我々日本人が寿司を食べるときに欠かせない「わさび」。おろしたてを刺身につけたり、ざるソバのつゆなどに入れて味わうことも多い。ただ最近は、チューブ式のわさびもよく見かける。冷蔵庫のドアポケット扉の上あたりに常備しておくと便利でよく使うという人もいるのでは。そんなチューブわさびは、食材にマッチする気がするが、実際には本わさび以外の物が使われていることもあるようだ。一体チューブわさびには何が入っているのだろう。そこで、管理栄養士の石垣桃子さんに話を聞いてみた。

■チューブ「わさび」には何が入っている?

食卓に並ぶチューブわさびには、本わさび以外にどのような原料が使われているのだろうか。

「本わさび以外には、ホースラディッシュが用いられています」(石垣さん)

ホースラディッシュとは東ヨーロッパなどが原産のアブラナ科の多年草で、西洋わさびわさび大根とも呼ばれている。日本では北海道などで多く栽培されており、根が白いのが大きな特徴だ。ということは、本わさびホースラディッシュで代用しているということなのだろうか。

ホースラディッシュのほかには、本わさびの美味しさを演出するための増粘剤や長期保存を可能にするための保存料、風味が抜けないようにするための植物油脂など、厚生労働省が認めた食品添加物が付加されています」(石垣さん)

「美味しさを演出する」という増粘剤の具体的な効果について、更に聞いてみた。

ホースラディッシュはすりおろすことで酵素が作用して、わさびに似た辛味と香味が生じますが、必ずしも本わさびと近縁ではないのです。そのため、ホースラディッシュが入っているチューブタイプのわさびは、本物の本わさびにより近い風味とテクスチャーを増すため、増粘剤が用いられます」(石垣さん)

テクスチャ―とは表面の色や触感のこと。ホースラディッシュを使う場合は、増粘剤等の食品添加物を使用し、見た目や食感等を本わさびに近づける工夫をしているようだ。

■なぜ「わさび」にホースラディッシュを使うの?

ではなぜ本わさびではなく、ホースラディッシュを使う必要があるのだろうか。

「本わさびには、生育に適した気候や水温が求められます。(沢で出来るわさびなら常に綺麗な水が必要です) 一方、ホースラディッシュの栽培は容易なので、チューブのわさびを製造するのにホースラディッシュを用いるとコストが抑えられます」(石垣さん)

栽培の手間や条件を考えるとホースラディッシュには、本わさびと比べて、コストが削減できるというメリットがあることが分かった。しかし、本わさびが多く入っている物を選びたいという人も多いはず。そのような場合は、消費者としてどのように見分ければよいのだろうか。

「本わさびを50%未満使用している場合は『本わさび入り』、50%以上使用している場合は『本わさび使用』と表記してよいとされています」(石垣さん)

確かにパッケージには、「本わさび」の文字があるものが多い。これで、本わさびが多く入っている物を味わいたいという人は、購入するときに表記に気を付けることで判断できるだろう。

ちなみに、チューブ式のホースラディッシュも店頭に並んでいる。やはり、わさびより少し安価なようだ。肉料理などにマッチするようなので、冷蔵庫に入れておいて、使い分けてもよいかもしれない。

なお、「教えて!gooウォッチ」では「食品メーカーに聞いた!“マスタード”は“からし”で代用可能?」という記事も公開中。からしが意外に合うメニューも紹介してるのでぜひチェックしてみて。

●専門家プロフィール:石垣桃子
株式会社ソフィアプロモーション 食めぐ編集部 管理栄養士。食めぐは管理栄養士9名が運営する「食による健康」をテーマにした食のWEBメディア。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

専門家に聞いた!“チューブわさび”には“本わさび”以外の物が入っているって本当?