これまで山戸結希監督の『おとぎ話みたい』(13)や松本花奈監督の『脱脱脱脱17』(16)など個性豊かな才能を世に輩出してきた音楽×映像の祭典「MOOSIC LAB2018」で長編グランプリなど4冠を獲得し、第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門にも出品された『月極オトコトモダチ』の公開初日舞台挨拶が8日、新宿武蔵野館にて開催。主演を務めた徳永えりを筆頭に、野崎智子、山田佳奈、穐山茉由監督が登壇した。

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本作は「男女の間に友情は存在するのか?」をテーマに、アラサー女性編集者レンタルオトコトモダチ”の不思議な関係を描いたラブコメディWEBマガジン編集者の那沙は、“レンタル友達”を生業としている草太と出会い、連載企画のために1か月15時間までの月極プランを契約。友達以上恋人未満の絶妙な関係を続ける2人だったが、那沙のルームメイトの珠希と草太が音楽を通じて急接近。物語は思わぬ方向へと転じていくことに…。

主人公の那沙を演じた徳永は「皆さんそれぞれの中に答えがある作品。それをおもしろがっていただけたらいいなと思います」と挨拶をし、那沙という役柄のファーストインプレッションを「イマイチつかみどころがなく、すごく難しい女性の役だなと思った」と述懐。そして「どこをポイントに演じていけばいいか悩んだので、チャレンジし甲斐がある役だと思って挑戦させていただきました」と試行錯誤を重ねながら演じきった役柄に確かな自信をのぞかせていた。

しかし徳永自身「那沙みたいな女友達がいたらイラついてしまう」と本音をぽろり。「なるべくお客さんがイラついてしまわないように、ドジな部分を足していきました」と振り返った徳永に、穐山監督は撮影初日のオフィスでのシーンからすでに徳永が考え抜いた独自の那沙像が炸裂していたことを明かす。「私のリアクションを見ながら、那沙ってこういう感じなんだと瞬時に判断していて、勘がいいなって思いました。見る間に那沙になってくれたのであまり不安はなかった」と徳永の演技力に太鼓判を押した。

それに対し「やってみて怒られたらやめようと思っていた」とはにかみながら明かす徳永。「でも監督はわかりやすくて、ニヤニヤしながらモニターの前にいらっしゃるから、OKって言われる前に顔がOKって言っていた。その表情を見て、これは大丈夫なんだとどんどん足しながら演じていました。怒られずにすみました(笑)」と、この舞台挨拶同様に穏やかで和気あいあいとした撮影現場だったことを窺わせる。

そして本作のテーマでもある「男女の友情は成立するか?」という問いについて、徳永が「私は、すると思います」と即答すると、野崎と山田もそれに同意。一方穐山監督は「女性は“成立する”派が多いですよね。でも私は“あり寄り”だけどちょっとないかなって思うことも…。私は曖昧なグレーなところが好きで、そのボーダーラインを行き来する感じや、降ってきてしまう恋愛感情を飛び越えてしまった時にできる2人だけの関係もロマンティックでいいかなと思っている」と熱弁。

そんな穐山監督の持論に、自身も映画監督として活動している山田は「穐山監督は新しい選択肢を作っていくのがお上手な人」と賛辞を送り、徳永も「友情とか愛情とか、本人たちがどういたいかというのも選択肢のひとつ。でもどちらかが恋愛感情を抱いてしまったら何かしらの答えを出さなきゃいけない。穐山さんの描かれた世界観は共感ができますし、新しい提示なんだと思います」と語った。(Movie Walker・取材・文/久保田 和馬)

『月極オトコトモダチ』の初日舞台挨拶に徳永えりが登壇