偽のプロフィールを作成して他人になりすまし、犯罪行為をする手口は世界中で後を絶たないようだが、偽のプロフィールを使って、犯人逮捕に貢献した大学生がいる。

 海外ニュースサイト『ワシントンポスト』と『People』は6月12日、米カリフォルニア州の男子学生がスナップチャット(Snapchat)を使って個人的に“おとり捜査”を敢行。彼の通報によって、未成年者と性的関係を持とうと試みたとして、同州サンマテオ警察に勤務する40歳の警察官ロバート・デイビス容疑者が逮捕されたと報じた。

 記事によると、20歳の男子大学生イーサンさんは、アメリカで大人気の写真共有アプリ『Snapchat』の「性別転換フィルター」機能を使って、エスターという19歳の女性に変身。女性化した写真を使用してマッチングアプリ『Tinder(ティンダー)』に新しくアカウントを開設した。するとデイビス容疑者からメッセージが届いたという。

 すぐに2人は、10代の若者に大人気のメッセージアプリ『Kik(キック)』を利用してチャットを始めることに。その際、イーサンさんは実は16歳だと偽の告白をした。それにもかかわらずデイビス容疑者は性交渉を誘うメッセージを送ってきたそうだ。イーサンさんはメッセージのスクリーンショットを保存。後日、イーサンさんは一連のやりとりを地元警察に通報し、証拠のスクリーンショットを提出した。捜査を始めた警察は、数週間後にデイビス容疑者を特定し逮捕に至った。その後、未成年に接触しようとした行為が重罪に当たるとして、デイビス容疑者は起訴されたという。

 イーサンさんは、自分が“おとり捜査”をした理由について、「僕の女友達が子供の頃に性的虐待の被害に遭っていて、性犯罪に強い憤りを感じていました。だから、子供に性犯罪を犯そうとする人間を見つけ出したかったんです。それがたまたま警察官だっただけのこと。今後はもうおとり捜査はしません」と地元の放送局『NBCベイエリア』の取材に答えたという。

 このニュースが世界に広がると、ネット上では「よくやった!イーサン」「警察官のくせに性犯罪を犯そうなんて許せない」「性別転換フィルター、凄すぎる。あの写真には誰だって騙されるよね」「嘘みたいな本当の話」といった声が寄せられていた。

 今回の逮捕劇に一役買った『Snapchat』とは一体どんなアプリだろうか。

 アメリカの若者の間では『Instagram』に勝るとも劣らないといわれるほど人気で、メッセージが10秒で消えるアプリだ。イーサンさんが使用した「性別を変えるフィルター」は最近日本でも人気となっている。

 日本でも、この機能を使って顔加工された写真を『Instagram』などに投稿し、話題を集めることも多い。5月に『Snapchat』のフィルター機能として新たに加わった、「赤ちゃんフィルター」や「性別転換フィルター」を使って撮った写真を、さっそく女優の橋本環奈お笑いタレントの渡辺直美、サッカー選手長友佑都平愛梨夫妻、お笑いタレント有吉弘行など、さまざまな著名人が続々と『Instagram』や『Twitter』に投稿して、話題を呼んでいる。

 最新ツールを使用した今回の個人的な“おとり捜査”はお手柄となったが、一歩間違えれば犯罪に巻き込まれていたかもしれない。

記事内の引用について
‘I was just looking to get someone’: Snapchat’s gender-swap filter inspires a sting operation
https://www.washingtonpost.com/nation/2019/06/12/snapchat-robert-davies-arrest-san-mateo-cop-gender-swap/?noredirect=on&utm_term=.3b82d3895ddb
Male Student Uses Snapchat Gender Filter to Pose as Underage Girl, 16, Leading to Cop's Arrest
https://people.com/crime/male-student-uses-snapchat-gender-filter-pose-underage-girl-cop-arrest/

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