JR西日本の株価が上昇基調にある。足元の業績が好調なことが素直に好感され、買いを集めている。各社のアナリストの反応が良いことも上昇を後押し。

米中貿易戦争の直接の影響を受けにくい鉄道株の中でも成長が見込める会社として、今後も人気となりそうだ。

JR東は「大型イベント」がかえって重荷?

3年10カ月ぶりの高値をつけた2019年6月6日の材料は、JR西が前日に発表した鉄道事業の月次データ(5月速報値)。「10連休」効果や訪日外国人の増加もあって、利用状況は山陽新幹線が前年同月比6%増、北陸新幹線上越妙高駅金沢駅間がJR西の運行区間)が3%増、近畿圏の在来線が9%増、在来線特急が4%増といずれも好調な結果となった。5月の月間ということで、利用増が大型連休のみにとどまっていないことが確認されたことも大きかった。

6日のJR西株は一時前日終値比2.6%227円)高の8967円となり、3年10カ月ぶりの高値を記録、終値は1.7%(150円)高の8890円だった。上げ幅は急伸というほどでもなかったが、当日安値(8842円)が前日高値(8749円)を上回って「窓を開ける」節目のチャート図を描いた。その後はやや落としたものの、8700円台半ばはキープしている。

最近のJR西株にとって追い風となっているのはアナリストの反応だ。SMBC日興証券が6月10日に配信したレポートは、目標株価を9300円から9800円に引き上げるもので、投資判断は3段階で最上位の「1」を維持した。2020年3月期においては前期に発生した西日本豪雨などの災害の影響からの反動も含めた鉄道事業の増収が期待されるうえ、2021年3月期以降についても不動産事業などの拡大が利益水準を押し上げると指摘している。

同証券が同日配信したJR東日本JR九州のレポートで目標株価をそれぞれ引き下げたのとも対照的だった。JR東についてはラグビーワールドカップ東京オリンピックなどのイベントに伴う警備費の増加、JR九州については同証券としての新幹線収入の下方修正などを踏まえたという。

訪日外国人の好調も後押し

他にも5月末以降、JPモルガン証券、モルガン・スタンレーMUFG証券、大和証券が相次いで目標株価を引き上げた。大和証券は「緩やかな増益基調を維持するだろう」と評価している。

少し前になるが、JR西が4月26日に発表した2019年3月期連結決算と2020年3月期の業績予想を確認しておこう。2019年3月期は売上高が前期比1.9%増の1兆5293億円、営業利益が2.9%増の1969億円、純利益が7.0%減の1027億円だった。西日本豪雨の影響で今も運休が続く区間があるが、自然災害が影響したのは主に破損した路線の復旧や修繕にかかわる特別損失を計上した純利益に限られた。

2020年3月期は売上高が前期比1.8%増の1兆5575億円、営業利益が0.5%増の1980億円、純利益が15.3%増の1185億円を見込んでいる。会社側は「災害復旧を優先したため遅れている鉄道の安全対策を集中的に実施し、人材確保に向けた待遇改善を行う」として費用がかさむとしているが、純利益については自然災害が影響した前期の反動で大幅プラスを想定した。

会社予想の営業利益は伸び悩むように見えるが、改元に伴う大型連休や大阪府東部を南北に結ぶ「おおさか東線」の全線開業(2019年3月)、訪日外国人でにぎわう関西地方を地盤とすることが業績を底支えしそうなうえ、2020年3月期配当予想を15円増の190円としていることもあり、JR西株の人気は続きそうだ。

訪日外国人の関西人気も背景に(イメージ)