が866両を受注。日立製作所の笠戸事業所とイギリスの現地工場で製造されています。2017年10月から、イギリスとのグレート・ウェスタン本線(GWML)での営業運転が始まりました。2019年5月からは、イーストコート本線(ECML)でも営業運転を開始。イギリス鉄道会社のヴァージントレインズが運行する車両には、日本語の「東」にちなんで「AZUMAあずま)」という愛称が付けられています。

【画像】どこを通る? クラス800シリーズ「陸送」ルート

2017年に行われた下松の陸送見学イベント(画像:下松商工会議所)。