18日、コカインを使用した罪に問われた元ミュージシャンピエール瀧被告に対し、東京地裁は懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

 裁判官は主文を言い渡した後、薬物事件の裁判では異例とも言える約10分にわたる説諭を行った。その際、瀧被告の関係先で撮影された「人生」という文字が写った写真を見せ、「人生の言葉の持つ意味を考えてください」などと話すと、瀧被告は神妙な表情で話を聞いていたという。以下、裁判官の説諭。

 「あなたがやったことに見合った判決にしました。あなたが有名人だからといって、そうしたわけではありません。

 あなたと裁判で話した者として一言あります。今回の法廷に限らずですが、何が役に立つか検討しました。一言だけ引っかかったところがあります。証拠写真の一部を示します。(瀧被告に写真を見せ)漢字2文字ですね?人生という2文字とあります。なんでこの字を貼っているのか気になりました。その中でこれまでの活動において、インディーズ時代も含めて出てきました。インディーズとかだと、時には羽目を外すこともあるかと思います。人生についてどんな言葉を考えているのか。仲間と純粋に楽しんでいたのかなと。そんなことを考えてこの文字を書いてくれたのかなと。

 あなたに言いたいことは3つあります。『人生をどうしたいんだろう』『人生の持つ意味』『人生と書いてくれた人の気持ちに応えられているのか』。私は芸能界のことはわからないです。初公判でも再撮という言葉を聞いて何のことかわかりませんでした。復帰できるかわからないし、いつできるのかもわかりません。しかし、いつか瀧さんは薬物なしでも前よりすごいじゃないかと社会の人が見てくれることを願っています。これから悩んだり孤独になったりしてくることもあるかと思います。人生という言葉を書いてくれた人の思いを考えてください。自分を見失わないために必要だと思います」

 一礼し、法廷を後にした瀧被告。判決後にコメントを発表し、「今回の件では、自分を信じてくださった多くの皆様、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしてしまいました。大変申し訳ございませんでした。また、こんな自分でありながらも、励ましや応援の言薬を表明してくださった多くの皆様には心より感謝しております。本当にありがとうございました。二度とこのような事を起こさないよう戒めてまいります」と綴っている。

 裁判官が何度も使った「人生」という言葉は、電気グルーヴの前身のバンド名でもある。BuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は「この言葉はそれを踏まえた“ダブルミーニング”。瀧被告の逮捕後に、石野卓球さんが“電”というタトゥーを入れた写真と『“Zin-say電気グルーヴ電気グルーヴは人生” 真似すんなよ』とツイートしたが、これにも呼応するような内容で、ファンからすると『この裁判官はわかってるな』という印象。公判の過程でも今後どうするかなどを丁寧に瀧被告に質問していた。薬物依存にとって孤独が一番よくないということを踏まえて、そういった時に言葉を思い出して、協力してくれる人もいるということを説諭したと思う」と指摘する。

 また、「瀧被告の事件は芸能人の薬物事件に一石を投じる意味があったと思う」とし、「これまでの芸能人の薬物事件は『けしからん』『ふざけるな』と叩いておしまい。それだと何の解決にもならず、仕事がなくなって孤立して、ますます薬物依存のループに陥ってしまう。しかし今回は、出演作品を全て封印するのではなく、映画をそのまま公開するような対応が見られたのは新しかった。今後に関してもひとつの指標になると思う」との見方を示した。
AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
 

ピエール瀧被告に懲役1年6カ月 執行猶予3年の判決

「“人生”の言葉の持つ意味を考えて」ピエール瀧被告に裁判官が異例の説諭 電気グルーヴの前身バンド引用か