百貨店から町の個人商店に至るまで小売業界の現場では「外国人による万引が増えている」という悲鳴にも似た声が上がっている。一方、『平成30年における組織犯罪の情勢』(平成31年3月警察庁:組織犯罪対策部)によると、《来日外国人による万引を含めた犯罪の検挙件数は、2005年を、検挙人員については04年をピークに減少傾向が続き、近年はほぼ横ばい状態で推移している》となっている。

「横ばいの理由は検挙していないからです。04〜05年にピークが訪れたのは、当時の警察は来日外国人犯罪者を躍起になって逮捕していたからです。一方、近年は五輪開催国となる日本のイメージを守るため、警察が積極的な取り締まりをしていないからです」(犯罪ジャーナリスト)

 来日外国人による万引は“ビジネス”として組織的に行われているという特徴がある。外国人犯罪が増えている背景には、段階的なビザ緩和による訪日クルーズ客船の増加が大きな要因となっているという。18年における寄港回数トップ3の港は、博多港(279回)、那覇港(243回)、長崎港(220回)で、東京港は、東京国際クルーズターミナルの整備によって、2028年までに年間280回のクルーズ客船利用回数の達成を目指している。

クルーズツアーといえば、かつては富裕層ならではの贅沢でしたが、今や東アジアからのクルーズ船は様相が一変しています。佐世保では、クルーズ客の質の低下から万引をする輩が増え、ドラッグストアは『試供品が根こそぎ持っていかれ、マスカラなど小型の化粧品が頻繁に盗まれる』などと悲鳴が上がっています。中国のクルーズ料金は3000元(4万8000円)の販売価格を切るツアーもあり、乗客は、元手をペイしようと万引に精を出すのです」(同・ジャーナリスト)
 佐世保のような懸念は、東京にも及びそうだ。

「新橋とお台場や豊洲を結ぶ東京臨海新交通臨海線(通称:ゆりかもめ)の「船の科学館」駅の駅名が、19年3月から『東京国際クルーズターミナル』に変わりました。近年、クルーズ船はどんどん大型化しているため、船によってはレインボーブリッジの下を通過して晴海埠頭に寄港することが困難になってきました。そこで、都が臨海副都心の青海地区で、世界最大級の客船に対応可能なターミナルの整備を2020年7月の開業に向けて進めているのです」(観光ライター)

 日本各地のクルーズ船寄港地から聞こえてくるのは「ウハウハ」よりも「悲鳴」である。首都圏もいずれそうなるかもしれない。