スズキがさまざまな車種へ展開している「スズキイージースタートシステム」。新型カタナにも採用されているが、名前だけ聞いてもなんのことだかよくわからない。二輪専門誌などでも、なかなか取り上げられることはない。まぁ実際のところ、かなり地味な装備なのだが、あればあったでとっても便利なのも事実。そんな謎の装備の真実に迫る!(大袈裟)

h2まさか……キックスターターじゃないバイクのこと?

スズキイージースタートシステム」と聞いても、多くの人にとってはなんのことやらだろう。まさかプッシュボタンスターターのこと? キックじゃないバイクのこと? そんなの当たり前なのに、今さらドヤ顔イージースタートなんて言われても……。

 

キックスタートしか付いていないバイクなんてむしろ貴重な存在。日本車だとヤマハSR400だけだ。

 いやいや、スズキイージースタートシステムはちょっと違うのだ。クルマと同じようにワンプッシュで掛けることができるのである。

 バイクの場合、通常であればエンジンが掛かるまでスターターボタンを押し続ける必要がある。クルマでも、シリンダーに差し込んだキーを捻る昔ながらのタイプスターターは、エンジンが掛かるまで捻り続けることになる。それと同じだ。

 ところが新型カタナが採用している「スズキイージースタートシステム」であれば、クルマのプッシュボタン式と同様にエンジンが掛かるまで自動でスターターモーターを回し続けてくれるというわけなのである。

スターターちょこっと押しただけで一定時間スターターモーターが回転。写真の32-bit ECM(エンジンコントロールモジュール)が始動状況を認識してモーターを止める仕組みだ。

 ……いや、だから最初に「地味」だって断ったでしょ? そう、確かに地味である。

 だが人間、一度ラクなものを味わってしまうと、なかなか元に戻れない。

 筆者がこのイージースタートシステム付きのバイクで一日中走り回った翌日、他メーカーバイク乗り換えたときのこと。スターターボタンを押しても「キュッ」と一瞬だけスターターモーターが反応しただけでエンジンが掛からなかった。

 そう、見事にイージースタートシステムに慣れきってしまっていたのである。

カタナの魅力は鮮烈なデザインや痛快な走りだけではなかった。

 技術の進歩とは、こうした地味な努力の積み重ねである。それにイージースタートシステムを付けたところで、とくにライディングプレジャーが削がれるとか、重くなるとか、コストが跳ね上がるということもない。

 実際、GSX-R1000RからGSX-R125まで、幅広い車種に装備されている。

バイクなんだから押し続けるのが当たり前」ではなく「クルマにも付いているのだから、バイクにも付ければいい」───そんな発想に、スズキの良心を感じるではないか。

 みなさん、新型カタナを試乗する機会があったら、ぜひともスターターボタンを「ちょこん」と押してみていただきたい。意外と感動しますから。