ウニは日本の食文化においては馴染みの深い存在である。そのウニを、クローバーなどのマメ科植物を餌にして肥育する技術を九州大学と宮城大学のグループが開発し、特許出願した。

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 研究開発に参加しているのは、九州大学大学院農学研究院の栗田喜久助教、宮城大学食産業学群の西川正純教授、片山亜優助教ら。

 ウニは寿司店のカウンターの中にあっては高価で稀少なものであるが、実は近年、日本各地の沿岸部において大発生し、海藻を食べ尽くして沿岸の生態系や漁業に深刻な悪影響をもたらしている。これを「磯焼け」という。

 磯焼けを起こした海域のウニは、痩せているため採ってもそのままでは商業的価値はない。仕方がないので駆除されているが、もちろん駆除にもコストがかかるため、頭の痛い問題となっている。

 この痩せたウニを養殖(肥育)して、なんとか値段のつくウニにできないか、というのが今回の研究である。

 ウニの主な餌はコンブであるのだが、これは季節性などもあって入手が容易でない。そこでコンブに代わるウニの餌として注目されたのがクローバーだったというわけだ。

 クローバーはまたの名をシロツメクサという。原産地はヨーロッパで、明治時代以降、飼料用に輸入されたものが野生化した外来種である。「四つ葉のクローバー」などといって有難がる向きもあるが、海におけるウニと同様、陸上におけるクローバーも恐るべき繁殖力を持った生物である。

 さて、このクローバーを2か月ほどキタムラサキウニに与えたところ、コンブを与えたウニと変わらないほど生殖巣(ウニの可食部)が成長するという結果が得られた。味や栄養面についても調査したが、従来の餌による養殖と比べても遜色のない品質であるという。

 今後、漁協や養殖業者などと提携し、事業化・商品化の道を探っていくとのことである。

クローバーでウニを育てる技術、九大と宮城大が開発 商用化目指す