Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、6月21日(金)から今週末にかけての公開作品から、『X-MEN』シリーズ最新作、岡田准一の存在感抜群なアクションコメディ、喪失からの再生を珠玉の映像美で描く人間ドラマなど、バラエティ豊かな3作品をピックアップ!

【写真を見る】アメコミ人気の火付け役『X-MEN』シリーズの最新作!(『X-MEN:ダーク・フェニックス』)

現代社会が抱える問題が端々に顔を出す『X-MEN: ダーク・フェニックス』(6月21日公開)

マーベル映画人気の起爆剤となった『X-MEN』(00)以来、20年も続いた長寿シリーズの完結編。心に傷を抱えた少女ジーンがミュータントの施設に引き取られて17年。スペースシャトルを救う任務のさなか、彼女は謎のエネルギーを浴びたことから邪悪な人格に支配されてゆく。X-MEN誕生を描いた『ファースト・ジェネレーション』(11)からのシリーズは、アクション&スペクタクルに加え社会派の側面を強めているのが魅力。宇宙での救出劇やロマンス、復讐劇を盛り込んだドラマチックな今作も、人種差別や寛容の欠如、権力乱用など現代社会が抱える問題が端々に顔を出している。「ヒーロー」や「X-MEN」というキーワード抜きでオススメできる見ごたえある作品だ。(映画ライター・神武団四郎)

■ アクションと笑いのメリハリが絶妙な『ザ・ファブル』(6月21日公開)

南勝久原作の人気コミックを、岡田准一主演で映画化。伝説の殺し屋が、ボスから1年間「殺し」を禁じられ、初めての一般人生活に悪戦苦闘する姿が、本作のおもしろさの肝。その“目にも鮮やかな殺し屋アクション”と“一般常識とズレまくるコメディ”の絶妙なメリハリは、まさに岡田の存在あってこそ。360度どこからでも割らずに撮れるアクションには改めて惚れ惚れだし、ズレたすっとぼけ姿はおかしくってかわいくてハートにズキュン。相棒の酒豪イケイケギャルに木村文乃、ムショ帰りの危ない奴に柳楽優弥、人情派なヤクザ安田顕ら、演技派がみないい仕事で楽しませる。福士蒼汰山本美月ら若手人気系もそろい、隅々まで楽しませてくれる。監督は『映画 めんたいぴりり』(19)の江口カン。(映画ライター・折田千鶴子)

■ 繊細でみずみずしい映像世界に魅了される『アマンダと僕』(6月22日公開)

このフランス映画は、突然パリを襲った悪夢のような事件によって母親を亡くした7歳の少女アマンダをめぐる物語。題名にある“僕”とは、アマンダの叔父にあたる24歳の青年ダヴィッドだ。彼はひとりぼっちになった姪っ子を引き取ることになるが、日々の生活は不安定だし、何より“親”になる心の準備ができていない。そんな2人が癒やしようのない悲しみをこらえ、懸命に生きていこうとする姿を見つめた本作は、夏の日差しがきらめくパリの街並みや公園をありのままに映し出す。ダヴィッドとアマンダのぎこちなくも微笑ましいやりとり、そして彼らが自転車でパリを駆け抜けるシーンにいつしか胸が弾み、繊細にしてみずみずしい映像世界に魅了されずにいられない。喪失からの再生というテーマを象徴する少女の笑顔もとびきり愛くるしい珠玉作だ。(映画ライター・高橋諭治)

週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!(Movie Walker・構成/トライワークス)

『X-MEN:ダーク・フェニックス』は社会的側面も見ごたえ抜群!