両国国技館の「住所」言えますか?

相撲ファンのみなさん、突然ですが、大相撲の東京場所が行われる両国国技館の「住所」って正確に言えますか?

東京都墨田区横綱1丁目3番28号

と答えた皆さん、それ、間違いです。

公式ホームページの住所をもう1度よく見てみると…

実は「東京都墨田区横綱(よこづな)」ではなく「横網(よこあみ)」が正解なんです。

横綱ではなく横網!その地名の由来とは

相撲の町の地名としてはあまりにも紛らわしい「横網」という地名の由来は、この地域を流れる隅田川と関係があると言われています。

この地域は、江戸時代の貞享年間(1684~88年)には既に「南本所横網町」という地名でした。

・元々隅田川では、漁師が「横」に「網」を干していたから「横網」となった。
・かつてこの辺りは海苔(のり)の干場が広がっていたことから、海苔を採る網を横に干す風景にちなんだ地名

などの説が由来として知られていますが、実際に江戸時代隅田川には海苔が自生していて、「淺草海苔」と呼ばれる名物にもなっていたという記録が「東都歳時記」などに見られます。

一方、相撲との関係はというと、「横網」の地名が見られるようになった頃にはまだ現在の場所に国技館はなく、現在の両国国技館とは逆方向に位置する回向院で勧進相撲を行っていたのでした。

旧国技館があった「回向院」

「横網」という地名は、相撲とはあまり深い関係はないようですね。

実際に間違いも多い!地名表示にはふりがなまで!

地名の由来はこれでスッキリしたものの、それでも「横網」を「横綱」と勘違いする人は後を絶たないようです。

両国国技館の駐車場出入り口脇の「警備員詰所」にある街区表示板には、なんと目立つふりがなが振られ、さらに「あみ」という部分が赤く塗られています。

(画像出典:横網(よこあみ)の地名の由来-浅草海苔と隅田川)

日本相撲協会によると、
「車の誘導中などに『横綱の間違いではないか?』と声をかけられると双方とも危険だし、実際にそう聞かれることもあるため、『横網』が正しいとあらかじめ明示するために貼ってある」
とのこと。

ここまで紛らわしいなら、いっそのこと地名を「横綱」に改めてしまっては?という動きが、1960年代頃に出たこともありました。

しかし町内からは反対の声が上がり、結局実現はしませんでした。

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