贅沢な悩みにも見えますが、本人にとっては切実です

世帯年収の中央値が400万円台である日本。世帯年収が1200万円なのに「幸せじゃない」と言われたら、「ん?」と引っかかってしまう人は多いだろう。6月9日、キャリコネニュースに掲載された「地方の『小金持ち』世帯年収1200万円でも虚無感」との記事が反響を呼んだ。

記事は2ちゃんねるのスレッドにあった、地方在住で年収600万円、結婚して世帯年収1200万円になり、子供もでき、貯金も2年で600万円貯まったというのに「幸せを感じない」という投稿を紹介したもの。 スレ主は「欲しい物とかもない。なんなのこの虚無感」「(貯金はあっても)自分を満たす方法がない」「女にモテたいとかもなくなった」と綴っており、記事の執筆者は「結構な地獄だと感じた」と評している。(文:okei

批判の一方、「もう欲しいものがない虚無感はわかる」との共感も


翌10日のガールズちゃんねるでは、この記事が注目され物議を醸した。まず「お金あってもすること無さそう」「田舎つまんないもんね」といった声のほか、

「いやいや貧乏より遥かに幸せだよ」
「一度貧乏になって生活に追われたら自分がどれだけ恵まれてる状況がわかると思う」

と突っ込む人も。そして多くの人が、

「子供が産まれて、金の心配なくても虚しいなら、この人はどこで生きても幸せじゃないと思う。もう枯れてるんだよ」

と冷たい言葉を書き込んでいた。場所は関係なく、お金があってもなくても「つまらない人間」で、どこにいても一緒という声だ。ほとんどの人が一歩引いて、「贅沢」なスレ主を批判的に捉えていた。

一方で、少数だが共感の声もある。「欲しいものを全部手にいれて、もう欲しいものがない虚無感はわかる」と書いた人は、「自分が一生懸命になれるものを必死で探しても、そんな理由じゃ見つからない。こんな贅沢な悩み、誰にも言えない。夢に向かってがむしゃらに頑張ってる人が羨ましい、きっと嫌味に聞こえてしまうんだろう」と胸の内を明かした。確かに嫌味に聞こえないこともないが、人は同じ立場に立ってみないと見えない現実もある。

ひろゆき氏「幸せを感じるか否かに関して、『お金』ってほとんど関係ない」

お金持ちの意見として、2ちゃんねるの元管理人ひろゆき氏は、自著『自分は自分、バカはバカ』(SBクリエイティブ)の中で、「幸せを感じるか否かに関して、『お金』ってほとんど関係ない」と書いている。お金があれば色々とできることは増え、愛人もいっぱい作れるが、「この相手はお金で買ったのだ」などと考えた途端、その幸福感はどこかに行ってしまうという。

さらに、お金持ちの人はたいてい「車って800万円でも1000万円でもぶっちゃけたいして違いなくね?」と実感しているそうだ。実際のところ、車以外もだいたい同じことで、

「つまり、お金をたくさん使うことで得られるものには限界値があるのですよ」

とお金持ちの実感を説いている。「幸福とは価値のついていないもので決まる」として、海外旅行は薦めていた。

ひろゆき氏にとっては旅行だが、問題のスレ主の場合は、客観的に見て家族と一緒に過ごすことで幸せを感じられないの?と疑問を感じてしまう。ガルちゃんのコメントには、「育児してるのかねこの旦那。幸せかどうかとか言ってる場合じゃねぇよ。嫁子供を幸せにしたれよ」といった声もある。家族を幸せにすることで自分も幸せになるという考えは理想論かもしれないが、これぞお金では買えない"価値のついていないもの"だろう。本人がそこから遠いのであれば気の毒だ。