日弁連など15団体は6月13日、山下貴司法務大臣に宛てて、少年法の適用年齢を引き下げないよう求める連名の意見書を提出した。

少年法の適用年齢については、2017年から法制審議会で「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げるかどうかが議論されている。

日弁連・子どもの権利委員会の須納瀬学弁護士は、「法務省、法制審議会においては意見書を真摯に受け止めて、慎重な検討をしていただきたい」と述べた。

現行法、重大事件は原則成人と同様の扱い

引き下げに反対というと「少年に甘い」と受け止められることがある。しかし、意見書は「少年法は決して『少年だから甘くしよう』という法律ではありません」と否定する。

少年が事件を起こしても、その内容によっては刑事裁判にかけられる。特に2000年少年法改正で、犯行時16歳以上の少年が故意の犯罪で人を死なせたときは、成人同様、検察官に送致されるようになった(原則逆送)。

犯行時18、19歳なら死刑判決を受けることもあり、平成以降も、光市母子殺害事件や石巻3人殺傷事件などの事件で、元少年が死刑判決を受け、確定している。

むしろ引き下げた方が「少年に甘い」?

意見書が懸念しているのは、適用年齢が引き下げられると、これまで少年院に入っていたような18、19歳が立ち直りの機会を失ってしまう可能性があるということだ。

成人の場合、軽微な事案は起訴されないことが多く、起訴率は3割程度。また、起訴されても罰金や執行猶予で終わることが多く、刑務所に入るようなケースは全体から見ると1割程度とされる。

一方、少年法は「全件送致主義」のため、軽微な事件でも家庭裁判所で調査される。処分は、保護の必要性なども考慮して決められるため、成人では実刑にならないような事件でも少年院に送致されることがある。

現在、少年事件のおよそ半数が18、19歳。適用年齢が引き下げになると、「軽微な事件なら起訴猶予や罰金で終了となり、自身や社会についての十分な教育機会を与えられず、再犯を繰り返す危惧が高まります」と意見書は訴える。

「成人年齢18歳」は影響するか?

なお、2018年の民法改正により、2022年から成人年齢が18歳に引き下げられることから、少年法の対象年齢も18歳未満にという意見もある。

これに対し、意見書は、飲酒や喫煙、ギャンブルの年齢は青少年保護や非行防止などの理由から20歳のままとなっていることを指摘。単に民法の成年年齢に合わせることを批判している。

年齢引き下げ「あまりにも現場の実感からかけ離れている」

要望書の提出後、東京・霞が関の司法記者クラブで、各団体が記者会見を開いた。

裁判所職員でつくる全司法労働組合の中矢正晴さんは、少年らの調査を担当する家裁調査官の専門性に触れ、年齢引き下げについて「あまりにも現場の実感からかけ離れている」と批判した。

日本児童青年精神医学会の木村一優さんは、「虐待や発達障害があり、不適切な養育をされた結果、事件に至ることが少なくない」と述べ、年齢引き下げになれば、こうした事情に気づかれることなく、「少年たちが放置されてしまう」と懸念を語った。

日本子どもソーシャルワーク協会の寺出壽美子さんは、少年事件の背景には親子関係があることが多いとして、「ソーシャルワーカーとして、少年と親の話を聴きながら、双方を調整する。少年院に行くことはその後の立ち直りに意味を持っている」と話した。

このほか、「少年犯罪の件数が減り続けているのは、少年法が機能しているから」(被害者と司法を考える会)、「高卒や学生に前科がついてしまうと、社会の中で立ち直る機会がなくなってしまう」(非行克服支援センター)、「実名報道されると困難」(「非行」と向き合う親たちの会)などの意見もあった。

「少年だから甘くしよう」は誤解 少年法、年齢引き下げに反対…15団体が意見書