福岡市内の40代の鍼灸師男性が「感染症の恐れがあるため、痴漢に安全ピンを刺すのは止めて」とツイッターで呼びかけたところ、異論が相次いで誹謗・中傷も寄せられる騒ぎになっている。

鍼灸師は、ツイッターで反論したうえ、福岡県警に中傷被害の相談をしたことを明らかにした。

「痴漢やったな?」「性犯罪者」と根拠ない罵倒

痴漢撃退に安全ピンを使うことは2019年5月中旬にツイッターで紹介され、論議になった。

その後、「黄色い安全ピン」を痴漢撲滅の意思表示として服などに着けることがツイッター上で提唱され、5月29日には、安全ピンを大量に配るとするツイートが話題になった。これに対し、鍼灸師が翌30日にツイッターで次のように疑問を呈したことで、バッシングが一部から巻き起こった。

「どんな菌がついてるかも判らない針を他人のからだに注すことを推奨するような行為はお止めください。もし、貴方の配布した針を使い、冤罪の方に感染症が発症した場合、責任を取れますか? 冤罪でなくても同じですが。痴漢を防ぐなら針刺以外の方法を模索される方が良いと思います」

この発言について、「痴漢したやつが悪いだろって」「結局他人事。被害者にケチ付けてるだけ」「痴漢擁護してんの?」などと、安全ピンを支持する人らから疑問や批判が次々に上がった。中には、鍼灸師自身に対して「痴漢やったことあるな?」などと、根拠のない憶測を流すケースも一部であった。

さらに、鍼灸師が以前経営していた鍼灸院でセクハラのようなことがあったと根拠のないツイートをする人も現れ、鍼灸師について、あるツイッターアカウントは、「性犯罪者」などと罵倒する発言を繰り返した。

「チクっと刺すぐらいなら問題ないと考えがちですが...」

このような誹謗・中傷は、逆に流れを変えた。ネット上で問題視されて、「商売の邪魔するのはダメだろ」「悪ふざけの範疇を越えている」「別に痴漢を擁護してるわけでもないのに」などと、バッシングへの非難の声が相次ぐようになっている。同時に、誹謗・中傷するのは、ある思想的傾向のある人たちだと、一括りにするバッシングも一部で起こっている。

誹謗・中傷のツイートは、偽計業務妨害罪などに当たるのではないかとの指摘も出て、鍼灸師男性も、6月7日福岡県警中央署に出向いて相談したことをツイッターで明かした。この鍼灸師は13日、J-CASTニュースの取材に対し、「痴漢撲滅に取り組む人たちは、おかしい人だとイメージが付いてしまうとしたら、とてもよくないことだと思っています」と話した。

自らへの疑問や批判については、「一般の人は、手の皮をチクっと刺すぐらいなら問題ないと考えがちですが、医療関係者が考える危険性と一般の人が考える危険性は違います。揺れている電車の中では、刺す針をコントロールすることもできないでしょう」と反論した。

ツイッターでは、「私の主張したかったことは『出血を伴う方法で反撃すると、被害者や周囲の人に加害者の血液がつき感染症が拡がる可能性があるから、別の方法を模索しては?』です」などと書いている。特に、エイズの30倍もの感染力を持つというB型肝炎が怖いそうだ。

J-CASTニュース編集部 野口博之)

安全ピン論争がさらに拡大して(写真はイメージ)