txt:江口靖二 構成:編集部

国内最大となるデジタルサイネージの祭典開催

今年で12回目の開催となる、国内最大のデジタルサイネージの展示会「DSJ2019(デジタルサイネージジャパン)」が、6月12日から14日の3日間、幕張メッセで開催された。入場者数はInterop Tokyoなどの同時開催イベントとの合算で15万5,801人と、前年比1万1,995人の増加と非常に盛況であった。

DSJ2019の基調講演では、株式会社LIVE BOARD社長の神内一郎氏が「Power of OOH – 5G時代に向けたOOHメディアデジタルトランスフォーメーション –」と題したプレゼントーションを行い、2000名の聴講者を前に5G時代のOOHメディアの展望を語った。

DSJ2019の基調講演「Power of OOH – 5G時代に向けたOOHメディアデジタルトランスフォーメーション–」 株式会社LIVE BOARD 代表取締役社長 神内一郎氏

神内氏は電通のOOH局の業務統括部長を経て、今年2月に電通がNTTドコモと設立した株式会社LIVE BOARDの代表取締役社長に就任した。LIVE BOARDはOOHの配信プラットフォームの運営および広告媒体の開拓、広告枠の販売事業を行う会社で、現在デジタルサイネージ業界で最も注目を集めている。LIVE BOARDではデジタルOOH視聴データの整備や広告取引の自動化等を実現することにより、現在のOOH広告における課題を解決していくと同時に、ドコモの「モバイル空間統計」を活用した新たな価値を付加したデジタルOOH事業の普及・拡大を目指している。

プレゼンテーションではOOHについて、新聞のようなメディアが登場する遥か以前、壁画の時代から屋外広告は存在していて、それが現在まで脈々と繋がっている最古のメディアであることを改めて指摘。それが現代では街全体をデジタル技術によってメディア化するようなことも可能になっていることを、中国の青島の例などを交えて紹介した。

最新の事例としてはローカルセンシングによってデジタルサイネージを見ている人を判別、対象者の属性によって表示内容を変えたり、目線の認識によって接触状況や視聴状況を判定してリーチデータ化する事例なども紹介した。

複数のKPIを同時に実現できる

続いて、これまで複数の事業者によって異なる仕組みやルールで運用されているデジタルサイネージに、複数媒体への広告配信などのプランニングを自動化する試みとして、Clear Channel UKが導入したECOS Systemの例を示して、日本でもこうした取り組みをすることで使いやすいメディアにできることを指摘した。LIVE BOARD社はこれに準じたシステムを構築提供する予定である。

クリアチャネル社のデジタルサイネージ向けメディアプランニングシステム https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/06/DSJ2019_01_01871.jpg 広告対象の属性などを入力すると、システムが空き枠を自動設定することができる
※画像をクリックすると拡大します

表示コンテンツを動的(ダイナミック)に変化させる、ダイナミックOOHの事例として、ニューヨークタイムズスクエアで行われたDoveのレインシャワーキャンペーンを紹介した。これは雨が降っている時専用のクリエイティブを用意しておき、実際に降っている雨をシャワーに見立てて、Doveのボディソープの使用感をその場で自分ごととして感じてもらうという試みである。

雨の日のタイムズスクエアをDoveがジャックした

またOREOの例は日食に合わせて行ったキャンペーンで、曇りがちなロンドンでは実際に観測できない可能性が高い日食を、リアルタイムCGでシミュレーションをして街のOOHで表示する事例の紹介である。その瞬間に実際に欠けている様子を、白と黒のOREOとも見えるグラフィックで再現したことは、当日現場でのインパクトは相当強力なものになったようだ。

ヒースロー空港とロンドン市内を繋いでいるヒースローエクスプレスの事例では、実際の電車の到着時刻に合わせて、市内へのまでの交通機関の所要時刻を表示し、ヒースローエキスプレスの優位性をアピール。さらに到着したエアラインの国籍や出発地に応じて表示言語も自動で切り替えた。これらは時刻表ベースではなく、全てリアルタイムのアクチュアルデータを元にして自動生成されるダイナミックOOHである。

到着ロビーにその時点でのロンドン市内までの実際の所要時間を表示。実際にほとんどの時間帯において、ヒースローエキスプレスが最速である タクシーと比較して23分早く、35.7ユーロ安いと具体的に表示してしまう

神内氏のプレゼンテーションはすべて実例を元に構成されたので、概念的なことだけではなく、実例としてデジタルサイネージの最新事例から、その先に見えている近未来を示す内容となった。特にデジタルサイネージに対して基本的なことを認識して実践している関係者や広告主にとっては、極めて示唆に富んだ刺激的な基調講演であった。

LIVE BOARD社の今後の取り組みに注目が集まる
txt:江口靖二 構成:編集部
[DSJ2019] Vol.02
[DSJ2019]Vol.01 基調講演~5G時代に向けたOOHメディアのデジタルトランスフォーメーション