人の感情というのは、なかなか目に見えてわからないものです。そのため、仕事関係や友人、家族のあいだですら、ミスコミュニケーションはしばしば起こります。

とはいえ、人の感情がまったく目に見えて表れないかと言えば、そんなことはありません。以前、嫌いな人にとる態度についてご紹介しましたが、隠しているつもりでも、無意識のうちに言動に表れることはあります。そして、それは“好きという感情”でも同じこと。

■それ、隠せてません! 「実は好き」な相手への無意識の“好きサイン”

では、隠しているつもりでも、好きという感情が無意識に表れる言動には、どんなものがあるのでしょうか。

◇1. いつも近くにいる

人の性(さが)なのかもしれませんが、好きなものは自分の近くに置いておきたいとか、好きなもののそばにいたいと思うのは自然なこと。たとえば好きなアイドルのポスターを部屋に貼たり、好きなキャラクターのグッズを集めるというのは、程度の差はあれ、誰だって経験がありますよね。それは、人に対しても同じです。好きな人のそばにいたいという気持ちが、知らず知らずのうちに、そのひとの近くにいさせてしまうんです。

◇2. いつも見てる

“いつも近くにいる”と共通しますが、好きなものは無意識のうちに見てしまうものです。なにも考えていないときほど、思わず見てしまうものは、自分にとって好きなものである可能性が高いです。下手をすれば、ストーカーチックなのですが、いつもあなたのことを見てくる人がいるとすれば、その人はきっとあなたに好意をもっているんでしょう。

◇3. やたらほめてくる

世のなかには天性の“ほめ上手”という人もいるにはいますが、たいていは、意味もなく誰かのことをほめるということはありません。プロジェクトが成功してほめるというのではなく、「今日の靴、いいよね」とか、「字がきれいだね」とか、「姿勢がいいね」とか、何気ないささいな部分もほめる人というのは、相手に対して好意をもっている証拠です。相手をほめるのは、自分に好感を持ってもらおう、好意をもってもらおうということの裏返しなんです。

◇4. ちょっとした変化に気づく

こちらは、“やたらほめてくる”に通じるものですが、普通は相手に興味がなければ、相手のことをじっくりと見ることはありません。じっくりと見なければ、相手のささいな変化にも気づくことはないんです。

◇5. 聞かれてないのに自分のことを話す

好きな相手のことはどんなことでも知りたいと思いますよね。と同時に、好きな人にも自分のことを知って欲しいと思うのです。つまり、聞いてもいないのに、自分の子どもの頃の話や家族のこと、最近あった出来事などをやたらと話してくる人というのは、話している相手のことが好きな証拠です。

◇6. LINEの返信が早い

好きでもない相手のことって、後回しにしがちですよね。後回しならいいほうで、好きでもない相手からメッセージが来たら、既読スルーしたり、未読のまま放置なんてこともあると思います。つまりLINEの返信が早いということは、仕事やほかのことをさておいても、あなたへの返事のほうが優先順位が高いということ。それは裏を返せば、相手のことが気になっているとか、大事だとか、好きということでもあるんです。

■“好きサイン”に男女差はあるの?

このように、無意識のうちに言動に表れる“好きサイン”ですが、男と女で表れ方に違いはあるのでしょうか。研究結果があるわけではないのでなんともいえませんが、基本的には男女差はないでしょう。ただ、程度には違いが表れるかもしれません。

例えば先ほど、無意識の“好きサイン”として「やたらほめてくる」というのを取り上げました。一般的には、男性よりも女性の方が、同性同士でも異性とのあいだでも、“ほめるという行動”に抵抗がないかもしれません。

反対に男性は、照れくさくて気軽にほめられないという人もいるでしょう。これは、生まれながらの男女差ではなく、ジェンダーとしての男女差が影響しているかもしれません。

■さりげなく距離を縮めたい! “好きサイン返し“ってあるの?

ところで、こちらの好意もさりげなく相手に態度で示せるような、“好きサイン”返しのようなものはあるのでしょうか。

好意には“返報性”があることが知られています。返報性とは、わかりやすく言えば、お返しのようなもの。たとえば友だちから旅行のお土産をもらったら、「今度自分が行くときにお返しをしよう」と思いますよね。これと似ているのですが、好意についても、“相手から好きという感情を示されたら、自分も相手を好きになって、同じように好きという感情を示さないといけない”という心理があることが知られています。

ですから、相手が好きサインを示してきたら、よほど嫌いじゃない限り、無意識のうちに“好きサイン”を返していることがほとんどです。

◇見つめ返す

誰かに見つめられたら、見つめ返してニコッと微笑む。なんだか恋愛のハウツー本に載ってそうなことですが、じつはこれも自然な“好きサイン”の返しです。

◇自分の秘密を話してしまう

好きな人には自分のことも知って欲しいと思う、と先ほどいいましたが、これは心理学用語で「自己開示」と呼ばれています。この自己開示にも返報性があるので、相手が自分のことを話したら、自分も同じように、相手に自分のことを話さないといけない、と感じます。そして、自己開示がすすめばすすむほど、つまりお互いに自分のことを話せば話すほど、好意の感情が高まると言われています。

“好きサイン”は、受け手のスキル次第でもある

好意がある人に対して無意識にとってしまう言動についてお話ししてきましたが、じつは心理学的には、“異性の行動から自分への好意をどの程度感じるか”は、受け止める側にも課題があるのです。というのも、同じ“好きサイン”でも、それを自分への好意だと気づかない人もいるから。それには、コミュニケーションのスキルと、自分への自信が関係しているとされています。この話は、また別の機会にすることにしましょう。

(平松隆円)
※画像はイメージです

うそ、好かれてた!? 男のポーカーフェイス下の好意に気づけるか