「飯塚氏は車を降りてすぐ頭を下げ、数歩歩いてまた深々と頭を下げていました。杖をつきながらゆっくりと歩く姿を見て、相当衰弱しているなと思いましたね。余裕がないのか、献花の方には見向きもしませんでした」(実況見分に居合わせた男性)

 4月、東京・池袋で乗用車が暴走した事故では、松永真菜さん(31)と長女の莉子ちゃん(3)の命が奪われ、10人が重軽傷を負った。6月13日警視庁乗用車を運転していた、旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)を現場に立ち会わせ、実況見分を行った。

 実況見分では、事故を起こした車種と同じ乗用車に飯塚氏と捜査員が乗り込み、暴走した経緯を確認。約150メートルにわたってゆっくりと走行した後、通行人を次々とはねた交差点で降車した。

「警察官が指差しでなにやら確認をしていましたが、飯塚氏は覚えていないのかたびたび首を振ったりかしげたりしていました」(同前)

 約1時間半にわたる実況見分を終えた飯塚氏は警察車両に乗り込み、現場を後にした。

「飯塚元院長は『ブレーキが利かなかった』と供述していますが、現場にブレーキ痕はありませんでした。車の不具合も見当たらず、元院長の記憶を頼りに実況見分するしかない状況です」(捜査関係者)

 都公安委員会は5月31日に、飯塚氏に対して運転免許の取り消し処分を決定している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春

捜査開始前の午前9時45分ごろ、現場で手を合わせる捜査員 ©文藝春秋