インスタグラムをはじめ、今や芸能人から一般人までほとんどの人がやっているSNS。ただ日々の出来事を綴るだけではなく、いかにフォロワーを増やすか、“いいね!”をもらうかに必死な人は増えているのではないだろうか。特に若い女性。

 しかし、“インスタ映え”を気にするがあまり、まわりが見えなくなっていることも。それを「迷惑だ」と感じる人も少なくないのである。

◆写真に写らない部分には興味がない

「友人にインスタにあげる写真を撮るのに必死過ぎる子がいるんですが、正直一緒にいると面倒くさいんです」 と語るのはデザイナーの咲樹さん(27歳・仮名)。

「同じデザイン会社の同僚のAちゃんなんですが、もう何もかもインスタとかTwitterに載せたがる。ランチの写真から飲み会、仕事風景まで。デザイナーという職業柄、確かにおしゃれに気を使う人は多いですが、あそこまで真剣にSNSをやってる人を見ると引いちゃいますね。休日に遊びに誘われても、いかにもな“インスタ映え”なスポット。どうせ行っても写真撮るだけだろうなって思うと行く前からゲンナリしちゃいますね」

 せっかく話題のスポットに足を運んでも、写真の写り以外に感心がなく、遊んでも楽しくないそうだ。またAさんインスタ映えにこだわるが故に、「とてもアンバランス」だという。

「Aちゃんは風景や食事以外にもとにかく写真に映る部分しかキレイにしないんです。メイクや髪型はバッチリで、カットソーはハイブランドなのに、バッグや靴がボロボロとか(笑)。ハズしてわざとプチプラのものをチョイスしてる……とかではなくて、“映らないところはお金をかけない主義” 。

 ルブタンのスニーカーを履いてたんですが、散々写真を撮った後に持参のクロックスに履き替えた時は笑えましたね。そこまでやる? って。インスタ女子の闇を見てしまった気分です」

 Aさんは洋服やメイクだけではなく、他の人も写る集合写真にも異常なこだわりを持つ。

「とにかく自分が上手く写るまでずっと撮ってるんです。10人以上いようとお構いなし。私たちはまだ許せても上司や他社の人がいる時は控えてほしいなって思いますよね。明らかに『もういいだろ?』って顔してる人もいます。

 しかも自分の写りしか気にしてないから、他の人がブレブレだったり、二重あごや半目の写りの人もいたりするんです(苦笑)。いくらなんでも逆効果じゃないのかなって思いました」

 確かに“自分が1番可愛く写ったものを選んだんだろうなぁ”と、他人に悟られてしまいそうな写真は、見ていて痛々しいものがある。だが、咲樹さんにはもっと嫌なAさんの行為があるそうだ。

「何より恥ずかしいのは彼女の自撮りです。学生ならまだしもアラサーが公共の場で堂々と自撮りってどうかと思いますよ。自宅なら構いませんけど、お店や公共の場でパシャパシャ何枚も……。周りの目が気にならなくて、ある意味すごいなって思いますけど。読モでもなんでもない一般人が何をそんなにアピールする必要があるんだか……理解不能です」

◆料理が冷める様子を見て、恋心も冷めた

「温かいものは温かいうちに食べたかった……」

 なんと、インスタが喧嘩の原因となり彼女と別れたというケントさん(35歳・営業)。

「共通の友人を介して“美味しいものが好き”というOLの彼女に出会いました。僕の趣味は食べ歩き。すぐ気があって、トントン拍子に付き合うことになったんです」

 都内から地方まで、デートでたくさんの美味しいものを食べに行ったという2人。このまま順調にいくと思えた交際にヒビが入ったのは、彼女の“とある”行動だった。

「とにかくうまく写真が撮れるまで食べれない。例えばステーキだったら、サラダとかスープが先にくるじゃないですか。あれも食べれないんです。食べるのは全部揃って写真を撮ってから。彼女はグルメインスタグラマーのつもりなんでしょうか。最初は『可愛いな~』程度だったんですが、だんだん我慢できなくなってきました」

 ケントさんの分は先に食べても問題ないような気もするが……。

「ですよね。それが、少しでも僕が食べかけてるものが写り込むと嫌みたいなんです。僕も写真は撮りますし、インスタもやってますが、あくまで記録用というか。パッと撮って、温かいものは温かいうちに食べたい。あと奮発して良いお寿司屋さんに行ってもパシャパシャやってて、正直恥ずかしかった。お店側にSNSに載せていいのか確認しないのかなって。大将が苦笑いしてましたもん」

 またケントさんは沢山のお店に行くうちに2人の食べ歩きの本質的なズレを感じてしまったという。

「僕は高級な店だけでなく、“きたなシュラン”(※外観は汚いけど美味しい店)とか赤ちょうちんの店も好きなんですが、彼女はいわゆる食べログの評価が4以上とか、予約が取れないとか、TVによく出てる店に行きたがる。なんていうかハッシュタグをつければ、“いいね!”が多く付きそうな店が好きなんですよね。

 “知る人ぞ知る”みたいな店は、ハッシュタグの付けようがないからか行きたがらない。それって、食べ歩きが好きなわけでも何でもないなって。ただの“いいね!”集め。料理が冷めていく様子を見て、なんだか気分も冷めちゃって。僕から別れを告げました」

 筆者も一応グラドルの端くれだ。仕事柄、遊んでいるときや旅行先では多めに写真を撮るようにしている。友人たちが心優しく「今のうちに撮りためておけ!」と言ってもらえるが、これが当たり前なわけがない。

 ネット上の幸せとリアルでの幸せ、どちらが大切かはその人次第なのだろうが、ほどほどにしないと、フォロワーは増えてもリアルな友人や恋人をなくしかねないのである。<取材・文/吉沢さりぃ>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。近著に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)がある。趣味は飲酒、箱根駅伝少女漫画Twitter@sally_y0720