すっかりテレビでもおなじみの顔となった女性ピン芸人・ゆりやんレトリィバァが、2019年7月、地元・奈良公演を含む初の単独ライブ全国ツアー「ゆりやんJAPANツアー」を開催。

【写真を見る】ミュージカル風のポーズを取り続けるうち、何だか訳が分からなくなってきたゆりやん

ゆりやん唯一無二の「ネタ」はもちろん、公演ごとに異なるゲストを迎えての「トーク」コーナー、さらには目下習得中のポールダンスを盛り込んだ「ミュージカル」も用意しているとあって、期待の声が高まっている。

テレビジョンでは、そんな初ツアーへの意気込みを聞き出すべく、ゆりやんを直撃。単独ライブへの思い入れを中心に、最近のテレビでの躍進ぶり、また「チルテレ」(BS日テレ)でも共演中の敬愛する先輩・友近についてなど、さまざまな話題を、バラエティー番組さながらサービス精神たっぷりに語ってもらった。

■ 「忙しくて単独ライブをやる時間がない、なんていうのは本末転倒

――まず、初の単独ライブツアーを開催することになった経緯からお聞かせください。なぜ今、このタイミングで?

私は今年で芸歴7年目なんですけど、単独ライブは毎年必ずやらせてもらってるんですね。でも基本的に東京と大阪だけなので、もっといろんな所でやりたいっていうのは、ずっと思っていて。単独ライブでしかできないような自分が好きなネタを、全国でやってみたいなぁって…そういう浅はかな理由なんです(笑)。

――テレビのお仕事が、年々お忙しくなっている中で…。

全然ですよ~。小学生の時よりは忙しいですけど。

――(笑)。そんな中での全国ツアーは大変だと思うんですけれども。

まぁ、忙しいって言ってもジャスティン・ビーバーさんよりは忙しくないので(笑)。本来、私がやりたいことは“お笑い”、“ネタ”なので、忙しくて単独ライブをやる時間がない、なんていうのは本末転倒っていうか、「何を言うてるんや!」っていうことで。単純にやりたいことやから、全く苦ではないし、ほんまにただただ楽しいだけなんです。

――ゆりやんさんにとっては、やはり“ネタ”が仕事の中心にあるのでしょうか。

そうですね、真ん中にあるのがネタで、もっと真ん中にあるのは、友近さんとやってる「チルテレ」っていう番組です(笑)。最近はもう友近さんが好きすぎて、こういう取材のとき、友近さんと関係なくても、「友近さん大好き!」って言うてるんです(笑)。そのくらい好きで、昨日も二人で散歩してました(笑)。

■ 「『私は今、こういうことを考えてます』というのを見てもらいたくて」

――今回のツアーでは、「ミュージカル」のブロックがあるそうですが、これも友近さんの影響ですか?

これまでの単独ライブでは、ネタ以外に自分一人のトークコーナーとか、自分一人でふざけるだけのコーナーとかを(笑)やってたんですけど、今回は、元々ミュージカルが好きなのでやってみたいなって。それがまずあるんですけど、友近さんの影響ももちろんあります。以前、私が出させていただいた水谷千重子さんの座長公演に、お芝居のブロックがあって、「お芝居かっこいい!」って思ったんですよね。

だから結局どっちにしても、憧れの気持ちだけなんです。ミュージカルと言っても全然、劇団四季やブロードウェイのゆりやんバージョン、みたいなことではなくて。ミュージカル経験者ゼロの人間が作るミュージカルミュージカルの俳優さんやダンサーさんもいるんですけど、基本的には皆さんに、私の長尺のミュージカルコントにお付き合いいただく感じです(笑)。

ゆりやんレトリィバァの単独ライブって言うと、英語のネタだとか、ドラえもんのネタをやると思って見に来てくださる方も大勢いらっしゃることは重々承知しているんですけど、単独ではいつも、そういうテレビでやってるネタも何個かやりつつ、“自分がただやりたいネタ”っていうのもやっていて。単独でしかやったことのないネタもたくさんあるんです。「私は今、こういうことを考えてます」とか「こんなんが好きなんです」というのを見てもらいたくて。

――「自分がただやりたいネタ」というのは、具体的にはどういったことを?

まだネタになってない段階、自分の頭の中にだけあるような段階のものを、ただお客さんに見てもらう、という時間ですね。例えば、秋川雅史さんの替え歌で(突然、立ち上がって歌い出す)「♪線の出~ない~、線の出ないパンツ穿いて~」(と、後ろを向いてお尻をこちらに突き出す)とか(笑)。あと、YouTuberの方とか学園祭実行委員の学生さんとかの“人前でしゃべるのが慣れてる人の首の動き”、こういうの(首を小刻みに左右に動かす)とか(笑)。そういうのを1時間くらい、ひらすらやり続けたり…文章では表現しづらいですよね、ごめんなさい。

――いえいえ(笑)。そういったネタに対するお客さんの反応は?

毎回アンケートに感想を書いていただいてて、お笑いライブは普通、「面白かったです」みたいな感想をお書きになる方が多いと思うんですけど、私の単独では、「学校の休み時間に、教室で友達がふざけてるのを見ていたような気分」と書いていただいたり(笑)。

――「教室で友達がふざけてる」といった感想は、うれしいものなんでしょうか?

はい、うれしいです。芸人としてぜいたくを言わせていただくとしたら、3時間ぶっ続けで拍手笑い、というのが一番ですけど、そんなことはまずないライブなので(笑)。とにかく、「こいつ、これ言いたいだけやん」とか、私がやりたいことを共有して笑っていただけるとうれしいですね。

■ 「ナダルさんに『木から降りられなくなったパンダやん』と言われちゃいました(笑)」

――でも時には、ゆりやんさんの「やりたいこと」がお客さんと共有できないときもあるのでは?

あります、あります。5分くらいずっと、人っ子一人笑わないネタもありました(笑)。近未来っぽい設定で、丸裸でスキンヘッドの私が、紫色の培養液に浸かってるっていうところから始まるんですよ。「20XX年、地球は核戦争により人類は全てAIによって支配されている。ある少女の誕生によって地球は大きく変わろうとしていた…」みたいなナレーションが入って、その後、「かの天才、アイザック・ニュートンは、ある朝こう言った。…『おはよう』」とか、延々とどうでもいい話をし続けて、結局何にも起こらずに暗転で終わるんですけど、最後に暗くなった瞬間、客席から「…え?」って(笑)。

――それはがぜん見たくなってきました(笑)。

ありがとうございます(笑)。

―― 一方、トークコーナーでは回替わりでシークレットゲストを迎えるそうですね。

はい、シークレットなので名前は出せないんですけど、皆さん、私の大好きな方ばかりです。その方々と一緒に、トークというか…やっぱり、ただただふざける時間になると思います(笑)。私の場合、そんなんやったらいくらでも、次の日の朝までできるんですけども(笑)、今回は凝縮して、お客さんの前で楽しいことをする時間、とご理解いただければと思います。

──また、今回はポールダンスを披露する予定とのことですが。

はい、さっきお話しした、“ミュージカル、かっこ笑い”(笑)の中に取り入れたいなと思っています。大阪で習い始めて、半年くらい経つんですけど、最近レッスンに行けてないので、レベルでいったら、始めて3日目の初心者と同じくらいやと思います。

――(笑)。そもそも、ポールダンスに興味を持つようになったきっかけは?

元々テレビとかで見て、すごいなぁとは思っていたんですけど、番組のロケで、友近さんに愛媛県道後温泉に連れていっていただいたときに、ニュー道後ミュージックっていうストリップの劇場で、ポールダンスを踊るダンサーさんがいて。それがめっちゃかっこよくて圧倒されて、そのときに「私もやりたい!」と思ったのが最初ですね。

ポールダンサーの方って、めっちゃ簡単そうに軽々踊ってますけど、実際やってみるとめっちゃ大変で。とにかく皮膚が痛くて、熱いんです。でも、それなりに形になると気持ちいいですし、「回れてる」っていう喜びはありますね。こないだ自分が踊ってるところを動画に撮って、それを(コロコロチキチキペッパーズの)ナダルさんに見てもらったら、「木から降りられなくなったパンダやん」と言われちゃいましたけど(笑)。あ、ご覧になられますか? (自身のスマホをしばらく操作するも)…すいません、消しちゃったみたいです(笑)。とにかく本番までにもう少し詰めて、できる技を増やしたいなと思ってます。

■ 「ネットで『空気止めるな』とか書かれていて、『ほんまにそうやな、すいません』って」

―― 一方、テレビの活動に関しては、「R-1ぐらんぷり」(フジテレビ系)ではファイナリストの常連となり、第1回の「女芸人No.1決定戦 THE W」(日本テレビ系、2017年)では見事優勝されて。それ以降、各局の番組にたくさん出演するようになりました。この現状をご自身ではどんなふうに捉えていますか?

ホントに楽しいなって思います!…すいません、普通で(笑)。あと思うのは、やっぱりテレビのすごさというか。昔は、「YouTube見ました」とか「インスタ見ました」と声を掛けてくださる方がほとんどで、それはもちろんありがたいことなんですけど、テレビに一回出させてもらうと、ほとんどの方が「○○の番組、見ました」って声を掛けてくださるようになって。テレビの影響力ってほんまにすごいんやなって、改めて思いますね。

――いろんな番組に出演されてきた中で、テレビの仕事における課題は見つかりましたか?

ナンボでもあります。私は芸人さんが大好きやし、尊敬してるんですけど、その割に「自分が、自分が」ってなってしまうんですね。共演してる芸人さんがエピソードトークをしてるのに、「ちょっといいですか?」って変な止め方して、自分の話を始めちゃったり、しかもその話も、最後までしゃべっても「結局何やねん」みたいな話だったり(笑)。ネットで検索してみると、「ゆりやん、空気止めるな」とか書かれていて、「ほんまにそうやな、すいません」って思います。やっぱり、ちゃんと話せるようになりたいし、ちゃんと人の話を聞いて、流れを見れるようになりたいですね。

――そのあたりは、場数を踏むことで、ある程度は克服できるものなんでしょうね。

「場数…バカ・ず~! しょうもな!(笑) こういうことをすぐ言ってしまうんですよ。こないだ、占い師さんから「あなたに話の腰の骨を折られるのを嫌がっている人がめっちゃいる」って言われたんですけど、考えたら、そこはもう占いと関係ないですよね(笑)。その占い師さんが個人的にそういう笑いを嫌がってるだけやないか、っていう。とにかく、みなさんにも占い師さんにも楽しんでもらえる芸人になりたいです!

――では最後に改めて、全国ツアーについてメッセージをお願いします。

今回、初めて全国ツアーをやらせていただきます。テレビとは違う私のネタを楽しんでいただきたいですし、ゲストの方が誰なのかも楽しみにしていただきたいです。で、ゆりやんレトリィバァの単独ライブならではの「こいつは何がやりたいんや」っていう、そういうところも一緒に楽しんでもらえるようなライブになればと思っています。なので…(突然立ち上がり)落ち着いてぇ~~~(と言いながら部屋中を走り回った後、大見得を切って)来てや~!!」

――ありがとうございました!(笑)(ザテレビジョン

初の全国ツアーでミュージカルに挑戦するゆりやんレトリィバァ。さっそくミュージカルの予行演習?