「シンデレラ」のお話は誰もが知っている有名な童話の一つで、2次作品だけでもオペラが12種、バレエが7種、ミュジカルが12種、映画は49種もあります。各国でも昔からシンデレラ型のお話が残されていますが、中国唐の時代(約803年ー863年)の小説『酉陽雑俎』の続集巻一に収録された小説『葉限』にも似たような継子話が見られます。

『酉陽雑俎』で登場する「シンデレラ」は葉限、秦漢の時代中国の南の果てに洞穴に住む一族の首領、呉の娘でした。葉限は美しくて賢く、小さい頃から銅器なども作れて、呉は彼女をとても愛おしんでいました。葉限の母が死んだ後、葉限は継母に託されましたが、呉が死ぬと継母は葉限を苛めて朝夕険しい山へ薪取りに、深い谷川へ水汲みにやらせたりした。

あるとき、葉限は谷川で目が金色の魚を捕まりました。可愛く思って家に持って帰って、自分の食事を残して魚に与えてこっそり育てました。魚は日に日に大きくなって何度容器を取り替えても追いつかないので、家の裏の池に放しました。魚は彼女にとてもなついて、彼女が行くとさっと頭をのぞかせたが、彼女以外の者の前に姿を現しませんでした。

このことを知った継母は、葉限が出かけた時に葉限の服を着て、小刀を手に持ち、魚がいる池に行きました。魚は服を見て葉限だと思って出てきましたが、出た途端に継母の小刀で突き殺されました。継母は魚を料理して食べました。魚は他の魚よりも大変美味しかったため、全部食べてしましました。食べ終わると魚の骨を糞土の下に埋めました。

帰ってきた葉限は魚がいないことに気づき、悲しんで泣き出してしまいました。すると、黒い衣に髪ぼうぼうの天人が天空から舞い降りてきてこう話しました。

「泣かないで。あなたの継母が魚を殺したのだ。魚の骨は糞土の下に埋められているので、それを掘り出して部屋にしまっておきなさい。欲しいものがあったら、その骨に願えばなんでも出してくれるだろう」葉限はその天人が言う通りにして骨を見つけました。そして骨に対して欲しいものをを言うと本当に何でも出してくれました。

節句の日がきて、継母は自分の生んだ娘たちを連れて出かけ、葉限には家の庭の果樹の番をさせました。継母が家を出ると、葉限は骨に綺麗な服と銀の靴を頼み、自分も祭りに出ました。祭りで妹に「葉限じゃないの」と言われた葉限は急いで離れたところ、金の靴を片方を落ちてしまいました。継母が急いで家に帰って見ると、葉限が寝ていましたので、やっぱり違ったと安心しました。

葉限の靴は近隣の男が拾い、最後に陀汗という隣の島国の王の手に入りました。王は国の全ての女の人に靴を履かせましたが、履ける人は誰もいませんでした。王は自ら隣の洞家を調べに出て、そこの女の人に靴を履かせてみたところ葉限を見つけました。葉限は綺麗な服を着て、銀の靴を履き、王の前に来て物の次第を話しました。王は葉限と魚の骨を自国へ連れて行き、葉限は王妃に封じられました。そして継母と妹はどこからか飛んできた石に当たって死んでしまいました。

(翻訳・編集 唐玉)

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