ハロー!プロジェクトに所属するアンジュルムのコンサートツアー 2019春ファイナルが、東京・日本武道館で開催された。本公演をもってリーダーの和田彩花が卒業。本公演には約1万2000人のファンが来場したほか、フジテレビTWOにて生中継&全29会場(国内&台湾)でライブビューイングも実施された。全国11会場22公演で約4万2000人を動員したツアーのラスト、グループを卒業する話題を送るのに相応しいフィナーレとなった。

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ライブは、最新アルバムに収録されている『赤いイヤホン』でスタート。和田自身が弊誌のインタビューにて「アンジュルムがたどり着いた1つの最強の形」と語っていた楽曲で、一曲目から個の強いメンバーたちが一体となった圧倒的なパフォーマンスを披露する。最初のMCで「いろんなメンバー加入して卒業して、物語をみんなでつないできたなって思います。今日は第1章の最後のコンサートということで、最高の形で皆さんにお届けできたらいいなって思うし、第二章のスタートにもなりますので、いいスタートが切れたらいいなって思います」と今回の対する思いを和田が語っていると、サブリーダーの中西香菜が突然「お話しの途中で申し訳ないんですけど、今日は卒業のお祝いとしてこの方に来ていただいています!」とサプライズ発表。するとステージには、和田の前にハロー!プロジェクトのリーダーを務めていた、矢島舞美(元℃-ute)が登壇。すると、これまでハロー!プロジェクトのリーダーとしてはもちろん年長メンバーとしてハロプロ全体を引っ張ってきた和田に少女のような笑顔が戻っていた。

矢島は「あやちょ、卒業か。おめでとうございます。美しい」と優しく語りかけ、和田に宛てた手紙を読み上げる。

「あやちょへ、卒業おめでとう。15年間、本当にお疲れさまでした。ハロプロエッグとして入ってきたあやちょは、とても恥ずかしがり屋でモジモジしていて人見知りの可愛い女の子でした。スマイレージとしてデビューが決まりましたね。リーダー大変?って聞いても、あ、全然です。ニコニコしていたのを覚えています。グループの中でいろいろなことを経験して、あやちょの中でもリーダーとしての意識がどんどん強くなっているのをみていて感じていました。どこか一人で背負い込むところがあったけど、その姿勢はあやちょが大好きな人に届いていたと思う」と和田へのメッセージを送り、「責任感や使命感は、ここで次のリーダーにバトンタッチして、これからは自分自身のために、あやちょの人生、やってみたいことにトライしてほしい」とエールを贈っていた。

その後はメジャーデビュー曲である「夢見る 15歳」を歌い「ミステリーナイト!」「忘れてあげる」と歌いあげ、恩師であるつんく♂が書き下ろしたアルバム曲「帰りたくないな。」を歌唱。和田がセンターステージで歌い、残りのメンバーがメインステージで見守るというアットホームな空間に会場が包まれていた。

次のメンバー紹介のVTRコーナーでは、前田憂佳小川紗季‎、福田花音田村芽実相川茉穂といった、これまでスマイレージアンジュルムとして活動してきた全メンバーの名前が登場。この演出には、会場から大きな歓声が上がる。VTR後は、和田と新メンバー2人(伊勢鈴蘭太田遥香)の3人で『スキちゃん』を披露。すると、会場のボルテージは一気にアップ。続いて上國料萌衣笠原桃奈船木結川村文乃の4人が『私、ちょいとカワイイ裏番長』を歌い、さらに畳み掛けると、3期メンバーの室田瑞希佐々木莉佳子が『嗚呼 すすきの』、2期メンバーの中西香菜竹内朱莉勝田里奈が『私の心』と聞かせる曲を続け、会場の視線を一気に引き込んでいった。最後は、和田のソロで「シューティングスター」。そのままの勢いで、メンバー全員で『交差点』を歌うと、勝田里奈が涙を流して歌えなくなる一幕も。また、次に披露した和田の同期であり、現在は作詞家として活動している福田花音が書き下ろした『夢見た15年』の歌唱時には、そのほかのメンバーも涙を流していた。

ここからは『次々続々』『ドンデンガエシ』『マナーモード』『泣けないぜ・・・共感詐欺』と、アンジュルムが誇るキラーチューンのオンパレード。本編最後は、アンジュルム改名後の一発目の楽曲である『大器晩成』を歌い上げ、ラストはファンも大器晩成大合唱アンジュルムらしい力強さを誇示して本編が終了した。

すると、会場は和田のメンバーカラーである赤色に染まり、「あやちょ!」コールが巻き起こる。このファンからの声援に応えるように、白いドレスを身にまとった和田が登場し、インディーズデビュー曲である「ぁまのじゃく」をソロで歌う。落ちサビの部分では、いろいろと当時を思い出し泣きそうなったとライブ終了後には振り返っていた。

そして、最初にファンへの感謝、続いてスタッフ、メンバーについては感謝を語る。メンバーに対しては「みんな違ってていいんだってことに気付かされました。当たり前だけどなかなかそういったことを忘れがちだったなと思っていて、気づかせてくれたみんなに感謝しています。アンジュルムというグループとして、同じ方向にむかって1つにならなければいけない時にはみんなで違いを乗り越えていけばいいんだってことも学びました。今後一人ずつが自分の考えをもって活動を維持してくれたら、私は嬉しいと思います」、そして自身のこれからについては「アイドル、そして女性として在り方についても見つめ直していきたいと思います。アイドルの解釈の幅を広げるためにまたステージに戻ってくることが次の夢であり目標です」と語った。

和田の後をつぎ、リーダーとなる竹内朱莉は、最後のあいさつで「わだちょ(和田)の次ってプレッシャーが大きすぎて、こんなすごい人の次ってヤバいじゃないですか。頑張りますね。次に武道館に立つときは形が違うかもしれないけれど、この場所に戻ってこられるように。ちゃんと見ててください。安心して卒業しないでいいんで。もうずっと心配していてください。そしたらわだちょがいつでも見てるって私も思って、がんばります」と決意していた。

終演後、忙しいにも関わらず取材陣の質問に応えてくれた和田は、自身の卒業公演を振り返り「卒業コンサートって悲しいイメージがあったんですけど、もう私は晴れ晴れとしています」とコメント。泣かないとは決めていなかったそうだが、ほかのメンバーがボロ泣きするのを見たら、泣けなくなったと笑顔を見せていた。今後の目標を聞かれると「すぐにはみなさんの前に立てないかもしれませんが、自分自身をもっともっと向き合って、知って、ステージに戻ってこれたらいいなって。次の目標であり、夢です」と宣言。時期リーダーの竹内朱莉に対しても「今日も号泣してましたけど、とても明るくて、普段からみんなを引っ張っていたので大丈夫です」と太鼓判を押していた。

2004年にハロプロエッグ(現ハロプロ研修生)に加入した和田は、2009年にアンジュルムの前身となるスマイレージ(2014年に改名)に選出され、2010年にメジャーデビュー。エッグ時代を含めると、約15年に及ぶアイドル生活に一旦終止符をうった。ただ、グループは卒業するが今後もアイドルとしての活動は続けていくといい、今後も彼女の活動から目が離せそうにない。

また、最後の初期メンバーとなる和田彩花の卒業により、和田の言うとおり「アンジュルムの第二章」が6月19日0:00からスタートした。竹内朱莉がけん引する新生アンジュルムが、どんな姿に進化していくのかも見逃せない。(ザテレビジョン

ほかのメンバーが号泣していたから泣けなかったと、卒業公演で笑顔を見せる和田彩花