交流戦防御率は、0・00。1試合(8イニング)しか投げていないが、「パ強セ弱」の近年の傾向も考えると、無失点投手がセ・リーグから出現したことは意義深い。

 プロ18年目のベテラン東京ヤクルトスワローズ石川雅規投手(39)が北海道日本ハムの強力打線を無失点無四球(=8回)に封じ込めたのは、交流戦第2戦(5日)だった。札幌ドームに設置された測定器が示した同日の最速は134キロ。スローカープ、2種類のシンカーを駆使し、さらに、球種は分からないが、バッターの手元で小さく曲がるスライダー系の変化球も、日ハム打線を苦しめていたようである。

 「今季の石川は5月11日に初勝利を挙げたものの、次のDeNA戦で打ち込まれ、チームもそのまま大型連敗に突入しています。調子はイマイチだったようですが」(プロ野球解説者)

 ベテラン左腕の好投が「巨人に波及した」という。

 一部メディアによると、巨人・田口麗斗(23)のトレード獲得を狙っているパ・リーグチームが多いそうだ。田口も技巧派の左投手だ。昨季は成績を落としたが、一昨年まで2年連続2ケタ勝利を収めている。不振の原因はさまざまあるが、二軍球場では田口目当ての他球団編成部員も集まり、調査を続けていたという。

 「特に、パ・リーグは興味シンシンでしたね。FAの補償で18−19年オフに、巨人が西武に内海哲也を引き抜かれたように、パ・リーグには『技巧派左腕』が少ないので」(前出・同)

 ベテランの石川が好投したことで、田口への注目がさらに強くなったようだ。

 「田口は12日の西武戦でチャンスをもらいましたが、4回途中4失点。チャンスを生かしきれませんでした。パ・リーグチームに対し、結果を残せなかったということは、トレード移籍が成立したとしても、好転しないのではないか」(前出・同)

 田口は14日に一軍登録を抹消された。12日のKO劇の直後ではなく、ワンテンポ置いてからの降格というのが、ちょっと気になるが…。

 石川が通用して、田口が結果を残せなかった原因は不明だ。日本ハム、西武ともに打線が好調。あえて言うならば、西武は山川、中村、メヒアと「右の大砲」を中心とした打線で、日本ハムは、4番の中田翔、大田を除けば、左バッターがチームをけん引している。

 「石川にとって、対戦バッターの右、左はさほど関係ないはず。変化球の精度も高いが、失点が許される場面であれば、無理をしないというか、1点を失っても2点目はやらない気持ちで投げています」(球界関係者)

 精神的な余裕というわけか。もっとも、田口は一軍生き残りをかけての登板だっただけに、戦う相手は西武打線だけではなかったのかもしれない。

 交流戦3カード目を終えた6月13日、数少ないパ・リーグの技巧派左腕、ソフトバンク大竹耕太郎が阪神打線を抑え、勝利投手になった。強敵・ソフトバンク打線を6回まで零封しつつも、7回に失点して負け投手になったのが、左腕・高橋遥人だ。高橋は速球派。臆することなく、ソフトバンク打線に自分の得意なボールを投げ込んでいた。

 技術も大切だが、「自分」に自信があるかどうかも大切なようだ。
(スポーツライター・飯山満)

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