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 哺乳類の場合、代謝と体重と寿命にはかなりシンプルな相関関係があることが知られている。大抵の場合は、体の大きさが大きくなるほどに、代謝がゆっくりになって、それだけ寿命が延びるのだ。

 もちろん例外もある。我々人間がその1つで、体重が同じくらいの他の哺乳類よりずっと長生きする。クマを例に挙げれば、人間よりもずっと体重が重いが30年程度しか生きない。

 さて、ここで意外なトリビアを。その体の大きさを考慮した場合、人間よりずっと寿命が長いと考えられる19種の哺乳類のうち、18種までがコウモリなのだ。彼らはとっても長生きだ。

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 空を飛ぶコウモリにしてみれば、体重が軽いというのは利点だ。

 それはわかるが、哺乳類の一般ルールに従い寿命は短くならなければならない。それなのに、どういうわけか一部のコウモリはやたらと長生きだ。たとえばブラントホオヒゲコウモリはたった7グラムしかないというのに、野生で40年以上も生きる。

 『Nature Ecology and Evolution』に掲載された最新の研究では、その謎を解くべく、25年以上生きるコウモリを詳しく調べてみることにした。

 調査方法はこうだ。彼らを捕まえ、血液を採取し、タグを取り付けてから、また野生に返す。そして6年が経過してから再び同じことを行う。

 こうして100匹以上のコウモリデータを集め、各年齢において活性化している遺伝子を追跡し、加齢による血液細胞の変化を観察した。

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経験や環境に応じて遺伝子活性が変化するコウモリ


 個々のコウモリは、それぞれが異なる経験をして、異なる環境的要因に遭遇するために、遺伝子の活性が変化する。

 そこで研究者は、ある時点ではサンプルの大半に存在する遺伝子活性が、時間が経過したときにどのように変化するかに注目。ここから、遺伝子活性に生じた差異で、加齢に関連するものは9パーセントしかないということを突き止めた。

 しかし、その9パーセントの中には、いくつか目を引く遺伝子があった。加齢に関連する差異のほとんどは、活性が一番大きく変化した100の遺伝子によって説明することができたのだ。

 そして、これらはDNAの損傷を修復し、損傷を受けた部品を消化・再利用するという、細胞を健康に保つプロセスに関係する遺伝子だった。

 またコウモリは、染色体の末端を維持して、細胞が老化するのを防ぐことまでできる。普通、こうしたプロセスには、テロメアーゼというテロメアを補充する酵素が関与していることが多いのだが、コウモリの場合、どうもこれを使わずに行なっているようだ。

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fermate/iStock

哺乳類間の加齢比較


 コウモリの不思議さを浮き彫りにするために、研究者はマウスオオカミ、ヒトに関する同様の研究を調べ、それらの比較を行なった。

 ここから、これらの4種には、加齢によって免疫反応が低下する、代謝活性が低下するといった、いくつかの共通点があることが判明。

 しかしコウモリの場合、それら3種とは違い、加齢によって炎症が増加するようなことはないようだった。また実験生物の寿命を延ばす遺伝子活性にいくつか変化が生じていた。

老化と同時に癌化を防ぐ

コウモリのmiRNA(RNAの短い配列で、他の遺伝子の活性を制御)も調査された。

 ここから判明したのは、コウモリは細胞分裂を停止させるmiRNAを活性化させつつ、促進させるものは不活性化させているということだ。

 つまりコウモリは染色体の末端がほつれないよう維持して、細胞の老化を防ぎながらも、同時にそれが癌化して制御不能なほどに成長してしまうことを防ぐメカニズムを保有しているということだ。

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長寿は飛行能力の思わぬプレゼント?


 コウモリ哺乳類として唯一、鳥類に匹敵する飛行能力を身につけた生き物だ。

 しかし飛行とは、代謝という点で見ると非常に負荷の高い行為だ。体の大きさと代謝と寿命に強い相関があることは最初に述べたが、代謝に高い負荷がかかる能力を獲得したからには、その代償として寿命が削られてしまってもおかしくはない。

 そこで空を飛ぶ生き物たちは、そうした高い代謝によるダメージを軽減する仕組みを進化させてきたようだ。たとえばコウモリは、鳥のように、近縁種に比べてゲノムが比較的コンパクトにできている。

 もしかしたら、コウモリの長寿は、飛行能力を手に入れたことによる思わぬプレゼントだったのかもしれない。

References:Why do bats have such bizarrely long lifespans? | Ars Technica/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52275521.html
 

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