日本でも山間部を中心に人が熊に遭遇する事案がいくつも報告されているが、熊に遭遇して大けがを負いながらも、自力で熊を撃退した男性がいる。

 海外ニュースサイト『THE SUN』は6月11日ロシアに住む35歳の男性、ニコレイ・イルジットさんが、山で巨大な熊に襲われて、大けがを負ったと報じた。ニコレイさんは熊の舌を噛みちぎって熊を撃退したという。

 同記事によると、ニコライさんは、闇市場で売るシカやヘラジカの角の採取のために2人の友人とともに、山へ足を運んだところ、500㎏以上あると思われる巨大な熊と遭遇。ニコライさんは武器を一切所持していなかったので、熊に襲われないように、大声で叫び威嚇したそうだ。しかしその後、熊はニコライさんに突進してきたという。ニコライさんは、熊の顔にパンチをして抵抗するも、その甲斐なく熊に押し倒されて、脚に噛みつかれてしまった。

 ニコライさんは、熊が歯をむき出しにして噛み付こうとして来た瞬間、とっさに熊の舌の一部を噛みちぎったという。すると、熊は攻撃をやめて逃げていったそうだ。その後、ともに山を訪れていた友人が、その場しのぎの簡易担架を作り、山から一番近い村にニコラスさんを運んだ。さらに、その村から約150キロ離れた病院に運ばれて、ニコライさんは、やっと手当てを受けることができたそうだ。同記事には、手当てを受けた当時のニコラスさんの顔写真が掲載されているが、顔全体が腫れ上がり、緑色のあざがところどころにできた痛ましい姿だ。しかし、医師によるとケガは完治が見込まれているという。

 このニュースが世界中に広がると「熊の舌を噛み切るなんて信じられない」「ロシア人は野生の熊より強いのか?」「助かってよかったけど密漁は駄目だろう」などの声が寄せられた。

 ニコライさんが熊に遭遇してしまったのは、運が悪かったとしか言いようがないが、山に出かける以上、遭遇する危険性は少なからず誰にでもある。ニコライさんが襲われてしまった理由の1つには、熊と遭遇した時に叫んでしまったことが挙げられる。不幸にも野生の熊に遭遇してしまったときには、適切な対処をすれば襲われる可能性は低くなるようだ。

 環境教育や野生生物の保護活動に取り組んでいる『知床財団』の公式サイトによると、熊に出会ってしまったときは、落ち着くことがとにかく大切だという。自分と熊との距離が100メートル以上離れていた場合、静かにゆっくりとその場を去るのが適切だそうだ。万が一、熊との距離が20〜50メートルしかなかった場合、またはそれ以上に近い場合には、両手を上げて振り、穏やかな口調で話しかけながら静かに立ち去るべきだそうだ。走ったり、大声を出すことは禁物。これらの行為は熊を興奮させてしまうため、逆効果だという。

 山に行く以上、少なからず野生の熊に遭遇してしまう危険性はある。万が一に備えて、対処法を覚えておくといいだろう。

記事内の引用について

BEAR CHILLS Russian man ‘bites off brown bear’s TONGUE to escape savage mauling by half-ton beast
https://www.thesun.co.uk/news/9266979/russian-bites-off-bears-tongue/

知床財団
https://www.shiretoko.or.jp/library/bear/bear2/

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