中国でこのほど、時速600キロメートルで走行可能な高速リニアモーターカーの試験車両が完成したと報じられた。日本ではJR東海が2015年に山梨リニア実験線で実施した有人走行試験で、時速603キロを記録している。中国は日本に続く形だが、なぜ中国は高速リニアを開発しているのだろうか。中国メディアの今日頭条は10日、中国には高速鉄道があるのに、なぜリニアを作る必要があるのかと題する記事を掲載した。

 中国はこの10年あまりで高速鉄道が急速に発展し、全国に2万キロ以上と言われる高速鉄道網を建設した。近代中国の新4大発明と誇りにしており、営業速度も時速200―350キロと速く、これまでの列車に代わる中長距離の主な移動手段として国民に利用されるようになっている。では、なぜさらに高速リニアを開発するのだろうか。

 記事は、中長距離の交通手段として、時速600キロの高速リニアは需要が大きいと分析。高速鉄道は時速300キロ、飛行機が時速900キロなので「高速リニアはちょうど中間」で、安全面、環境面、速度、乗り心地を総合すると「最高の選択」になると主張した。もちろん、高速リニアは騒音面でも有利である。

 もっとも、リニアに欠点がないわけではない。記事は、「コストが非常に高い」ことが欠点だと指摘。2002年に開業した「上海トランスラピッド」は、ドイツのトランスラピッド方式を導入し、「30キロをたったの8分」で結ぶようになったが、100億元(1600億円)の赤字になっているという。

 しかし記事は、「中国は奇跡を創造するのが得意な国」なので、必ず成功させると意気込みを伝えている。中国では、高速リニア高速鉄道と同様、日本の技術の高さを認めつつもライバル視しているようだ。日本はドイツとは別の技術を採用し、603キロという速度を記録したと記事は紹介した。

 記事に対するコメントを見ると、日本と比較する意見が散見され、「日本は10センチ浮かせることができるが、我々が採用しているドイツ式はたったの10ミリ」と日本の技術の高さを指摘する人もいた。高速リニアの面では日本は世界でもトップクラスの技術を有しているが、中国は日本を良きライバルと見なしているようだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

わが国には高速鉄道があるじゃないか! なぜリニアを作る必要があるのか=中国