2019年6月6日に死去した故ドクター・ジョンが、遺作となる最後のアルバムを昨年12月に完成させていたことが明らかになった。

 タイトルとリリース日未定のラスト・アルバムには、オリジナル曲カヴァー、リメイクされた有名曲が収録されており、ウィリーネルソンアーロン・ネヴィルリッキー・リー・ジョーンズがフィーチャーされている。レコーディングに参加したギタリストのシェーン・セリオット(Shane Theriot)は米紙ローリング・ストーンに対し、完成した最後の作品を聴いた時は感動的だったと語っている。

 「僕たちは腰掛けて全部2回ずつ聴いたんだ。(ドクター・ジョンは)一緒に歌っていて、満面の笑みを浮かべていた。そのあと一緒に車まで送ってくれて、僕をじっと見つめると、“よかった。正しい選択をした”と言って、ハグして頬にキスしてくれたんだ」と彼は明かしている。

 時には自宅から出ることすら難しい日もあったそうだが、ドクター・ジョンは2018年を通して米ニューオーリンズのEsplanade Studios、自宅、そしてセリオットの家でセッションの機会を設け、自ら選んだニューオーリンズのセッション・ミュージシャンたちと共にレコーディングを続けた。

 「心が痛んだよ。彼が僕の家に来るんだけど明らかに体調が悪そうで、でもマック(・レベナックドクター・ジョンの本名)の仕事の仕方はオールド・スクールで、一晩に5セット演奏するのが当たり前に育ったんだ」と語るセリオットは、何度かドクター・ジョンに、「やらなければならないことは何でもやらないと。やり遂げなければならないんだ、Sha-zane。こいつを完成させるためにやらなければならないことは何でも最後までやろう」とニックネームを使って言われていたことを明かしている。

 アルバムでキーボードを演奏したデヴィッド・トーカナウスキー(David Torkanowsky)は、「マックはこれが最後のレコードになることをわかっていた」と語り、「スタジオで彼(のパフォーマンスを)聴くのは感動的だった。それをするのが最後になる時にしか出せない、ある重みがあった」と振り返っている。

 生前30作以上のアルバムをリリースしたドクター・ジョンは、最後のアルバムの完成を見届けることができた。「マックはそれを聴けたし、一緒に生きられたし、提案もできた。これは彼の作品の一つだよ」とセリオットは語っている。

故ドクター・ジョン、ニューALを昨年12月に完成させていたことが明らかに