今シーズンリーガ・エスパニョーラは、リオネル・メッシが独占した。バルセロナリーガ連覇を決めた翌日、4月28日スペインスポーツ紙は「メッシが10度目のリーガ制覇」(地元紙『アス』)、「リーガメッシのものだ」(地元紙『スポルト』)という見出しと共に、世界で最も有名なアルゼンチン人が一面を飾った。

 同国で最も発行部数が多い地元紙『マルカ』は「10の10」という見出しで、いろいろな含みをもたせていた。メッシ背番号であり、メッシ個人にとって通算10度目のリーガ制覇であり、またスペインテストや戦績表の採点は10点満点なので、メッシが完璧だったということも意味する。バルセロナキャプテンは36得点を決め、3シーズン連続で得点王にも輝いていた。メッシの、メッシによる、メッシのためのリーガだった。

 リーガがこれまでのシーズンと大きく違っていたのは、今季導入された「VAR(ビデオアシスタント・レフェリー)」だ。2017-2018シーズンと比較するとシーズンを通じてレッドカードは26枚から32枚へ、PKは113本から130本へと増えた。一方で2枚目のイエローカードは1枚、抗議によるカードも46枚、シミュレーションは13回減った。

 ただ、VARを利用するかしないかの最終的な決定権は主審にあるので、結局今シーズンも多くのジャッジが議論の対象となっていた。代表的なのは、11月25日に行われた第13節ヘタフェ対アスレティック・ビルバオ戦の94分のプレーだった。エリア内でヘタフェのハイメ・マタがイニゴ・マルティネスに倒され、誰が見ても明らかなPKだったが、主審はVARを採用しなかった。VARがあっても、ジャッジへの疑惑、議論は終わらなかった。

写真=ゲッティ イメージ
文=座間健司

◆■11位:アラベス 70点

 今シーズン序盤のサプライズは、アラベスだった。

 第8節ではレアル・マドリードに勝利し、第9・10節終了時には2位に躍り出る。シーズンが1巡目を終了する頃の成績は9勝5分5敗、22得点19失点、勝ち点32で4位だった。1部残留が目的のチームが、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を狙える位置につけたのだ。

 アベラルドフェルナンデス監督が率いるアラベスは、基本的に4-4-2システムを採用し、サイドから攻撃を展開した。躍進の立役者は、サイドアタッカーだった。左サイドのホニーは、今シーズン4ゴール11アシストを記録した。また、右サイドのイバイ・ゴメスも18試合で3ゴール4アシストを挙げていたが、冬の移籍市場で古巣アスレティック・ビルバオに帰郷した。さらに、3ゴール1アシストと短い出場時間で結果を出していたルベン・ソブリーノも、同時期にバレンシアに去った。彼らの代わりにやって来たのは乾貴士ディエゴロランだったが、前者は2ゴール、後者は無得点に終わり、その穴を埋められなかった。

 2巡目のアラベスは、様変わりした。19試合で4勝6分9敗、17得点31失点で手にした勝ち点は18だけ。CL出場は難しくともUEFAヨーロッパリーグ(EL)の出場権は獲得できるだろうと思われていたが、それも結局叶わなかった。

 第31節レガネス戦はホームゲームだったが、サポーターグループが反暴力規律委員会からの罰金への抗議を込めて、応援をボイコット。静かな『エスタディオ・デ・メンディソロツァ』の様子を、地元紙『エル・コレオ』は「音楽がなければ踊れない」と報じ、スタジアムに熱気がなかったことを嘆いた。こういったことも、2巡目の低調の要因になっていたのかもしれない。

◆■12位:エイバル 65点

 5シーズン連続で、目的である1部残留を決めた。チームの顔は、ホセ・ルイス・メンディリバル監督。ベンチ前で選手たちに対して怒鳴り散らしたり、熱狂をピッチに伝染させるその人だ。2015-16シーズンからチームを率いる指揮官は、28,9歳とリーガで最も平均年齢の高いメンバーを束ね、着実に勝ち点を積み重ねた。今季は第2節に降格圏内の19位になっただけで、残留争いに巻き込まれることなく、平穏なシーズンを過ごした。

 戦績の安定の要因は、7,083人収容と小さい本拠地『エスタディオ・ムニシパル・デ・イプルーア』にある。今シーズン手にした勝ち点47のうち、70%に該当する33ポイントホームで勝ち取ったものだ。上位10チームの中で、このエイバルの“要塞”から勝ち点3を持ち帰れたのは、アトレティコ・マドリードセビージャの2チームだけ。リーガ王者バルセロナは引き分け、レアル・マドリードは負けた。ホームでの得点数は19試合で31得点と、リーガでも上から5番目に多い。14ゴールチームで最も多くネットを揺らしたブラジルストライカーシャルレスはホームで11ゴールエースの本拠地での強さは、数字にも如実に表れていた。

◆■13位:レガネス 60点

 1部残留という目的を果たしたレガネスだが、序盤は常に降格圏内が定位置だった。マウリシオ・ペジェグリーノ新監督が率いるチームは、開幕から1分4敗と5試合勝ち星がなく、最悪のスタートを切った。本拠地『エスタディオ・ムニシパル・デ・ブタルケ』で行われた第6節バルセロナ戦で誰もが予想しなかった勝利を手にしたが、勝ち星は続かず、第12節まで降格圏内にいた。

 転機となったのは、敗れはしたが、第10節レバンテ戦だった。このゲームで初めて3バックを採用したのだ。アルゼンチン指揮官が戦術の幅を広げ始めると、第11節から7試合で2勝5分と黒星がなくなり、1巡目を勝ち点22の10位で終えた。2巡目になると連勝は2回しか記録できなかったが、連敗も一度だけと大崩することなく、降格圏内に下降することなく13位でシーズンを終えた。1部残留に導いたマウリシオ・ベジェグリーノ監督は、2021年までクラブとの契約を更新した。

◆■14位:ビジャレアル 40点

 失敗のシーズンだった。リーガで予算が上から6番目のチームが14位で終わり、なおかつ一度も欧州カップ戦の出場争いに加わることができず、常に降格の不安を抱えていたのだ。

 開幕15試合で3勝5分7敗という戦績もあり、ハビエル・カジェハ監督が解任され、ルイス・ガルシア・プラザが新指揮官となった。だが、チームリーガ6試合で4分2敗と、相変わらず復調からはほど遠い状態だった。

 すると、前監督のカジェハがわずか2カ月でカムバックを果たす。フェルナンド・ロッチ会長は、本当は負けが積み重なってもカジェハを手元に置いておきたかった。サッカーに対するアイデアや信条が近く、若い選手を積極的に登用するという姿勢が、自身のポリシーと同じだったからだ。ゆえに会長は、外から見れば奇妙なことだったが、独断で指揮官を短期間で復帰させた。

 カジェハは復帰すると3バックを採用し、サンティ・カソルラを中盤の真ん中に配置し、カール・トコ・エカンビとサムエル・チュクウェゼをサイドアタッカーとして起用した。すると、チームは17試合で7勝5分5敗を記録し、降格を免れた。

 ピッチの主役は、カソルラだ。度重なるケガの影響で2016年10月以降ピッチに立っていなかったが、プレシーズンを経てビジャレアルに復帰するとリーガでは35試合に出場し、4ゴール10アシストを記録。シーズン終了後には、34歳にしてスペイン代表に復帰した。

 また今シーズンビジャレアルブレイクしたのがチュクウェゼだ。5月に20歳になったばかりのナイジェリア人アタッカーは、ジェラール・モレノやカルロス・バッカといった実績のある先輩たちを差し置いて、脚光を浴びた。やはりビジャレアルは、降格争いをする陣容ではない。

◆■15位:レバンテ 50点

 2016-17シーズンに1シーズンで2部から1部に復帰し、昨シーズンと今シーズンは15位と同じ順位で残留に成功した。シーズン序盤は欧州カップ戦の出場権争いの渦中にいたが、その後は残留争いを強いられた。1部残留という目的を達成したが、昨シーズンと比較すると勝ち点が2ポイント少なかった。

 昨シーズンとの大きな違いは、厳しい時に監督を信頼し続けたことだ。チームを牽引したのは、地元出身で現役時代にもレバンテでプレーした経験があるパコ・ロペス監督だ。昨シーズンは危機にあったチームを下部組織で指揮をしていた彼が3月から率い、就任してから9試合で勝ち点22を手にし、残留に導いた。この奇跡のような結果を残したことから、地元紙『スーペル・デポルテ』からは“スーパー・パコ”と評された。

 残留の立役者は、キャプテンのホセ・ルイス・モラレスだ。自身のキャリア最高となる、37試合で12ゴール5アシストを記録。レバンテの攻撃は、彼がボールを持った時から始まっていた。下部から生え抜きのロジェール・マルティも13ゴールを決め、チーム内得点王になった。中盤ではホセ・カンパーニャがゲームコントロールした。彼らはチームに在籍して3年以上の選手たちだ。

 レアル・マドリードからレンタル移籍で獲得したボルハ・マジョラルを筆頭に、新戦力は思うような活躍ができなかった。ゆえにチームシーズンが終わると、来季に向けてすぐにスポーツディレクターとの契約延長を行わなかった。

◆■16位:バジャドリード 80点

 1部復帰して初年度のバジャドリードにとって、残留は大きな成功だ。なぜなら、1部で最も予算が少なかったチームが16位でシーズンを終え、昇格組3チームの中で唯一の残留に成功したからだ。地元紙『アス』は、昨シーズンの昇格と今シーズンの1部残留を演出したセルヒオ・ゴンサレス監督の仕事を「奇跡」と評した。

 新シーズン開幕時にレアル・マドリードバルセロナで活躍した元ブラジル代表ロナウドクラブ株の51%を購入して会長となり、メディアの注目も高まった。本拠地『ホセ・ソリージャ』の平均観客数は約1万9,000人で、レアル・マドリードバルセロナなどのビッククラブが来なくてもスタジアムは埋まった。そして、チームもその期待に結果で応え、理想的な形で昇格1年目を終えた。

 残留のキーマンとなったのは、冬の移籍市場で加入したセルジ・グアルディオラだ。2015-16シーズンに冬の移籍市場でバルセロナBへの加入が決まったが、カタルーニャ州を侮辱した過去のツイートが問題となり、数時間後に契約が破棄され一躍有名になった彼は、バジャドリードで17試合出場し3ゴール3アシストを記録した。また前線で確かなパートナーを手にしたことで、序盤は低調だったトルコ代表エネス・ウナルが復調し、6ゴールチーム内得点王になった。

◆■17位:セルタ 40点

 残留を競うようなチームではない。しかし今シーズン、セルタは最後まで残留争いに巻き込まれた。その迷走は1シーズンで3人も監督が代わったことからも読み取れるだろう。アルゼンチン人監督アントニオ・モハメドの下で新シーズンスタートしたが、第12節終了時点で14位となり、モハメドは2018年のうちに解任された。次にポルトガル指揮官ミゲル・カルドソがやって来たが、リーガ13試合で3勝しかできず、かつてヘタフェ、ビジャレアルを指揮したフラン・エスクリバ監督が第27節からベンチに座った。スペイン指揮官は12試合で4勝4分4敗と劇的にチームを変貌させたわけではなかったが、何とか降格を免れた。

 セルタにとって誤算だったのは、絶対的なエースであるイアゴ・アスパスの負傷だ。彼がケガにより3カ月の戦線離脱を強いられたのは、セルタにとって非常に痛かった。今シーズンは27試合しか出場することができなかったが、それでも20ゴール6アシストを記録。1試合平均0,74ゴールという高い得点力を発揮し、4シーズン連続でリーガで最もゴールを決めたスペイン人となったのは流石だ。

◆■18位:ジローナ 30点

 シーズン1巡目を終えた時には9位だったジローナが、シーズン終了時に降格するなんて誰が想像できただろうか。指揮官への過剰な信頼が命取りとなったと思われる。エウゼビオ・サクリスタン監督が率いるチームは、2巡目の19試合で4勝1分14敗と散々な成績しか残せず、わずか13ポイントしか手にできなかった。

 クラブには監督を代えようと思った時期が二度あった。一度目は、第23節ウエスカ戦後。この試合の敗戦によって連敗は「4」にまで伸び、かつ10試合連続で勝利から見放されていた時だ。二度目は第34節バジャドリード戦後で、チームが6連敗目を喫した時である。戦績は悪かったが、クラブ指揮官を信頼するゆえに辛抱強く待つことを選択した。その信頼と忍耐が、結果的には裏目に出てしまった。

 降格の要因の一つに、本拠地『エスタディ・モンティリビ』での弱さが挙げられる。今シーズンホームでの19試合で3勝6分10敗、15ポイントしか手にできなかった。加えて、得点力不足も深刻だった。ウルグアイストライカークリスティアン・ストゥアーニが19ゴールポルトゥが9ゴールを決めたが、この2人以外にゴールを決められる選手がいなかった。2人の次に多くネットを揺らしたのは、守備のタスクを課せられた中盤のアレイクス・ガルシアで2ゴールだった。

◆■19位:ウエスカ 50点

 クラブ史上初めての1部挑戦だったが、わずか1シーズンで2部降格となった。ウエスカは1部20チームの中で2番目に予算が少なく、さらに1部での経験もなかった。シーズン序盤は第3節を除いて常に降格圏内におり、全38節のうち29節を最下位として過ごした。ウエスカで2016年に現役を引退したレオ・フランコが初めての監督業をスタートさせたが、開幕8試合で1勝2分4敗と負けが込み早々と解任。フランシスコ・ロドロゲスが後を引き継いだが、大幅な改善は見られなかった。

 ウエスカはシーズン1巡目の19試合で2勝5分12敗、17得点36失点の勝ち点11と1部の厳しさを思い知らされた。2巡目は19試合で5勝7分7敗、26得点29失点の勝ち点22と1巡目の倍の勝ち点を奪ったが、それでも降格を逃れられなかった。仮に2巡目のペースで1巡目も過ごせていれば残留ができたことを考えると、ブーストをかけるのが遅かったと言える。アルゼンチンストライカー、エセキエル・アビラは34試合で10ゴール2アシスト、特に2巡目では9ゴールブレイクしたが、チームを残留に導くことはできなかった。

 ウエスカはリーガの全日程を終えた後に、アグスティン・ラサオサ会長が八百長疑惑で逮捕された。クラブ史上初めての1部を過ごしたシーズンは、降格以上に暗い事件と共に幕を閉じようとしている。 

◆■20位:ラージョ・バジェカーノ 40点

 最下位に終わったラージョ・バジェカーノで最も輝いていたのが、ラウール・デ・トマスだった。ドミニカ人の母を持つ24歳のスペインストライカーは、シーズン終了後にレンタル元であるレアル・マドリードへの復帰が確実視されている。昨シーズンは2部で24ゴールを決めたデ・トマスは、今シーズン1部で33試合に出場し14ゴールを決め、その得点力が変わらないことを実証した。

 すでに18シーズンを1部で過ごした経験があるラージョ・バジェカーノにとって、今シーズンは3季ぶりとなる1部の舞台だったが、全38節のうち34節を降格圏内で過ごし、1シーズンで降格となった。降格の最大の要因は、脆弱なディフェンスだ。38試合で70失点とリーガで最も失点が多いのがラージョ・バジェカーノだった。第28節で指揮官の座を追われたミチェルも、後を引き継いだパコ・へメスも、センターバックを固定することができなかった。センターバックのジョルディ・アマトは31試合に出場していたが、パコ・へメスがそんな彼さえもベンチ送りにするほど、チームをまとめられるディフェンダーがいなかった。

18-19シーズンのリーガ・エスパニョーラを総括 [写真]=Getty Images