作家でタレントの岩井志麻子が、5月18日に放送された関西テレビのバラエティ番組『胸いっぱいサミット!』のなかで韓国人の気質について聞かれ「手首切るブスみたいなもんなんですよ」とたとえた。関西テレビカンテレ)はそうした発言に対して視聴者から複数の批判的意見が寄せられたことを明かし、6月18日に「この表現をそのまま放送したことは適切な判断ではなかった」と謝罪した。

5月18日にオンエアされたのは収録で、韓国の文喜相国会議長が今年2月に天皇陛下(現上皇さま)が謝罪すれば慰安婦問題が解決すると発言しながら、5月の代替わりでは祝電を送ったという報道についてトークした場面でのことだ。

岩井志麻子の夫は韓国人なので、進行のハイヒール・リンゴが「韓国人気質は分かる?」と振り、岩井が「とにかく“手首切るブス”みたいなもんなんですよ。手首を切るブスという風に考えておけばだいたい片付く」と話したところ笑いが起きた。

さらに岩井は“手首切るブス”が「来てくれなきゃ死んじゃうから、死んだらあんたのせいだから」と迫っても中国や北朝鮮は「死ねば」と冷たいが、日本は「そんなこと言うなよ、お前のこと好きなんや」という関係にたとえるが、それに続く発言は編集により効果音が被されていた。

そうした岩井の発言に対して、これまでに視聴者から複数の批判が寄せられたという。カンテレは「この表現をそのまま放送したことは適切な判断ではなかった」と謝罪して、「当初は差別的な意図はないと判断してカットしなかったが、批判を受けて協議した結果、多様な感じ方をされる視聴者の皆さまへの配慮が足りず、心情を傷つけてしまう可能性がある表現であり、そのまま放送するというのは誤りだった」との趣旨を説明している。

岩井志麻子はレギュラーコメンテーターを務めるTOKYO MXのバラエティ番組『5時に夢中!』で2008年3月27日、放送中に18歳年下の韓国人と再婚したことを発表しており、その後も度々「韓国人気質」について話している。

彼女は今回もそうした背景を踏まえて「この間も言いましたけど、とにかく“手首切るブス”みたいなもんなんですよ…」と発言したから周囲もウケたのだろう。

カンテレは当初「差別的な意図はない」と判断しながら視聴者の批判を受け止めて謝罪に及んだが、ネット上では「いやいや、韓国人男性と結婚してんだよ、志麻子さん。民族差別の意図なんて無いに決まってんでしょうが…」、「一体、どのあたりが差別的表現だったんだろ? 俺にはただの揶揄にしか思えんが…」、「岩井志麻子はだいぶ前からこの表現使ってたはず、初めて聞いた時笑ったし。外国人を茶化したっていいじゃない、トップギアとかでもよくやってるよ」、「さすが作家、的確な表現。本当のこと言われて逆切れする方を立てる社会ってろくなもんじゃない」、「質の悪いブラックユーモアだが、放送したなら堂々とすればよく、謝るのだったら最初から編集でカットしておくべき。危機管理の緩さは在阪局のあかんところ」という声が見受けられる。

今回の件でテレビ局に限らず、これまでテレビCMから行政の取り組みまで「数件のクレーム」を受けて謝罪したり取り止めたことを思い出す。

カンテレは「差別的な意図はない」と判断したことを自信を持って訴えたうえで、一部の視聴者からの声を真摯に受け止めると説明すれば済んだのではないか。韓国政府やそれに準ずる立場から正式にクレームがあれば謝罪する必要はあるだろう。あるいはスポンサーからそうすべきだと言われては仕方あるまい。しかし視聴者には様々な受け止め方があるなか、一部の批判に過剰反応して謝罪するのはいかがなものか。

これからもすぐに謝罪する風潮が続けばメディアで思ったことが発言しづらくなったり、制作側の発想も枠にとらわれて広がりがなくなってしまいそうで心配だ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)

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