埼玉県春日部市にあるローソンの男性オーナー6月14日、東京・霞が関厚労省記者クラブで記者会見を開き、苦しい経営事情を語った。

「日販は、本部が出店前に予測した金額の7割くらいだった。本部からのアドバイスもあって、生活のために人件費を削らないといけない。(オープン以来)6年間で、親戚の結婚式の1日しか休んだことがありません」

男性の労働時間は月400時間ほど。週1日休みがある妻も約250時間働く。2人で朝と夜、代わりばんこに働き、シフトを埋める毎日。それでも夫妻の収入は月40万円強だという。時給換算すると最低賃金を大きく下回る。

「本部は売上を増やすため、床を掃除しろとか、商品を前に出せなどとアドバイスする。もちろんやってはいますが、日販が劇的に上がることはない。そのくらいしかアドバイスがないのかなと思う」「やはり、コンビニは立地がほぼすべてだと思いました」

男性は長時間労働により、2019年1月には抑うつ状態と診断された。しかし、診断書をもとに解約を求めたものの、本部側は症状が軽いとして違約金180万円を払わないと解約できないと回答したそうだ。

約800万円あった貯蓄は、コンビニ経営を始めてから底をつき、今では借金も抱える。「違約金を払えないから、やめたくてもやめられない」

違約金なしで解約できるとしたら、どうするかーー。会見後、こう尋ねたところ、男性は「まずは続ける前提で、本部に環境改善を求めたい」と答えた。

●見えづらかったローソンオーナーらの主張

男性は2019年3月、労働組合「総合サポートユニオン」に加入。この日の午前中、ローソン本部(東京都品川区)に時短営業の選択制や本部に納めるロイヤリティーの減額を求めて団体交渉を申し入れた。

セブンイレブンファミリーマートについては、すでにコンビニ加盟店ユニオンが団交を要求し、労働紛争に発展している。しかし、加盟店ユニオンには今年2月頃まで、ローソンオーナーの組合員がおらず、その不満が表面化しづらかった。

今回の団交申し入れに対するローソンの反応も上記2社同様、話自体は聞くが、団交は拒否というもの。

総合サポートユニオンの青木耕太郎さんは「今後も労働実態を粘り強く説明する。話し合いの場を持つべきだと考えています」とコメントした。

セブン、ファミマの事件はいずれも今年3月、中央労働委員会がコンビニオーナーは「労働組合法上の労働者」ではないとして、オーナー側の主張を退けている。加盟店ユニオンが取り消しを求めて裁判の準備をしているが、今後もローソンが団交に応じる可能性は極めて低い。

総合サポートユニオンは、状況次第で地方の労働委員会への申し立ても検討するとしている。

一方、ローソンは取材に対し、団交としては応じないものの、このオーナーに対しては「真摯に協議して対応していく」とコメント。違約金については「現在確認中」としている。

【編集部より 18:20修正】 ローソンオーナーによる団交申し入れについて、当初ローソン広報の回答を受けて「十数年のうちでは初めて」としていましたが、同社から訂正の連絡があったため該当する部分を改めました。

ローソン店主「違約金払えず、やめることもできない」…月400時間勤務で団交申し入れ