生協労連(全国生協労働組合連合会)は6月20日厚生労働省記者クラブで会見し、最低賃金を1000円以上、かつ全国一律にすべきだと主張した。最低賃金の地域格差が人口流出や地方の疲弊を招いているとしている。

最低賃金は毎年3%ほど上昇しており、2018年度は874円(全国加重平均)。ただし、もっとも高い東京の985円に対し、最下位の鹿児島県は761円で224円の差がある。

「スーパーやコンビニでも、全国どこでも売っている物の価格はほぼ同じです。最賃の一番低い鹿児島だからといって、価格が安くなることはありません。それなのに、同じ価格の物を売り、同じ仕事をしていても1時間あたりの時給が200円以上も違います」(生協労連)

時給が低いからダブルワーク、トリプルワークをしなければならない。「同一労働同一賃金」が叫ばれて久しいが、正規と非正規の格差だけでなく、地域ごとの賃金格差にも目を向けて欲しいという。

生協労連は約6.6万人で構成。そのうち約7割が非正規労働者だといい、最低賃金は生活に大きく影響する。

最低賃金は、どこでもだれでも今すぐ1000円以上に、早期に1500円の実現と、全国一律最低賃金制度の確立」というのが、生協労連の主張だ。

●地方だからといって生活費が安いわけじゃない

地方は賃金が安い代わりに、生活費も少なくて済むと思われがちだ。実際、都市部の家賃はかなり高いといえる。一方で地方は移動に車が必要だったり、冬場の光熱費が多くかかったりすることもある。

生協労連の上部団体「全労連」の調査によると、賃貸ワンルームに住む25歳男性で試算したとき、鹿児島市(最賃761円)では交通・通信費が月3万9000円ほどかかるのに対し、名古屋市(同898円)では約1万9000円。トータルの生活費は、鹿児島の方が1万円以上高くなったという。

これだと若者はより便利で、高い給料をもらえる都会に流出してしまう恐れがある。

●政界でも最賃上昇の流れ

地方の生産性を上げようと、政府・与党は、最低賃金の全国加重平均1000円を早期に目指す方針だ。自民党内には今年2月、最低賃金の全国一律化を目指す議連もできた。

一方で、最低賃金を2年連続10%以上引き上げた韓国で、企業の倒産や失業率の高さが問題になっているように、最低賃金の上昇が地方企業にとって打撃になることも考えられる。

生協労連は、政治に対し、中小企業への支援策も同時に求めていくとしている。

最低賃金「今すぐ1000円以上」「全国一律に」 非正規労働者らアピール