山本太郎

フリーアナウンサーの久米宏がMCを務めるTBSラジオの人気番組『久米宏のラジオなんですけど』。15日に放送されたゲストコーナーに、政治学者で東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授の中島岳志氏が出演した。

中島氏は保守思想の大家である故・西部邁氏の弟子で「リベラル保守」を自称している。久米は口を開くと次のように話し始めた。

山本太郎くんの最近の街頭演説の写真をネットで見たんですけど、ものすごい人が集まってるんですよ。かつての小泉純一郎田中真紀子コンビの街頭演説並みに集まっていて、これどうしちゃったのかと思ってびっくりしちゃったんです。

 

彼、去年この番組に来たときにはまだ自由党にいて、それをお辞めになって自分で新しいグループ(れいわ新選組)を立ち上げたんですけど、そんなに話題にはなっていなかったと思うんです。なんで街頭演説にあんなに人が集まるのか疑問に思ったんです」

 

■ネットから支持拡大

中島氏は、

「まだ大手のメディアが取り上げていないんだけど、おそらくインターネットを通じて支持が広がっているというのが現状なんです。

 

2年前に枝野幸男さんが立憲民主党を立ち上げてひとつの大きなブームを作り出したんですけど、あれと何が同じで、何が違うのかというのが非常に重要なことだと思うんです」

 

と解説した。

 

■「若者の関心事を押さえている」

なぜ今は立憲民主党には風が吹かず、山本氏に風が吹いているのか。それを分析することが現時点での最大のポイントだと中島さんは主張した。

2年前の枝野幸男氏と今の山本氏が同じところは、大きな逆境の中で、2人ともどうしても主張したいことがあってひとりで立ち上がった姿。

一方、違っている点は、地方の農家や中小企業の人たち、商店主といった旧来、自民党を支持してきた人たちが、今、山本氏に支持に流れてきているというところ。これは2年前の立憲ブームとは違うと中島氏は断言した。

■久米宏の分析は…

山本太郎

さらに久米は、次のように山本氏の若者人気を分析した。

「先週、街頭演説の動画マップを公開している『チャリツモ』の船川諒さんという方に興味深い話を聞いたんです。

 

若い人がなぜ投票に行かないのか船川さんがインタビューしてみると、若い人は選挙に関心がないわけじゃないんだけど、『自分が投票した人がもしとんでもない人だったら責任が取れない。それが怖い』という人がかなり多いという。

 

だから彼らに情報を提供して、ちょっときっかけがあれば、彼らは投票に行くよって。そういうネットを見ている若い人たちの心に届く可能性があるわけですね、れいわ新選組は」

 

 

■山本の率直さに共感拡がる

中島氏はその話を拾って、次のように述べた。

「データでも出ていますけど、立憲民主党を支持している中心的な層は年齢の高い人たち。それに対して山本太郎の支持層はかなり若い世代に食い込んでいる。これもまた違うポイントなんです。

 

山本さんが目を向けているのが、若い層の貧困の問題。いま年金問題が出ていますけど、若い人たちにはぴんとこないと思うんです。それより、大学の奨学金でローンを組んで借金を背負って社会に出てきて、あっぷあっぷしている。

 

また、日本全体で言うと30%を超える人たちが預貯金ゼロ世帯。こういう状況の人たちに対して『今の社会はおかしいじゃないか』と率直に声をあげているのが、今の山本太郎。それが、彼の話を聞いてみようという流れになっていると思います」

■「子供3人持つために必要」

筆者は20代から30代の比較的若い世代に、山本太郎氏を支持する理由を聞いた。まず、32歳の共働き家庭の女性。

「我が家は共働き家庭で子供は3人欲しいと思っていましたがこのまま緊縮財政が続くようでは経済的理由で2人すら無理です。

 

子供が欲しい夫婦が望んだ人数を産み育てられる経済状態を実現するには、そして自分の子供が日本で幸せになるためには、他の党と比較してもれいわ新選組の政策が不可欠だと考えています。

 

山本太郎さんはインフレ目標達成まで国債発行をしてデフレ脱却をするというといっています。そうなれば高福祉社会も夢でない。そこが支持する理由ですし、他の党の政策にはないところです。太郎さんの経済政策ならば子供三人も可能になるかなと思います」

 

■「どんな質問からも逃げない」

20代の男性は支持理由を次のように語った。

山本太郎さんは二時間以上の聴衆からの質問に答える街頭記者会見をやっていますが、どんな質問からも逃げない。真摯に応える。太郎さん以外の候補は演説するだけで質疑応答をもうける人なんていない。

 

年越しには利害関係なく路上生活者のために炊き出しに行って手伝う姿もかっこいい。そして、何よりも消費税廃止にまで踏み込んだ公約をしているからいいですね。僕たち若い世代も消費税には敏感ですからね」

■「母子家庭・生活保護をよく理解」

30代後半の女性は次のように述べた。

「支持する理由は、太郎さん本人が経験されていない会社員、母子家庭、生活保護、といった現場の苦しみを本当によく理解されていることです。貧困やシングルマザー、障碍者の話をこの6年の議員生活でよく聞いたことが分かります

 

そして、掲げる政策や貧困状況などのデータを液晶パネルに映して、素人にも分かる言葉で説明してくれることです。魅力をあげたら言い足りないので一言で言いますが、ほかの議員の街宣では1度も感じなかった魅力を太郎さんには感じました」

 

■「庶民に寄り添う政治を体現」

22歳の男子大学生は次のように語る。

「山本氏を支持する理由は、庶民に寄り添う政治を体現しているからで。ゴールデンウィークから始まった全国での街宣では、人々の生活の苦しさをよく理解した上で政策をわかりやすく説明し、聴衆にマイクを渡して多くの声を拾っていました。

 

国内外で様々な課題が積もる中で、国民目線で何が一番重要かを理解し、消費税奨学金、賃金など、身近の話題を選びそこにアプローチしてくれる政治家は彼の他にいません。

 

国民が何を求めているのかを見抜く感性がきわめて鋭い。今後より一層支持層を増やし、大きな動きを作ってくれる可能性を期待し、これからも応援していくつもりです」

 

■寄付金は1億9225万円を突破

参院選告示日は7月4日、21日に投票が想定されている。つまり、2週間あまりで告示日になり、選挙戦が本格的にスタートする。

山本太郎・事務所に問い合わせたところ6月15日現在で寄付金は1億9225万円を突破したという。山本氏が第一の目標にした3億円まで届きそうな勢いだ。関係者によると1万円単位で寄付する人が多いと言うが、一番多いのは数千円単位の寄付。

そのため、事務所も把握できないほど、多数の人がカンパしているのだ。2017年の総選挙では立憲民主党を手伝い、今回はれいわ新選組を手伝っている関係者はいう。

山本太郎さんが立たなくても比例区1議席獲得が見えてきた感があります。2年前のの立憲ブーム以上のうねりを感じます。立憲はしょせん、都市型政党でしかなかったが、れいわ新選組は田舎と呼ばれる地方にも支持者・ボランティアが多数いて動いている。

 

東京選挙区で山本太郎氏が1議席、比例区で1議席かそれ以上をとれれば、政党要件を有し、野党間の協議にも代表を送り込めます。

 

山本さんはよく『デッドボールを投げに行かなきゃ』といい、ガチンコで闘う野党をつくることを目指していますが、その願いも夢でなくなってきた。

 

あとは、『れいわ新選組』という名をどれだけ浸透させるか。比例代表で政党名で投票する人は7割、8割なので党名新党が急務です」

 

久米宏や中島岳志教授が注目するほどに拡がりを見せているれいわ新選組。さて、それが議席に結びつくだろうか。

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(取材・文/しらべぇ編集部・及川健二

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