梅雨入りニュースが聞かれる時期になりました。買い物などで自転車を使う人の中には、目的地に向かう途中で雨が降ったり、雨の中歩くのが面倒だったりして、片手で傘を持って運転する人も目立つようになります。片手で傘を持ち、自転車を運転する行為は安全性が損なわれそうですが、こうした運転は、交通法規に違反するということで何らかの罪に問われるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

片手運転は道交法で禁止されている

Q.傘を片手で持って自転車を運転すると、何らかの罪に問われるのでしょうか。

牧野さん「携帯電話の通話や操作、傘を差す、物を担ぐなどして、片手で自転車を運転してはいけません。片手運転の禁止(道交法70条、71条、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金)にあたります」

Q.実際に逮捕されるのですか。警告を無視した場合に逮捕されるなど、悪質な場合のみ罪に問われるのでしょうか。

牧野さん「通常、この違反行為だけでいきなり逮捕ということはないでしょう。それに、逮捕されたという例も見当たりません」

Q.傘を差して運転を誤り、歩行者に突っ込んでけがをさせるなど被害が出ないと、罪に問われないのですか。

牧野さん「歩行者にけがをさせてしまうと、過失傷害罪などに問われる可能性があります。のみならず、同時に道交法違反(片手運転の禁止)で罪に問われる可能性があります」

Q.片手運転をして事故を起こさない限り、「片手運転の禁止」では罰せられないということでしょうか。

牧野さん「状況によっては罪に問われる可能性があります。例えば、片手運転を見つけた警察官から注意を受けたのに、それを無視して片手運転を続けた場合、悪質ということで罪に問われる可能性があるでしょう」

Q.自転車用の傘スタンドが販売されています。これを自転車に取り付けて運転すると、両手で自転車を運転できますが、傘を差して自転車を運転することと同じ罪に問われますか。

牧野さん「警察庁から『危険な場合がある』と発表されていますが、傘スタンド自体を規制する法律はまだ制定されていません。そのため、傘スタンドに傘を差して自転車を運転しても、その行為だけでは法的責任を問うことはできません」

Q.雨が降っているときに、どうしても自転車に乗らざるを得ない場合はどうすべきでしょうか。

牧野さん「かっぱを着て運転することがベストです。傘を携帯して自転車で外出しているときに雨が降ってきたら、雨がやむのを待って自転車に乗るか、自転車を押して歩くしかありません」

Q.自転車運転免許が不要で、基本的に交通法規などに書かれているルールを学ぶこともなく、乗ることができます。しかし、自転車に関する交通法規も決まっています。なぜ、自動車のように免許を取ったり、ルールを学んだりする機会がないのでしょうか。

牧野さん「免許の有無と規制とは別物ですので、免許を要求しないから規制できないことにはなりません。歩行者を規制する道交法の規定もあります。例えば、道交法12条(横断の方法)1項には、『歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の付近においては、その横断歩道によって道路を横断しなければならない』とあります。自転車の乗り方や交通ルールは、小学校で最低限の概要を学びますが、それ以降になると、自ら意識してネットなどでルールを学ぶしかないでしょう」

オトナンサー編集部

傘を差して自転車に乗ったら、法的には?