コパ初戦はA代表で主としてきた4バック採用、出場14選手のアピール度を5段階で査定
日本代表は現地時間17日に行われたコパ・アメリカ(南米選手権)のグループリーグ初戦で、チリ代表に0-4と大敗を喫した。森保一監督は、レアル・マドリード移籍で注目を集める18歳のMF久保建英(FC東京)をA代表初のスタメンで起用し、これまでA代表でメインシステムとしてきた4-2-3-1を採用。久保が個人で魅せた一方で、チームはチリの狡猾なプレーとゲーム運びに後手を踏んだ。ここではチリ戦に出場した全14選手のパフォーマンスを、5段階評価(★★★★★)で評価した。
<GK>
■大迫敬介(広島)=★★☆☆☆
結果的に4失点デビューと守備陣との連係に課題を残したが、大きな身振りを交えて最後方からコーチングするなど、19歳の年齢を感じさせないプレーぶり。前半には、相手のプレッシングを華麗に交わす足技も披露した。
(出場なし)
川島永嗣(ストラスブール)
小島亨介(大分)
後半9分、相手のシュートが体に当たって失点。4失点目の場面もチリFWバルガスに追いつけず、目の前でゴールネットを揺らされた。A代表通算13試合目にして、自己ワーストの4失点を喫した。
■植田直通(セルクル・ブルージュ)=★★☆☆☆
チリのCFバルガスと激しい肉弾戦を展開。空中戦でも高さを生かしてハイボールを迎撃していたが、先制点を奪われた場面では中山と重なる形になり、MFプルガルに打点の高いヘディングシュートを叩き込まれてしまった。
チリMFフエンサリダとの球際で負けず、前半38分には相手のサイド攻撃を間一髪クリア、後半1分にもクロスを顔面でブロック。その一方で、攻撃に関与する回数が少なく、見せ場は後半24分に長い縦パスで中盤の久保につけ、安部の折り返しから上田が飛び込むチャンスを演出したくらいか。
相手エースのサンチェスと対峙。個人の局面ではなんとか持ちこたえていたが、後半37分の3失点目は一瞬の隙から前に入り込まれてダイビングヘッドを許し、その1分後にはスピードで振り切られてアシストを決められた。アタッキングサイドでの攻撃も、バリエーションを欠いて効果的に絡めなかった。
(出場なし)
板倉 滉(フローニンゲン)
菅 大輝(札幌)
岩田智輝(大分)
立田悠悟(清水)
久保は持ち前のテクニックでチリの選手と互角に渡り合い、卓越した個の打開力を証明
<MF>
■柴崎 岳(ヘタフェ)=★★☆☆☆
前半44分にこぼれ球をダイレクトで上田に入れてチャンスを創出すれば、後半12分にも的確なピンポイントクロスで上田の決定機を作った。球際で戦う姿勢などキャプテンとしてチームを引っ張ったが、4失点目の場面はハイボールに対するヘディングが甘くなり、ゴールを許してしまった。
■中山雄太(PECズヴォレ)=★☆☆☆☆
柴崎とボランチのコンビを組み、持ち前のロングフィードでサイドチェンジする場面もあったが、不用意なボールロストが多く、チリに中盤でイニシアチブを握らせてしまった。1失点目は植田と重なる形でヘディングシュートを決められ、3失点目はペナリティーエリア内で簡単にクロスを上げられてしまうなど、精彩を欠いた感は否めない。
■中島翔哉(アル・ドゥハイル/→後半21分OUT)=★☆☆☆☆
いつも通り果敢にドリブルを仕掛けたが、チリの鋭いタックルやチャージに行く手を阻まれ、ゴールネットを揺らせず。攻撃の中心も、この日に限っては久保に譲る格好となった。チェイシングを含め、守備にエネルギーを使わされた印象だ。
大敗のなかで唯一と言っていい光明。MFプルガルを股抜きしたかと思えば、2人を抜いて強烈なシュートを放つなど、個の打開力でチリにとって脅威の存在となった。ゴールを奪えなかったとはいえ、レアル移籍で世界的な注目を集めるなかで、わずか18歳、A代表初先発で難敵チリと対等に渡り合った点は評価されてしかるべきだろう。
FWサンチェス対策の一環として右サイドで出場。ボールを握られる展開が長く、自慢のスピードが炸裂したのは、後半20分に久保の縦パスからゴールライン際をえぐったシーンのみだった。本人は「スピードは通用した」と一定の手応えを得たが、アタッカーとしてはゴールという結果が欲しいところだ。
A代表デビューの上田は計4回のチャンスに顔を出すも最後のフィニッシュ精度に泣く
<MF>
■三好康児(横浜FM/←後半21分IN)=★★☆☆☆
前田に代わって右サイドハーフに入ると、後半30分にはピンポイントのスルーパスで上田の決定機を演出。守備でも精力的にボールホルダーへプレッシャーをかけたが、劣勢のチームを救うことはできなかった。
■安部裕葵(鹿島/←後半21分IN)=★★☆☆☆
守備に追われて攻撃に軸足を置けず、後半43分に見せたサイドからのクロスも相手に難なくクリアされた。最大のハイライトは後半アディショナルタイム、柴崎のロングフィードを受けると、自身の軸足の裏を通すバックヒールでマーカーをかわし、FKを獲得した。
(出場なし)
渡辺皓太(東京V)
伊藤達哉(ハンブルガーSV)
松本泰志(広島)
<FW>
■上田綺世(法政大/→後半34分OUT)=★☆☆☆☆
A代表初出場初スタメン。柴崎のお膳立てから2回の決定機を外したのをはじめ、サイドからのクロスにスライディングで飛び込むも届かず。後半30分には三好の絶妙なスルーパスを受けたが、シュートコースを制限されてネットを揺らせずに終わった。
0-2とビハインドのなかで、ロシア・ワールドカップ以来となるピッチへ。戦況を変えるべく、ボールホルダーへ激しくプレッシャーをかけたが、肝心の攻撃面では「ボールもあまり来ずに終わった」ことに悔しさを滲ませた。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)
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