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 シャープは、東京・芝浦のシャープ東京ビル内に、8Kソリューションを創出するための法人向け商談スペース「8K Labクリエイティブスタジオ」を開設。6月19日にその内容を公開した。

 8K Labは、8Kの技術開発やビジネス関連組織などの10人強の社員によって構成される組織横断型プロジェクトで、2018年12月14日に発足。今回の8K Labクリエイティブスタジオは、同プロジェクトを推進するための拠点となる。

 シャープ 8K Lab マーケティング&プロモーティング担当の吉田茂人エグゼクティブディレクターは「単に商品を展示するショールームとしての役割ではなく、顧客の要望にあわせて、最適なソリューションを模索するなど、マーケットイン型のビジネスを行う場になる。社外のパートナー企業とも密接に連携しながら、顧客企業と共創して専用の8Kソリューションをいち早く開発し、社会に普及させていくことを目的としている」と位置づける。

 インフラ保守、セキュリティサービス、スマート会議、ゲームエンターテイメント、遠隔医療・手術支援、運転サポート、教育支援、スマートホームの8つの事業分野をターゲットにソリューション開発をすることを目指すが、2019年5月にプレオープンした際には、3日間で14社36人が参加。「1業種1社に限定したものの、幅広い業種からの参加を得ており、1日3件の想定を上回った。午後7時からでもいいから見せてほしいという要望もあったほどだ。想定した業種以外からの参加も得ており、いい手応えを感じている。幅広い業種のニーズに対応したいと考えており、8K Labクリエイティブスタジオでは、年間約200社の利用を想定している」という。8K+5Gエコシステムテーマした商談も増やしていくことになる。

 8K Labクリエイティブスタジオでは、8Kの映像制作を簡単に体験できる「8Kカメラの撮影エリア、8K映像データを公衆インターネット回線経由で伝送させる「8K映像のIP伝送エリア、8K映像の簡易編集を可能にする「8K映像の編集エリアで構成。最新の8K関連機器や装置、アプリケーションを設置する。また、中央部に設置したテーブルを商談エリアとして活用する。

 「8Kカメラの撮影エリア」には、シャープの8Kカムコーダー「8C-B60A」やアストロデザインクロスコンバータ「SC8219」、ソシオネクストと共同開発中エンコーダ、シャープ開発中のデコーダーなどを設置した撮影ブースで、屋内に設置された素材の撮影のほか、カムコーダーを移動させれば、屋外の風景も撮影可能となっている。8K Labクリエイティブスタジオの方向からは東京タワー六本木ヒルズなど、都内の風景を撮影できる。撮影した映像は、圧縮処理や復元処理を経てライブ映像として8Kディスプレイに表示される。

 「8K映像のIP伝送エリア」は、同社の堺事業所に設置されたクラウドサーバーと接続して、同サーバーに蓄積された8K映像を、公衆インターネット回線経由でストリーミング伝送するデモストレーションを体験できる。また、同社では、NTTドコモと5Gによる8K動画の伝送実験も行っており、この成果などもここで紹介することになる。

 また、8K画像を4Kにダウンコンバートし、これをインターネット回線で伝送。再生時にはAIを活用して8Kにアップコンバードすることで、伝送する環境を最適化する一方で、高画質で再生できる同社独自の技術もデモストレーションできるようにしている。

 「アップコンバートダウンコンバートの技術や超解像度化技術、映像・静止画切り出し技術、定点観測技術などのAPIを提供することで、様々な配信サービスクラウドサービスとして提供できる。こうしたシャープの強みも紹介できる」としている。

 「8K映像の編集エリア」では、編集環境に加えて、編集した映像をその場でプレビューできる環境を用意。ブラックマジックの最新編集ユニット「Davinci Resolve 16」などを配置している。「ゲーム開発会社が若手エンジニアの育成のために、編集エリアを使わせてほしいといった声もある。学生に使ってもらうこともできる。簡易スタジオと簡易編集室により、8Kコンテンツを体験してもらったり、8Kコンテンツ制作に踏み出してもらう場にしたい」としている。

 8K Labクリエイティブスタジオの機材は、貸し出しも可能であり、個別企業に持ち込んだ利用も行えるほか、奈良県天理と千葉県幕張の研究開発本部の拠点にも、8K Labクリエイティブスタジオのサテライト拠点を設置して、ここに機材を持ち込んだ作業なども可能になる。

 8K Labを統括するシャープの吉田育弘ディレクターは、「8Kというと、高画質の放送が注目を集めるが、それ以外の用途も幅広い。8K Labクリエイティブスタジオは、放送以外の8Kの活用を模索する場になり、ソリューションという観点からの取り組みが中心になる」と説明。「たとえば、インフラ保守という領域では、建造物をいかに長い期間維持するかが課題であり、そのために重要なメンテナンスを高度化したり、効率化したりするニーズがある。トンネルのなかを8Kで撮影して、ひび割れを調べ、その情報をもとに、最適な保守を行うことができる。ここでは、8Kならではの解像度の高いカメラで動画を撮影することで、より精度の高い画像分析が可能になる。テレビ高画質放送というだけではなく、あらゆる用途での利用が可能で、この技術を課題解決の手段として社会実装することができる。8Kを核にしたソリューション提案を、様々な領域で行いたい」とする。

 8K Labデザインスタジオは、先進的な8K関連の研究開発技術を、技術、装置、システムソリューションという観点から、テクノロジーサービスとして提供。パートナーとともに、新たな価値を世界に先駆けて事業化し、社会に実装していく場になるというわけだ。

シャープ、8Kの新たな使い方を共創する「8K Labクリエイティブスタジオ」をオープン