先日、ニュージーランドのウーロン茶を飲む機会があった。

ウーロン茶の産地といえば、中国や台湾が有名。ニュージーランドのウーロン茶、と聞いてもピンとくる人は少ないだろう。

それもそのはず。実は、ニュージーランドに茶園は1つしかない。それが、ニュージーランド北島の中西部、ワイカト地方にある「ジーロン・ティー・エステート」。

ここで作られるお茶ブランド「ジーロン」は2009年に市場に出回り始めたばかり。ニュージーランドのウーロン茶だから、「ジーロン」。シンプルで覚えやすいネーミングだ。

日本ではまだ知る人ぞ知る存在だが、地元ニュージーランドでの評判は高く、すでにウーロン茶の本場・台湾のデパートにも専門店を展開。世界的にみれば、その知名度は着実に高まっている。

そんなニュージーランドのウーロン茶、いったいどんなものなのか? 

最大の特長は、オーガニック先進国であるニュージーランド生まれゆえの、有機栽培、無農薬によるピュアテイスト。ジーロン東京オフィスの鴻野さんいわく、
「上質のお茶は茶葉をそのままかじると良さがわかるんですよ」
試しにジーロンの茶葉をかじってみると、雑味がなく、上品な甘みやほろ苦さが口のなかにフワリと広がった。ポリポリした食感も楽しく、お菓子感覚でいくらでも食べられそうな感じだ。

もちろん、実際に淹れたお茶の味も期待を裏切らない。自然豊かなニュージーランドの風景が目の前に広がるような、明るくのびのびとした味。それでいて繊細さもある。巷で飲まれる一般的なウーロン茶とはひと味もふた味もちがう。

ジーロンのウーロン茶は焙煎度合のことなる「ピュア」「アロマティック」「ダーク」の3種。一番人気だというピュアは焙煎していないため、軽くて甘い飲み心地。個人的には、高温で短時間焙煎した「アロマティック」が香りもよく、すっきりした味で好み。焙煎を繰り返したという「ダーク」は一般的なウーロン茶のイメージに一番近いかも。
ところで、なぜ、ニュージーランドでウーロン茶なのか?

ジーロンの創設者であるヴィンセント・チェンさんは、台湾出身。ニュージーランドに移住した彼は、ある日、隣の家の見事な椿に見惚れた。お茶は椿科の植物であることに気が付き、ここで世界一のウーロン茶が作れるのではないかと考えたそう。

さっそく台湾から1,500株分の生葉を輸入するも、厳しいニュージーランドの検疫を通過できたのはわずか130株。しかし、それらを丁寧に増やし育て、いまでは1万2,000本の茶樹が育つ50ヘクタール近い農園にまで成長した。

「日常のなかで、安心・安全なお茶としてごくふつうの生活に取り入れていただけたら最高です。パッケージがキレイなのでギフトにも活用いただきたいですね」
と鴻野さん。

日本では2011年から販売中。同社のオンラインショップ、または伊勢丹新宿本店地下1階「プラ ド エピスリー」でお取り寄せ商品として購入できる(※2~3日前までに電話で注文)。

昨年夏にはフルリーフの紅茶「ブラック」も発売され、ジーロンとしてのお茶は全4種。価格は1,890円~。一般的な茶葉に比べると、決して安くはないが、安全性やクオリティにとことんこだわれば、どうしても生産コストはかかる。ジーロンのお茶は、ニュージーランド政府によるBioGro有機認証をはじめ、国際的な食品衛生管理方式であるNASAの構想から始まったHACCP、ISO22000の認証なども取得済み。「世界で最も安全でピュアなお茶」といっても過言ではないだろう。

ニュージーランドの美しい大地と台湾伝来の知識と技術が生んだ、新感覚のウーロン茶。ぜひ一度試してみては。
(古屋江美子)

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■ ジーロン ウェブサイト

「ジーロン」。オリジナルティーカップは目で見る楽しさもある。