漢字のルーツは中国にあり、中国から日本へ伝わった文字であることは言うまでもない。漢字には複数の書体があるわけだが、中国メディアの今日頭条はこのほど、日本のパスポートには中国の始皇帝によって制定された「篆書(てんしょ)」という書体の文字が記載されていることに着目し、日本人はこれをどのように捉えているのかを紹介する記事に掲載した。

 日本のパスポートの表紙には一見すると記号のような文字が書かれているが、この書体は「篆書」という書体だ。記事は、篆書は日本で最も古い書体とされていると伝える一方、その起源は中国の秦の始皇帝が全国を統一した際に制定された書体だと指摘。ゆえに中国人は「日本で漢字が使用されていることは理解できるが、外国に対して提示するパスポートにあえて中国の篆書を使うことは非常に不可解に感じる」と指摘した。

 続けて、日本人はパスポートに篆書が使われていることについて、どのように捉えているのかと疑問を投げかけ、日本のネット上の意見を紹介。まず、日本で篆書が使われるのは印章など限られたケースであると説明し、日本では「正式な場合にのみ用いられる特別な文字と認識されている」という意見を伝えた。

 また、「楷書が一般的に使われている現代において、正式な文章であっても伝統にとらわれず皆が理解できる書体を使用する方が合理的であるとし、楷書も美しい字体である」と主張する声もあることを指摘。ほかにも、「篆書を使用すると中国を意味するという意見は、漢字圏の日本や韓国からすると馬鹿げている」とする意見もあることを紹介し、中国人が感じる「篆書をパスポートに使用することの不可解さ」は、日本人は特に感じていないようだと伝えた。

 こうして見ると、漢字を「中国のもの」とする中国人の認識と、中国から伝わった漢字を自国の言語として認識している日本人との間には考え方に相違が存在していることがわかる。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

日本のパスポートにはなぜ「始皇帝が制定した書体」が使われているのか=中国メディア