とりあえず手近なところから始めたわね」そんな風に私が頷いていたのは木曜日、お隣さんとマルコス・ジョレンテが入団することで合意に達したという、アトレティコの公式発表を見た時のことでした。というのも実のところ、先週のヨビッチ(フランクフルトから移籍)、アザール(同チェルシー)に始まって、今週の火水にもロドリゴ(同サントス)、メンディ(同オリンピック・リヨン)と、このところのレアル・マドリーはプレゼンラッシュ。この4人だけでも4000万+1憶+4500万+4800万=2億3300万ユーロ(約285億円)もの移籍金がかかっているにも関わらず、売却決定の報が一切なかったから。

これでまず4000万ユーロ(約49億円)の入金が確定と、少なくともヨビッチ分は元を取ったことになりますが、何せ現在、コパ・アメリカブラジル代表に参加中のため、冬に5000万ユーロ(約61億円)で獲得したミリトン(ポルトから移籍)もプレゼンがまだですからねえ。最近のレイプ疑惑スキャンダルが影響して、移籍金3憶ユーロ(約370億円)とも言われるネイマール(PSG)の線は薄くなったようですが、ここへポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)やら、エリクソン(トッテナム)やら、1憶ユーロ越え選手が加わった暁には一体、どうやって帳尻を合わせるものやら。

そう、バイエルンへのレンタル移籍が終わったハメス・ロドリゲスこそ、かつての上司、アンチロッティ監督の引きでナポリ5000万ユーロで買いたがっているものの、一番高値がつくべきであるベイルなど、レンタルの打診しかきてないとなれば…いえ、人の懐具合の心配なんて余計なお世話ですよね。

まあ、そんなことはともかく、今週のマドリーのプレゼンの様子からお伝えしていくことにすると、5万人のファンをサンティアゴ・ベルナベウに集めたアザールのメガプレゼンには圧倒された私でしたが、火曜のロドリゴの際には全てが平常モードに復帰。ええ、パルコ(貴賓席)にあった特設ステージも撤去され、再びパルコホールでのイベントだったんですが、その方がまだ18才のFWも、元サッカー選手で息子のケアをするため、現役引退をした34才の若いお父さんも緊張しなくて良かったかと。

実際、契約そのものは昨夏に決まっていたため、レンタルサントスに留まってプレーする間に学んだというスペイン語で挨拶したロドリゴですが、まだ背番号のないユニフォーム着替え2000人がスタンドから歓迎するピッチリフティングファンに40個のボールプレゼントセルフィー、PKマークからのベルナベウ初ゴール体験、そして胸の紋章へのキスとプレゼンのテンプレをこなした後の記者会見では、複雑な質問はポルトガル語で答えるという臨機応変さを発揮。

昨季、同じ18才で入団、登録をBチームにして、シーズン前半はRMカスティージャの試合に出ていたビニシウスから、ユース代表で一緒になった時などに情報を得ていたからですね。「マドリーには常に世界最高の選手たちがいるから、estoy a disposicion del club para jugar en el primer equipo o en el Castilla/エストイ・ア・ディスポシオン・デル・クルブ・パラ・フガール・エン・エル・プリメール・エキポ・オ・エン・エル・カスティージャ(トップチームでもRMカスティージャでも自分はクラブの命じるところでプレーする用意がある)」と言っていましたが、え、これって久保建英選手(東京FCから移籍)のライバルになるかもってこと?

いやあ、当人は今、コパ・アメリカ日本代表に参加中。すぐにはこちらに来られないため、私も報告が遅くなってしまい、申し訳ないんですが、先週金曜の夜にマドリーが久保選手のRMカスティージャ入団を発表したのは皆さんもご存知の通り。一応、クラブスタッフやカスティージャもカバーしている顔見知りのマドリー番記者に訊いてみたところ、基本的にBチーム選手のプレゼンはなく、あってもバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でやるんじゃないかという話でしたが、まあカスティージャの新監督もラウールUEFAプロライセンスを取得して、就任準備ができたようですし、その辺はまた、情報が入り次第、お伝えしていこうかと。

それより大変そうなのは、ロドリゴ自身が「どの位置でプレーしたいというこだわりはないけど、サイドプレーするのが好き」と言っていたように、久保選手とポジションが被っていることもありますが、まだ人員整理が進んでいないジダン監督のチームには現在、11人ものアタッカーがひしめきあっていること。ええ、昨季は弟分チームのラージョでレンタル2年目を過ごし、悔しい2部降格を味わったラウール・デ・トマスこそ、ベンフィカへの移籍が決まったようですが、それ以外にサイドを務める選手だけ挙げてもベイル、アセンシオ、ルーカスバスケス、ビニシウス、ブライムと複数いますからね。そうなると久保選手だけでなく、ロドリゴにしてもトップチームで出場するチャンスを掴むのは難しい?

一方、入団直後からレギュラー候補と噂されているのは水曜にプレゼンがあったメンディで、こちらは昨年の11月から、W杯王者のフランス代表からもお声がかかるようになった24才の左SB。いえ、デシャン監督のチームでは冬にヒザを手術。来季からプレーするバイエルンで続けていたリハビリも終わり、9月には完全復帰しているだろう元アトレティコリュカと、マドリーでも長年、レギュラーに君臨してきたマルセロと競わないとならないとあって、そうそう簡単ではないはずですけどね。身長178センチと174センチのマルセロより少し大きいせいか、記者会見では「フィジカル的に優位じゃないか」と問われ、「いや、ユニを脱いで彼と会ったことはまだないから」と笑いを取る一幕も。

当人はまだジダン監督とは話していないと言っていましたが、メンディの場合は自身も子供時代のアイドルだったと打ち明けていた代表の大先輩を始め、マドリーにはベンゼマバランアザールクルトワとフランス語を話す選手が多いのが強み。いえ、だからって、英語で事が足りてしまうため、最後までスペイン語が話せるようにならなかったベッカムや、もうすでに6年が経過しているベイルのようでは困るんですけどね。そんな話をプレゼン終了後、ベルナベウ近くに最近オープンした居酒屋チェーン風バル(スペイン喫茶店兼バー)で知り合いとしていたところ…。

まさか、「ルイス・エンリケ代表監督辞任」の報に驚かされることになろうとは!ええ、3月のユーロ予選の2試合目、マルタ戦前夜に娘さんの病気で代表を離脱して以来、6月の2試合もロベール・モレノ第2監督を通じて、自宅から指揮を執っていた彼なんですが、どうやらこの件は長引きそうと、職務を退く意志をサッカー協会に表明。それを受けて午後4時から、ラス・ロサス(マドリッド近郊)にある協会本部で会長が緊急記者会見を開くことになったんですが、大丈夫。思った通り、代表のオフィシャルウェブを開くとネット生中継が用意されている辺り、ホントに便利な世の中になったものです。

ちなみに次期代表監督に就任したのはここまで3試合、ルイス・エンリケ監督の代理を務めたロベール・モレノ氏で、いえ、9年間、ルイス・エンリケ監督のアシスタントをしていた彼はエリートチームでの第1監督経験はないんですけどね。選手経験もないものの、14才の頃から指導の道に進み、とりわけ敵チームのアナリシスに優れた手腕を発揮。スターゴロゴロいる代表チームを率いるのにはカリスマ性にやや欠けるものの、昨年はW杯直前にマドリーとの契約を発表したロペテギ監督を電撃解任、ロシアではスポーツディレクターだったイエロ氏を暫定監督に立て、開催国に16強対決で敗退した後、ルイス・エンリケ監督を招聘と、ここ短い間でコロコロ指揮官が変わっているのにも懲りたんでしょうか。今回、協会は指揮方針の継続性を重視したよう。

ええ、ルビアレス会長自身が記者会見で「発表の15分前にキャプテンたちに連絡した」と言っていたように、先週土曜にセビージャの大聖堂で3人の息子さんの母親でもある芸能人のピラル・ルビオさんとスーパー挙式。結局、ピケ&シャキーラカシージャス&サラ・カルボネーロ、ジダン夫妻らのセレブカップルは現れなかったものの、1時間前から午後のバラエティ番組でゲストの到着を生中継、ベッカムの奥さんのビクトリアが模様は入っていたものの、地が白いワンピースにショッキングピンクピンヒールと、ピラルさんが課したドレスコードを全然守ってないなんて話題でスタジオが盛り上がっているのには、私も呆れたものでしたけどね。

子連れ禁止にも関わらず、郊外にある自身の別荘に観覧車などの移動遊園地まで設置、明け方まで続いたという披露宴の後もハネムーン準備で忙しいであろうセルヒオ・ラモスにも気を遣っての人事だったようですが、何せA代表の試合は9月初旬のユーロ予選5、6節までありませんしね。しかもここまで4連勝中のスペインは2位のスェーデンにも勝ち点差5つけており、大体がして2位まで突破という甘々グループ予選なため、本大会が来るまでは心配することもないものの、どうやら崖っぷちに立っているのは現在、イタリアサンマリノでU21ユーロを戦っている弟分チームの方のよう。

ええ、日曜にイタリア戦でスタートした彼らはセバージョス(マドリー)のゴールで先制したものの、最後は1-3で逆転負けしてしまったんですよ。水曜のベルギー戦でも早々にダニ・オルモ(ディナモ・ザブレブ)のゴールリードした後、ゴール前の混乱から同点とされ、後半44分にビジャレアルからウェスト・ハムへの移籍が決まったばかりのフォルナルスのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)でようやく勝ち点3をゲット。この大会は決勝トーナメントがすぐ準決勝という仕組みなため、3つのグループの1位と最高成績の2位しか突破できないとあって、スペインベスト4として、来年の東京五輪の切符を手にするには土曜のポーランド戦で大量得点差勝利が必要とされるようですが…やっぱりこれって、アセンシオ(マドリー)とロドリ(アトレティコ)の2人が参加予定を取り止めたのが響いている?

え、そのロドリはとうとうアトレティコ退団が決まったんじゃないのかって?いやあ、まだ正式な発表はないんですが、この月曜にはクラブにその意志を伝えたそうで、行先はグアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティになる可能性が濃厚だとか。うーん、各紙の記事を読むと、移籍を決心した原因は給料ではなく、エル・パイス(スペインの一般紙)によると、中盤を無視してCBがロングボールを多用することや選手が走りすぎることについて、何度もシメオネ監督やチームメートと意見を交わしたものの、いつも最後は「Aquí jugamos así/アキー・フガモス・アシー(ウチはそういう風にプレーする)」と言われて終わりになるのが不満だったとか。

まあ、アトレティコのカンテラーノ(ユースチーム出身選手)でも昨夏出戻りするまで、ビジャレアルで何年も過ごした彼ですから、ポゼッションサッカーに惹かれる気持ちもわからないではないですけどね。AS(スポーツ紙)など、「シメオネ監督のサッカースタイルと哲学ではCL出場権を獲得するというクラブの目標は果たせても、優勝のチャンスはあまりないだろうと見切りをつけた」とバッサリ。そこでクラブは最初に話したマルコス・ジョレンテ獲得に踏み切ったんですが、いやあ、まだ移籍先を発表していないグリーズマンの後釜として、その契約破棄金額と同じ1憶2000ユーロ(約146億円)をベンフィカに払い、19才の新鋭、ジョアン・フェリックスとの契約が秒読み段階になっているアトレティコですからね。

どうも来季は大博打になりそうな懸念がなくもありませんが、ラモスと同じ土曜に母国のアルゼンチンで2児の母、カルラ・ペレイラさんと挙式したシメオネ監督にはあまり心配している様子はなし。幸い、グリーズマン以外にもリュカとロドリの8000万+7000万=1憶5000万ユーロ(約183億円)が入るだけに交渉中のエルモモーソ(エスパニョール)、ロディ(パナメンセ)、セメド(バルサ)ら、ファンフラン、ゴディン、フィリペ・ルイスら、ベテランの抜けたDF陣の補強には資金が足りそうですが、果たしてどうなることやら。

ここ数日はマドリッドに滞在し、メディカルチェックなどを受けていたジョアン・フェリックスもバケーションに入ってしまったため、ワンダメトロポリターノでのプレゼンラッシュは7月4日のプレシーズン開始前後になりそうですしね。オフシーズンはあまりニュースのない弟分のヘタフェなども柴崎岳選手にメキシコクラブ・ウニベルシダッド・ナシオナルが興味を示しているという記事がちょっと目についたぐらいで、今は私も市場が動くのを辛抱強く待つしかありません。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファンワイン生ハムチーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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