東京証券取引所の市場区分見直しに関する情報を顧客に漏らしたとして金融庁から5月28日、業務改善命令を受けた野村證券。31日には財務省日本郵政株売出しの主幹事から野村を外した。

 永井浩二・野村HDグループCEO(60)らは役員報酬の一部返上を決めたが、一方で事態の沈静化に躍起だ。

 小誌は野村が作成した〈社内向け 想定Q&A〉(5月24日付)を入手。〈明確な法令違反との結論には至っておりません〉〈2012年の(インサイダー)事案とは(略)取り組みの姿勢等の違いは多くございます〉〈本事案を受けての(役員の)退任は、予定しておりません〉などと記され、“早期幕引き”を図りたい意向が垣間見える。

 40代社員が嘆息する。

「現場と経営陣とのギャップが開きすぎています。永井CEOは『細かい事に気づくタイプ』と自称しますが、5月22日にもマネー現代のインタビューで『現場の動きが鈍い。センスがない』と発言し、若手の志気を下げていました」

「あなた自身はどうなの」 出席者が白けた副社長の“訓示”

 情報漏洩をすでに認識していた4月初旬。本社で各支店の“稼ぎ頭”が集まる全国営業課長会議が行われた。この場で「永井氏と近く、HDの営業部門長も兼ねる」(同前)新井聡副社長が約20分間の“訓示”を行ったのだが、

「今まで以上にスピードを上げて収益を確保して欲しいと檄を飛ばすだけで、具体的な施策は全くない。かと思えば、ライバル社のSMBC日興証券の清水喜彦社長を持ち出し、『清水さんは今も自分で営業して案件を取ってる。皆さんも清水さんに負けないように頑張って下さい』と。さらに『内向き、上向き、後ろ向きがはびこっている』という表現で、今の社員は社内や上司ばかり見ていると批判していましたが、出席者たちは『あなた自身はどうなの』と白けていました」(同前)

 4月下旬には、営業企画部から「新井副社長から説明がありました通り、現状打破の為に営業部門の部門名を変える。名称を公募します」などと書かれたメールが営業部社員に送られてきた。

「この緊急時に、部署の名前を変えることで一体何が変わるのか……」(同前)

 現場に責任転嫁するCEOと副社長。再生への道は険しい。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年6月13日号)

異例の8年目に突入する永井CEO ©共同通信社