Credit: Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences (2019). DOI: 10.1098/rspb.2019.0434

Point

■木の代わりに「石」を食べるフナクイムシがフィリピンで発見された

■彼らの大きく平たい歯の特徴は、木を食べるフナクイムシとは異なっており、大昔に種が分岐したことが考えられる

■石を食べ始めた理由は分かっていないが、フナクイムシのエラに住むバクテリアの栄養ニーズを満たすための行動である可能性もある

25年間ヘビの毒を趣味でキメてきた男、その体が血清の宝庫となってしまう

なにそれオイシイの?(文字通りの意味で)

複数の研究機関から集まったアメリカの研究チームが、木の代わりに「石」を食らうフナクイムシの一種を発見した。

研究は「Proceedings of the Royal Society B」に掲載されている。

石の中からこんにちは

フナクイムシは水中に生息する二枚貝の軟体動物で、木を食べて生活している。食べながら木に穴を開けて掘り進むため、木材の輸出業者にとっては少しやっかいな存在だ。さらに見た目もグロテスクなため、嫌われ者として知られている。

最近になって、フナクイムシが桟橋や水中にある木の構造物に穴を開けている例が報告されていたが、今回の発見で彼らが食らっていたのは、もはや木ではない。

なんと彼らは「石灰岩」を食べてそこに穴を開けていたのだ。

フナクイムシの新種は2006年の時点で発見されていたが、最近になるまで詳細な研究がおこなわれていなかった。

今回、研究者らは岩を砕いて新種のサンプルを採取し、研究室へと持ち帰った。その全長はおよそ15センチメートルと小さく、白い体は他の軟体動物と比して虫の「幼虫」に似ている。

「石」を食べ始めた理由は不明

従来の木を食べるフナクイムシと比べて、体の特徴に異なる箇所が見つかった。たとえば「歯」は、木よりも硬い石を食べるのに適した、大きく平らな形だ

さらに、このフナクイムシには木を消化するための嚢(ふくろ)がないこともわかった。では何を排泄するのかというと、彼らは石を食べた少し後に「砂」を排泄するのだという。

こうした大きな特徴の違いから、研究者らは、この石を食べる新種が木を食べるフナクイムシから進化したわけではなく、かなり昔に「石」と「木」を食する者に分岐した可能性が高いと考えている。

「石食い」フナクイムシが開けた穴 / Credit: Marvin Altamia and Reuben Shipway

そうであったとしても、なぜ彼らが食糧として木ではなく石を選んだのか、その理由は分かっていない。しかし、石に何か重要な栄養素を求めてこのような分岐が発生したとは考えにくいという。

フナクイムシのエラに住むバクテリアの栄養を補給するためとも考えられているが、水管から何らかの栄養素を取り入れている可能性も除外できない。

 

東南アジア神話では、石とバナナどちらを選ぶか神に迫られ、バナナを選んだために人間は脆く腐りやすい体になってしまったしまったのだという。石は不老長寿の象徴でもあるし、この虫を食べたら長寿に…という商売が流行ったりして。

岩を溶かして成長する植物が発見される

reference: phys.org / written by なかしー

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石を食べて砂を排泄する不思議な虫が見つかる