あのかわいらしくて愛嬌のあるウサギが人間を脅かすどころか命を狙うだと?
現代ではあまり考えられないことだが、中世時代には、ウサギは人間を襲う生き物として描かれることが多かったようだ。
中世の写本の傍注(ぼうちゅう:余白に添えた注釈)には、奇妙なモンスターのイラストが描かれていることがあるのだそうが、そこに良く登場するのが殺人ウサギだという。
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写本の傍注に描かれている殺人ウサギ
中世の写本には傍注(ぼうちゅう:余白に添えた注釈)によく奇妙な姿をしたモンスターや半分人で半分獣の獣人、サルのようなものが描かれている。
写本の研究家、マジョリーン・ドゥ・ヴォによると、宗教関係の書物ですら、こうしたイラストが描かれていることがあり、修道士や修道女、司教たちを楽しませるためのものだったと考えられるという。そうしたイラストの中に、良く登場するのが殺人ウサギである。
普段狩られる側のウサギが逆に狩る。中世のジョーク
よく出て来るのは狩りのシーン。普通なら、ウサギは狩られる側だが、こうした挿絵はその役割を逆転させている。
やはり中世でも、ウサギは一般的に純粋や無力のイメージだ。
だから、中世のキリストの肖像の余白には、純真で暴力のぼの字もない、白や茶色の小さくかわいらしいウサギの集団が描かれているものもある。
だが、ジョークとしてユーモラスなこうした挿絵を描き込んだ製作者は別の見方をしていたようだ。
皮肉をこめたジョークは、滑稽なシーンを描くこともある。例えば、木の脚をもつ床屋が、自分の脚をノコギリで挽いて枝を切り出すといったものがある。
世界を逆転させることの面白さが、"ウサギのリベンジ"というジャンルの漫画を生み出し、描かれている人間の意気地のなさや愚かさを見せつけるためにたびたび使われた。
中期英語の”Stickhare”という言葉は、弱虫につけられたあだ名で、挿絵の中では"ウサギの顔でちぢこまった表情をしている、大きな棒を持ったタフなハンター"として描かれている。
かたつむりの背に乗って、攻撃をしかけているウサギの絵もある。
カタツムリのようなのろのろした生き物を戦争に駆り出すのは、こうしたジョークのもうひとつの人気テーマだ。
農民の集団が棒を持ってカタツムリと闘っていたり、カタツムリに鞍を置いて乗りこなそうとしているところが描かれている。
今日、インターネットの普及により私たちはこうした挿絵を自由に見られるようになった。だが当時こうした挿絵写本は個人の金持ちや組織が所有し、目にすることができるのは限られた人だけだった。
FacebookのSexy Codicologyではもっとたくさんのこうしたウサギのリベンジを見ることができる。
現代のコメディ映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』には、ばったばったと人を殺しまくるとっても凶暴な殺人ウサギが出て来るが、この映画がウサギのリベンジ挿絵からどれくらい影響を受けたのか、それはわからない。
Monty Python and the Holy Grail - Bunny Attack Scene (HD)
References:sexycodicology/ written by konohazuku / edited by parumo
http://karapaia.com/archives/52275178.html
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