「専業主婦歴が長く自分には貯蓄がない、この年齢ではもう再就職も難しい」…そんな状況での離婚ほど、女性にとって苦しいものはない。ところが離婚裁判で判事が、そうした妻たちの事情をよく理解してくれるとしたら?
海外から、珍しい事例が伝えられた。
■専業主婦歴が長いほど再就職は難しい
結婚27年目で破局し、29年目の2011年に正式に離婚が成立していたアルゼンチンのある夫婦。妻は27年にわたりずっと専業主婦であった。それまでのキャリアや取得していた資格を活用することもなく、ずっと夫のサポート、子育て、家事に専念していたという。
仕事に就かなかったことから経済力に乏しいまま女性は70歳になり、年月こそ経っていたが、彼女は意を決して元夫に対する民事裁判を起こした。何らかの形で経済支援を受けたいと必死だったのだ。
■元妻の立場で物事を考えてくれた判事
このほどその裁判が開かれ、判事は男性にこのように告げた。
「彼女は自分のキャリアでお金を稼ぐことができたのに、あなたとの結婚でそれを諦め、家事と子育てに専念したのです」
「離婚後に働こうとしても年齢的にはもう難しいでしょう」
「主婦業はとても大変な労働、立派な仕事です。別れた奥様にきちんとその報酬を支払いなさい」
そして判事は元夫に対し、8百万アルゼンチン・ペソ(日本円にして約1,983万円)を別れた妻に支払うよう命じたという。
■女性の教育は有効
女性の就職率そのものが低く、共働き夫婦においても育児に費やす時間は女性が男性の約2倍だというアルゼンチン。
妻が家庭のことを切り盛りし、しっかりと子育てをしてくれているから夫は仕事に没頭でき、収入を得ることができたのだと諭す判事の言葉に、この国の女性たちはさぞかし励まされたことだろう。
さっそく『ABC News』や『USA TODAY』など、アメリカの主要メディアが「とても珍しい」としてこの話題を紹介している。ただし女性は経済学の学位を取得しており、そのためにこれほどまでの金額が支払われることになったようだ。
「女性もできるだけ高い教育を」ということの大切さを改めて教えてくれたニュースでもある。
■「食わせてやっている」と言われたことは
しらべぇ編集部が全国20代〜60代の専業主婦(夫)216名を対象に調査したところ、夫(妻)から「食わせてやっている」という言動や態度をされたことがあると答えた人は20.0%。5人に1人がそれを経験しているということになる。
専業主婦には週に2日の休みなどない。ちょっと肩を揉んだり食器洗いを代わってあげたり、そんな優しさや労いはとても嬉しいもの。「いつもありがとうね」という言葉は、疲れている相手の表情をふと明るい笑顔に変えさせる魔法の力があることを覚えておきたいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野ナオミ)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2018年7月13日~2018年7月17日
対象:全国20代~60代の専業主婦(夫)の男女216名 (有効回答数)
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