札幌市交通局は、旅客運送主体と施設・車両の保有整備主体を切り分ける上下分離方式を2020年度に導入する。

札幌市交通局は現在、交通局が旅客輸送とインフラ保守業務を一体で行っている。上下分離後は、施設・車両の保有整備は交通局が担い、旅客運送は一般財団法人 札幌市交通事業振興公社が担う。

上下分離導入の意図

路面電車事業に上下分離を導入することで、経営基盤の強化、安全管理体制の維持・継続、新たな事業者による利用者サービスの向上などが可能に。

また、交通局が引き続き施設・車両の保有整備を担うことで、路面電車札幌市のまちづくりに活用すること、安全で便利な公共交通機関としての役割を維持できる。

上下分離の導入メリット

上下分離を導入することで、交通局が経営を継続した場合と比較し、経費や人件費の縮減により収益性が高まり、累積損益が好転するなど経営の安定・強化を図る。

また、運送事業者(公社)は、運送事業に特化した経営に専念できるなど、経営の効率化に取り組める。

さらに、安全運行の要となる運行管理員人材を長期的に確保できるようになり、車両や設備の維持管理に係る技術を習得した職員がその専門業務を継続して担当できる。将来にわたり安全運行のノウハウや技術・技能の継承を図れる。

収益向上と利用者サービス向上

交通局が公営交通事業に附帯する事業(現状では広告・不動産貸し付けなど)を行う場合、地方公営企業法などの制約を受ける。

上下分離後は、新たな運送事業者(公社)による柔軟な事業展開をすすめられる。またさまざまな利用者サービスの取組・向上が期待できる。

安全の担保

いままでと変わらない安全管理体制を確保するために、上下分離へ移行するさいは、運送事業者(公社)に対して現在路面電車事業に従事している交通局の正職員を派遣。

また現在、運行に従事している非常勤運転手が公社に移籍し引き続き運行を担う。現行の運行体制と同じ体制とすることで、安全運行を確保する。さらに、上下分離移行後も計画的な人材育成・技術継承を行っていく。

ダイヤや料金は現在と同じ水準に

乗車料金や運行ダイヤなどの利用者サービスは、上下分離後は運送事業者(公社)が決める。引き続き、現在と同じ水準を維持する予定。