書籍、ドラマ化もされた累計アクセス数1000万越えの人気ブログを映画化した「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」(6月21日・金公開)。ずっとすれ違っていた父親と息子がオンラインゲームを通じて絆を取り戻していく実話を基にした本作で、坂口健太郎とW主演を務めた吉田鋼太郎は、一緒に冒険を繰り広げているゲーム仲間が自分の息子とは知らずに「ファイナルファンタジー」の世界にハマっていく父親・暁を演じた。

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■ 芝居に対する集中力がものすごい

――映画に出演が決まったときの感想を教えてください。

暁はドラマ版では大杉漣さんが演じられていた役なので、それを引き継ぐことへのプレッシャーがありました。でも、せっかくやらせていただくからには、大杉さんにも喜んでいただけるようなものにしないといけないと思い、頑張らねばと気合が入りました。なので、このお話をいただいて一番最初に頭に浮かんだのは大杉さんのことでしたね。

――脚本を読まれての感想は?

ゲームの世界と現実世界が両輪で成立するというのが、実感としてよく分かりませんでした。それを理解するまでが大変でしたが、撮影を重ねていくうちにだんだん分かり始めてきて、これは今までにやったことのない脚本だなと。僕らが頑張っていいお芝居をすれば、すごく面白いものになるのではないかと思いました。

――吉田さんは父親の暁を演じるだけでなく、お父さんがゲームの中で使っているインディというキャラクターの声も担当されていますね。家族の前では口下手で仏頂面のお父さんがゲームの中ではイケメンキャラというギャップが面白かったです。

ちょっと素人っぽい感じでね。他のゲームキャラはプロの声優さんが演じられているので、その中でちょっと浮いている感じもかわいいですよね。

――素人っぽくというのは、あえてそうされたのでしょうか?

いやいや、声優さんのお仕事は本当に難しいので、玄人っぽくなんてできないですよ。でも、インディを動かしているのはゲーム素人の暁なので、急にインディの声だけうまいはおかしいし、完全にお父さんでやってしまってもダメなので、一生懸命にインディになろうとしているお父さん、というさじ加減でやりました。なるべくカッコよくやろうとはしているんだけど、カッコよくなりきれてない感じというか。

■ 芝居に対する集中力がものすごい

――息子のアキオを演じられた坂口健太郎さんとは初共演だと思うのですが、印象を教えてください。

健太郎は思った以上に、思った通りでしたね(笑)。でも、芝居に対する集中力がものすごくて、今回は会話のない親子の役だったんですけど、セリフがなくても1シーン、1シーンを成立させるパワーを持っている。それはすごく難しいことなんですが、見事にやってのけてましたね。

――おっしゃるとおり、暁とアキオの間に会話はほとんどなく、関係性としてはずっとすれ違ってきた父子だと思います。吉田さん自身、お父さんとの関係はいかがでしたか?

父親とは結構仲がよかったですね。お酒を飲みながら話をしたり、とてもいい関係だったと思います。なので、ぎくしゃくすることは全くなかったのですが、最後は病気で、まともな会話ができなくなってしまったので、親父は自分の人生をどう思っていたのかなと。それを聞きそびれてしまったのが残念ですね。

――お父さんとお酒を飲みかわしながら話をするというのは、とてもステキですね。

そうですね。それは親父もうれしかっただろうと思います。

――では、もし坂口健太郎さんが本当の息子だったら、一緒に何をしたいと思いますか?

今、健太郎はものすごい体を鍛えているんですよ。僕は鍛えるとかは大嫌いなので、多分、自分では絶対にやらないと思うので、一緒にトレーニングに連れて行けよ、と言うかな。それで一緒に汗をかいた後に飲みに行く。でもこれは親子じゃなくてもできるか(笑)。

■ やったらまんまとハマってしまいました(笑)

――今回の映画ではオンラインゲームの「ファイナルファンタジーXIV」が題材になっていますが、吉田さんと「ファイナルファンタジー」の出合いはいつごろでしょうか?

僕は「ファイナルファンタジー」の出始めからやってましたね。その前はRGPの先駆けだった「ドラゴンクエスト」をやっていて、「ファイナルファンタジー」なんて認めないぞと思っていたんですけど、やったらまんまとハマってしまいました(笑)。

――歴代のもの全てプレーされているんですか?

全部やっています。特に召喚獣がいっぱい出てくるバージョンのものが好きです。

――吉田さんが演じられた暁は、インディというイケメンキャラを使ってプレーしていますが、吉田さんがキャラクターを作るとするならどういうものにされますか?

自分とかけ離れたものにトライしたくなるんだけど、だんだん自分で気持ち悪くなってきて、結局はカッコいい系のキャラにしてしまいますね(笑)。

――ある意味、お父さん(=暁)タイプですね(笑)。

でも、暁みたいに誰かの真似をして語尾に“ぴょん”とつけるのは、恥ずかしくて絶対にできないな(笑)。だから、誰かとチャットで会話するときも「はじめまして、よろしくお願いします」みたいな感じで、ゲームをやり始めたころのカチカチだったお父さんに近いかも。

■ 自分でもこんなにハマるとは!

――では、この映画のお父さんのように、誰かに勧められて思わずハマってしまったものはありますか?

乗馬ですね。役者なのに今までやってこなかったのも恥ずかしい話なんだけど、時代劇もあるだろうから「やった方がいいよ」と人から言われて。それで渋々始めたら、めちゃくちゃハマりました。自分でもこんなにハマるとは思ってなかった(笑)。

――乗馬のどういうところにハマっているんですか?

僕、車が大好きなんですよ。馬は生きものだから車と一緒にしてはいけないかもしれないけど、思ったとおりに動いてくれるし、何より走っていて気持ちがいい。基本、僕は運動不足なので、それも多少は解消されるのでいいなと。

――最後に、今はバーチャル世界でのコミュニティーが盛んになっている時代だと思いますが、この映画のようにゲームを通じて深めていく親子の関係についてどう思いますか?

これは実話だけど、実際にこれをやったらどうなるんだろうなと。映画になるぐらいだから超フィクション的だし、こういう親子の絆の深め方は、普通はなかなかできないと思うんですよね。ただ、自分の親との関係がうまくいっていなくて、何かしらの解決法を探している人にとっては、この映画が希望みたいなものになるんじゃないかなと思います。(ザテレビジョン・取材・文=馬場英美)

「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」(6月21日・金公開)に出演する吉田鋼太郎